去年1年間の倒産件数が1万件を超え、11年ぶりの高水準となりました。中でも目立ったのは飲食業の倒産で、過去最多。その理由とは。
埼玉県にある居酒屋。去年末に20年の歴史に終止符を打ちました。新鮮な刺身が500円ほどで楽しめるなど、“リーズナブルな居酒屋”として地元の常連客が多く訪れていたといいます。
閉店した居酒屋の店主
「いろいろ(物の値段も)上がっているし、タイミング的にも年も年だし、もういいかな」
長いコロナ禍を乗り越え、再スタートを切った矢先。店の経営を襲ったのは物価高の波でした。食材や油、電気代、ガス代などあらゆるものが値上がり。しかし、少しでも安くいいものを提供したいとの思いから、大幅な値上げには踏み切れませんでした。
閉店した居酒屋の店主
「仕入れに対して、売り上げがあまりにも少ない。これ以上続けてもあれかなと思って」
“価格転嫁が難しく、体力的にも店を続けるのは厳しい”。数か月ほど悩み、店を畳むことを決めました。
閉店した居酒屋の店主
「みんな感謝してくれたり、それが励みですよね」
閉店から2週間。この日、店を訪れたのは買取業者です。
この業者は、閉店した飲食店から冷蔵庫やシンク、コンロなどの機器を買い取り、クリーニングなどを実施。中古として新たに飲食店を始める人に販売しています。今回は冷蔵庫などを17万円ほどで買い取りました。
去年1年で1万6500件ほどの問い合わせがあったといい、前の年からおよそ3000件増えました。中でも、目立ったのは…
テンポスバスターズ 中古事業部 高橋宏一 課長
「ラーメン店は非常に多く出店もしているが、価格競争とかになってしまうと食材原価が上がりすぎて、やむなく資金が回らなくなって閉店を考える方が多い」
きょう公表された調査によると、2024年の飲食業の倒産はラーメン店や焼き肉店などを中心に992件となり、過去最多を更新しました。全体でも前の年から15%増えて1万6件となり、2013年以来、11年ぶりに1万件を突破しました。
東京商工リサーチ 情報部 坂田芳博 課長
「コロナ禍から普段の平時の状況に経済環境が戻ってきている中で、ついてこれない企業が脱落している」
これまではコロナ関連の給付金や融資で、稼ぐ力が弱くても生き残ることができました。しかし、物価や賃金が大きく上昇する局面に変わり、“儲からない企業”の淘汰が進んだと指摘します。
東京商工リサーチ 情報部 坂田芳博 課長
「支援に依存しないで自分たちでしっかり収益構造を確保していく。収益構造が確保できる企業と、逆に本当に業績悪化から立ち直れない企業の二極化が進んでいく」
消えゆく店がある中で、新たな挑戦は生まれてくるのか。日本経済の“新陳代謝”が活性化しています。
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