
東京・原宿で開催された「Youth Pride 2025」
6月14日(土)、15日(日)に開催された「Youth Pride 2025」を取材しました。「Youth Pride 2025」は、LGBTQ+などの人々が差別や偏見にさらされることなく、自分らしく生きられる社会の実現を目指すイベント「Tokyo Pride」のYouth向け=若者世代向けとして今年初めて開催されました。
【写真を見る】GIVENCHYブースでメッセージを書く参加者
東京・原宿にある「WITH HARAJUKU HALL」というイベントホールで「学ぶ」「働く」「暮らす」「遊ぶ」など、生活のそれぞれのシーンにまつわるトークショーや座談会、ファッションショーが行われました。
このイベントを企画したのは「Tokyo Pride」の主催団体の中で立ち上げられた「Youth Project」という若者による若者のためのコミュニティです。Youth Project代表で現役大学生の中島幸乃さんに、ターゲットとなる世代を絞って開催した背景を聴きました。
Youth Project代表 中島幸乃さん
「ターゲットセグメントを狭めるのが今回初めてなんです。やはり大人と一緒にいると本音が言えなかったり、Youthの声を主軸として反映させていくというところは全体世代をターゲットにしてると難しいっていうところと、今後新しい世代・次の世代の意見をより団体として取り入れていかなければいけないんじゃないかというところに辿り着きまして、Youthに絞って今年初めて出来上がったっていう背景になります」
学校生活で「壁」を感じた瞬間
「Youth Pride」には、若者世代の本音が聞ける様々なコンテンツがあります。今回注目したのは「YOUTH座談会~私たちが望む学校・教育のカタチ~」というタイトルの座談会です。
参加したうちの1人、Youth Projectのメンバーでトランスジェンダー男性の大学生・春音さんは、この番組「人権TODAY」で『女性の体型に合うメンズパターンのオーダースーツ「keuzes(クーゼス)」』の取材の際に話を聴いた方です。春音さんは、学校生活で「壁」を感じた瞬間について、このように振り返りました。
トランスジェンダー男性の大学生・春音さん
「まず一番に思い浮かぶのはやっぱり『制服』ですかね。私は特例で男子制服を着て学校に通い始めたんですが、自分はカミングアウトしてない状況で男子の制服を着て、女子の学籍という状況なので、周りから『この人はどういう性別の人なんだろう』みたいな感じで詮索される空気とか、クラスのグループなどで自分はどこにいたらいいんだろうとか、自分から話しかけに行かないと、なんかみんな気味悪がって来てくれないとか、居場所がなかなかないというような意識を、教室の中ですごく感じた記憶がありますね」
また、春音さんは、学校生活での悩みの種は「制服」だけではなく、「男女共用トイレ」を使用するだけである種のカミングアウトになってしまう、という苦悩も話していました。
「LGBTQ+Youthの働きやすい環境」とは
また、LGBTQ+などの若者が学校を卒業した後の「就職、働くこと」も「Youth Pride」では大きなテーマの1つとなっていました。
ステージプログラム「LGBTQ+就活サバイバー ~現代の就活生は何を求めるか~」では、就活生が企業の担当者に対し、LGBTQ+などの当事者が働きやすい環境について提案する場面がありました。
他にも、就職の相談ができるブースがあり、出展した企業の「LVMHグループ」が学生やその親から相談を受けていました。「LVMHグループ」は『GIVENCHY(ジバンシィ)』をはじめとしたコスメやファッションなどのラグジュアリーブランドを扱う企業です。
LGBTQフレンドリーとされる企業の担当者と直接話せる機会がなかなかないということでこのために佐賀から訪れた学生もいました。
当日、就活生からの相談を受けていた、LVMHグループの柿原理紗子さんに話を聴きました。
LVMHグループの柿原理紗子さん
「親子でブースにいらしていただいた方がいて、高校生のお子さんが当事者で、お母様と会話をしたんですが、その方々は海外に住まれていて、まだまだやはりLGBTQに対して価値観だったりまだ閉鎖的なところがあってっていう話を伺って、最近日本はどんな感じですかという話をしたりですとか、LVMHグループとしてもこういったインクルーシブな採用を心がけてますといったところを来場いただいた方に知ってもらえたらいいなっていう風に思っております」
国内外からの参加者たち
「Youth Pride」は今回初めての開催ですが、韓国やアメリカ在住の日本人の高校生や中国から来たLGBTQ+の観光客など国内外から多くの人が訪れていました。
来場のきっかけやイベントの感想を来場者に聴きました。
男性4人組
「先週『Tokyo Pride』に行ったんですが、そこで20代とかの若い人向けのPrideがあるよと聞いて、自分と似たような人に会えるかなと思って楽しみにして来ました」
(韓国在住女性)
「(私は)レズビアンとしていますが、いま韓国に住んでいて、韓国も進んでいないからあまりいろんな人と喋ったりとかできないんですが、やはり日本もあまり進んでいない部分もあるので、こういうことがあるのは本当にいいと思いました」
(男性高校教諭)
「この通り女装とかをしている側の人間なので、レディスのオフィスカジュアル着て仕事をしています。今学校の先生をやっていて、さっきのお話が教育の関係のお話だったので色々勉強になるなと思って聞いておりました」
イベントを主催した「Youth Project」は、対面やオンラインで日本全国、世界各国に向けてLGBTQ+Youthの居場所づくりに取り組んでいます。
若者世代に向けた居場所づくりの難しさをYouth Pride代表の中島幸乃さんに聴きました。
Youth Pride代表の中島幸乃さん
「継続性が一番課題だと思っています。Youthこそ社会属性がだんだん変わっていくんですよ。高校生になって3年後には大学生になって、4年後には社会人になってというところで、やはり生活が変わっていくと動き方も変わっていく中でコミュニティに継続参加って難しかったりするんですよ。その中で、その入れ替わりが激しいコミュニティを続けていくっていうのを誰かが熱意を持ってやる必要があると思っていて。そこが私の役目かなとは思っています」
生活のステージが変わっても“ありのまま”で生きやすい環境が増えることに期待したいです。
(TBSラジオ「人権TODAY」担当:久保絵理紗 (TBSラジオキャスター))
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