
梅雨時期の倦怠感・頭痛・めまい…もしかすると「気象病」かもしれません。
気象病・天気病外来を開設するクリニックの医師が、原因と対策を解説します。
【写真を見る】「雨の前に頭痛がするのはなぜ?」潜在患者は1000万人超『気象病』の原因と対策を医師が解説【ひるおび】
梅雨時期に増加「気象病」
「気象病」とは、気圧・気温・湿度などの気象変化によって引き起こされる心身の不調を指します。
自分が病気だと認識していない方や、感じていても医療機関を受診していない潜在患者は1000万人を超えるとも言われています。
せたがや内科・神経内科クリニック院長 久手堅司医師:
5、6、7月は患者さんが多くなる時期です。気象病は小学生ぐらいからなる方もいれば、成人になって症状が出る方もいて、症状の重さも様々あります。特に頭痛や倦怠感を訴える方はこの時期増えています。
≪主な症状≫
▼頭痛(約8割)
▼倦怠感(約7割)
▼肩こり、首こり
▼めまい、耳鳴り
多くの場合、複数の症状が出ます。
気象病は「気にしすぎ」と周りから言われ、理解が得られないこともあります。また「気象病」が正式な病名ではないことから、医師からも理解されにくいケースもあります。
あなたは大丈夫?「気象病」チェック
【1】天気が悪いときに体調不良を感じる
【2】体調の悪化で何となく天気の変化がわかる
どちらかが当てはまれば気象病の可能性があります。
弁護士 八代英輝:
僕は雨が降りそうな時とか、台風が来そうな時に膝が痛くなります。
スキーで1回ひねったことがあって、もう治っていてMRIを撮っても何にも出ないんですけど、ちょっと気圧が下がる傾向があるときは膝が痛くなる。
皆川玲奈アナウンサー:
台風の前には必ずだるさ、頭痛。あと食欲も出ない時があります。
なぜ雨で体調不良?「気象病」のメカニズム
なぜ天気が悪くなると体調が悪くなるのでしょうか?
症状が出やすいのは雨が降る前。
低気圧が近づくことで気圧が下がりますが、5hPa下がると不調が出始めると言われています。
この5hPaは高層ビル1階から10階への移動に相当します。
気圧が下がると、耳の奥にある「内耳」が気圧の変化を過剰に感知します。それが脳に伝わり自律神経が乱れ、頭痛やめまいなどの症状を引き起こします。
また、気圧が下がることで酸素濃度も低下します。血中酸素が薄くなって血管が拡張し、神経を刺激することで頭痛が引き起こされます。
さらに、寒暖差も影響します。人間は恒温動物のため、体温を36℃~37℃に保つ必要があります。寒暖差が7℃以上あると体温調節に使うエネルギー消費が大きくなるので不調が出やすくなります。
これからの時期、冷房を使う頻度が増すので、屋外と屋内の温度差にも注意が必要です。
スマホの使いすぎ!?姿勢の悪さも「気象病」に影響
気象病を悪化させる可能性があるのが「姿勢の悪さ」です。
スマートフォンの使用や運動不足によって姿勢が悪くなると、骨格がゆがんで背骨に負担がかかります。
背骨の中心に自律神経があるので、姿勢が悪いと自律神経に悪影響を及ぼし、体調不良につながってしまいます。
久手堅医師は、「姿勢を改善することで気象病も改善することが多い」と話します。
せたがや内科・神経内科クリニック院長 久手堅司医師:
当院を受診される方には立って姿勢をチェックさせていただくんですけれども、俗に言うストレートネックの方などは頭を支えるために首こりや肩こりが多くなる。そこから頭痛とか様々な症状が出るので、姿勢に気をつけていただく。
胸を張るとか胸を伸ばす、腕を伸ばすことを1時間に1、2分やっていただくだけでも姿勢が改善して不調が減ってくる方が多いです。
若年層でも広がる「気象病」
久手堅医師によると、気象病で悩む10代の患者が近年増加してきています。
原因として考えられるのは、外で遊ぶ時間が減っている一方でスマホの使用時間が増えていることや、睡眠不足。疲労やストレスで自律神経が乱れて不調がひきおこされます。
小学生から高校生の「推奨睡眠時間を満たしていない割合」は7割から9割。高校生では各学年の2割以上が睡眠時間6時間未満というデータもあります。
子どもの「気象病」は他の病気と思われがちなので、より一層ケアが重要になるということです。
1分でスッキリ!耳ストレッチ
久手堅医師によると、耳の血行を良くすることで気圧変化を感知する耳の奥のセンサーが過敏に働くのを抑えることができます。
≪耳ストレッチ≫
※無理のない範囲で実施して下さい
【1】両方の耳たぶの上部をつまんで外側に10秒引っ張って10秒キープ
【2】右耳の上部と左耳の下部(耳たぶ)をつまんで、斜め上と斜め下に同時に引っ張り10秒キープ※反対側も同様に
【3】両耳をつかんで、前と後ろに5回ずつ大きくグルグルと回す
せたがや内科・神経内科クリニック院長 久手堅司医師:
頭痛とかめまいがあるときにも効果的ですし、デスクワークを1時間やったら、合間でやっていただくことでも効果が出ます。
気象病の症状はいきなり出るんですけど、積み重ねでどんどんつらくなっていくことが多いので、(ストレッチの)癖をつけていただくとより症状が緩和しやすくなりますね。
気象病にならないためのセルフケアも教えてもらいました。
▼適度な運動
▼パソコン・スマホを控える
▼早寝早起き 1時間早く起きて身体を動かす
▼38℃~40℃のぬるま湯に10分程度浸かり深部体温を上げる
▼発酵食品などで腸内環境を整え体内からケア
(ひるおび 2025年6月12日放送より)
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<プロフィール>
久手堅司氏
せたがや内科・神経内科クリニック院長
2019年 気象病・天気病外来を開設
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