E START

E START トップページ > ニュース > 経済 > 背景に何が?企業倒産件数“1万件超” ラーメン店の倒産“過去最多” 「油そば」にくら替えも【Nスタ解説】

背景に何が?企業倒産件数“1万件超” ラーメン店の倒産“過去最多” 「油そば」にくら替えも【Nスタ解説】

経済
2025-01-14 21:27

去年1年間の倒産件数が1万件を超え、11年ぶりの高水準となりました。中でも目立ったのは飲食業の倒産で、過去最多。その理由とは?


【写真を見る】「これ以上続けても…」20年の歴史に終止符も 11年ぶり倒産“1万件超”


企業倒産 11年ぶり1万件超 倒産増加の背景は

南波雅俊キャスター:
東京商工リサーチの調べによると、全国の企業倒産件数(負債額1000万円以上の企業の倒産)はコロナ禍で一度減少しましたが、2023年から増えてきて、2024年は1万6件11年ぶりに1万件を超えたということです。


経済評論家の加谷珪一さんによると、▼助成金・給付金など「コロナ特例」の終了、▼人手不足、▼金利の上昇といった3つが、倒産件数増加の要因だということです。


経済評論家 加谷珪一さん:
「コロナ特例」が終わるということに加え、日銀の金融政策の変更で金利が上がると、借金・利子もたくさん返さなくてはいけなくなります。

さらに「人手不足」が深刻で、給料を上げないと良い人材が集まりませんが、なかなか給料を上げられない…という三重苦になってる会社が多く、倒産が増えているという流れです。

井上貴博キャスター: 
飲食店関係者から「人の流れはコロナ前のように戻ったが、消費行動は戻らない」という声を聞くことがあります。コロナ禍であまり夜に出歩かなくなり、アルコール需要が減ってしまったため、居酒屋は(経営状況が)厳しいという話も聞きます。

時代の変化を捉えながら業態を変えていくことは、これから求められていくのでしょうか。

経済評論家 加谷さん:
今、大手の飲食チェーンでは、試行錯誤して業態を変えることに力を入れています。

いろいろな種類の店舗を出したり、今までやっていなかった焼肉をやったりなど、かなり試行錯誤をしている最中なのかなという印象です。

ホラン千秋キャスター:
チェーン店はシステム的にいろいろな部門を確立してるので、何とかやっていけたとしても、個人店は臨機応変に変えられず、厳しい状況にあるお店も多いでしょうね。


元競泳日本代表 松田丈志さん:
大手であれば、一括で仕入れをして違う業態でも食材を使うこともできますが、個人だと食材の使い方も限られてくると思います。

人手不足という点では、“九州ラーメン”をうたうラーメン店であっても、働いてる人は外国人の方ばかりというお店が多いので、日本人の働き手がかなり少ないということを実感します。


過去最多ラーメン店の倒産「油そば」に“くら替え”も

南波キャスター:
帝国データバンクの調べによると、2024年の飲食店の倒産件数(負債額1000万円以上)は894件でした。これまで過去最多となっていた2020年の780件を超えた状況です。

中でもラーメン店の倒産が増えていて、2024年は72件と過去最多でした。2023年度には、ラーメン店の約6割が業績が悪化したというデータもあります。

背景には、原材料費・人件費・光熱費の上昇を価格転嫁できず、利益が減ってしまうということがあるようです。

油そばに“くら替え”するラーメン店も出てきています。


「油そば専門店 麺と油」は、元々「豚骨ラーメン」のお店でしたが、2024年11月に「油そば」専門店に業態を変更しました。

「油そば専門店 麺と油」を運営している「ZENJI」の工藤拓也代表は、「油そばはスープがないので、大幅なコストカットが可能」としていて、▼原価率も33%から20%前後に、▼人件費も月6〜8万円減ったということです。


倒産件数の増加 専門家「新陳代謝が活発になり経済に対してプラス効果も」

南波キャスター:
経済評論家の加谷さんは、「企業の倒産が増えると、新陳代謝が活発になり経済に対してプラス効果もあるのでは」としています。

【“バブル景気”前の倒産件数】※東京商工リサーチ調べ
1983年 1万9155件(歴代3位)
1984年 2万841件(歴代1位)
1985年 1万8812件(歴代6位)


ホランキャスター:
強い企業が残るから、経済も強くなるということでしょうか。


経済評論家 加谷さん:
半分はそういうことです。あとは、変わっていく時代に対応できた企業が残り、対応できなかった企業が残念ながら倒産する…という企業の入れ替わりを促進する面もあります。

もちろん倒産は大変なことですが、実は、景気が良くなるときの方が倒産件数は増えてくるという傾向が強いです。

なので、倒産件数が増えているということは、これからの経済に対する期待感があることの裏返しかもしれないという見方もできなくはないです。

井上キャスター:
“バブル景気”のときは高度経済成長のときでしたが、今は「成長しきった」とも言われています。金利も上がっていき、高齢化、後継者不足などほかの課題もあるように思います。

経済評論家 加谷さん:
“バブル”当時とは違い経済環境はかなり厳しいですが、コロナも終わり物価高も進み、私たちの消費行動がどう変化するのかが見え始めた時期ともいえます。

先を見据えて新しい業態に転換できた企業は適応できるという、過渡期に差し掛かっているのではないでしょうか。

ホランキャスター:
ただ、倒産の数字の向こう側には人々の生活があるので、そのあたりも心配です。

==========
<プロフィール>
加谷珪一さん
経済評論家 元日経BP記者
著書に「貧乏国ニッポン」
中央省庁などへのコンサルティング業務も

松田丈志さん
元競泳日本代表
五輪4大会出場 4個のメダル獲得
JOC理事 宮崎県出身 3児の父


【検証】「布団の上に毛布」が暖かい説 毛布は布団の「上」か「下」か 毛布の正しい使い方【Nスタ解説】
「パクされて自撮りを…」少年が初めて明かした「子どもキャンプの性被害」 審議進む日本版DBS “性暴力は許さない”姿勢や対策“見える化”し共有を【news23】
スマホのバッテリーを長持ちさせるコツは?意外と知らない“スマホ充電の落とし穴”を専門家が解説【ひるおび】


情報提供元:TBS NEWS DIG Powered by JNN

人気記事

ページの先頭へ