いわゆる103万円の壁の見直しなどを訴え、衆議院選挙で大きく躍進した国民民主党。総理大臣指名選挙が行われた11日、玉木代表は一部週刊誌で報じられた不倫疑惑について、謝罪しました。
【写真を見る】決選投票で石破茂氏を総理指名 国民民主党・玉木雄一郎代表“不倫”を謝罪「103万円の壁」どうなる?【Nスタ解説】
「103万円の壁」議論どうなる? 地方は税収減で大打撃に?
山内あゆキャスター:
総理大臣を指名する選挙は決選投票で、石破氏が総理大臣に再び登板となりました。ただ、前途多難な船出になるようです。
国民民主党の公約にあったように、これまでの103万円の壁を178万円まで引き上げるという「103万円の壁の見直し」。
11月11日、自民と国民で党首会談も行われました。ただ政府としては引き上げた場合に、国と地方で合わせて7~8兆円の税金の減収の見通しということです。しかも地方への影響が大きいと言います。
11月5日の会見で村上総務大臣は「(178万円にした場合)機械的に計算すれば、地方の住民税だけで、4兆円程度の減収と見込まれている」と話し、地方では半分程度の減収になるということを指摘していました。
これに対し、TBSスペシャルコメンテーターの星浩さんは「減税の効果は、お金持ちほど大きい、年収103万円以下の非課税の人には恩恵がない。これらの問題をどうするかが争点だ」と話しています。
井上貴博キャスター:
財務省の官僚に話を聞くと「やはりこれは税の根幹に関わることなので慎重にやった方がいい」と後ろ向きでしたが、選挙で一定の民意が示されたからには「どうやったらできるのか」を考えるべきではないか。
玉木代表は「103万の壁を引き上げると、経済が回って税収は一定程度上がる」と話をしている。でも「その試算はもう少し数字を待ってください」と、試算の部分を早く出していただきたいとも思います。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
基礎控除が上がることで税金が安くなるわけですが、必ずしも全員が景気を回すのか。将来不安があるから、みんな使わないわけで、どんどん減税すれば景気が良くなるというほど単純なものではありません。
財務省も民意を受けた動きなので、何らかの形で対応はする。おそらく130万ぐらいの金額で折り合いをつけるという動きになると思います。
ホラン千秋キャスター:
宋さんはクリニックの経営をされていますが、そこは大きく関わってくる?
産婦人科医 宋美玄氏:
やはり年末が近づいてくると勤務調整をされるパートの方がたくさんいます。「本当はもっと働きたいけれど、やっぱり壁があるので…」ということで。多分、壁が動けばそれに合わせて労働時間が増える人が全国的に多いと思います。
今は人手不足で物価が上がってる分、時給も上がっているので壁が動かないと結局、勤務時間が減ってしまい、労働力がすごく減ってしまう。「国全体が豊かになる」と考えると、もちろん税収も大事だとは思いますが、労働力とか景気の部分もあるので、試算があった方が考えやすいです。
井上キャスター:
130万円の壁は、議論の対象にならない?
星さん:
それも一緒にやらないといけないです。130万円の壁の方がむしろ深刻で、これは年金と絡んできますから、おそらく関係者も多いです。
厚生年金になってくると企業も負担しなければいけない。企業にとってもいろいろプラスマイナスが出てくる。本格的に議論するとなると130万円の壁の方をさらに重視していく必要があると思います。
厚生年金の「106万円の壁」も130万円に統合されてきます。しかし今度はそれを超えると、厚生年金を従業員の人も払わなければいけないし、企業側もその半分を負担しなければいけない。
トランプ次期大統領と面会検討 早くも外交日程が…
山内キャスター:
ここからは今後の外交日程を見ていきます。
▼11月15日・16日:「APEC」(ペルー)
▼11月15日・16日:「G20」(ブラジル)
そしてそれを終えて帰国する際に石破さんがアメリカに立ち寄り、トランプ次期大統領と面会することを検討しているそうです。ただ、星さんによると実際に会談ができるかどうかを握るキーマンがいるということです。
それが前駐日大使のハガティ氏です。前のトランプ政権のときに日本にいた大使で「次期トランプ政権で国務長官に任命されるのでは」と噂されているそうです。そのハガティ前駐日大使とコンタクトを取ろうとしているが、難しい状況。日米の話し合いは一体どうなるのかも注目です。
井上キャスター:
トランプ氏とは麻生氏も会談していますよね?
星さん:
麻生氏は選挙前ですね。ただそれで具体的なパイプができたというよりは、このハガティ前駐日大使を通じてトランプ氏に働きかけることが一番有力なパイプ。ハガティ前駐日大使はいま、上院議員をしているので、そういう点でも数少ないトランプさんの側近です。
8年前はトランプ氏は初めて大統領になった状況で、何となく不安もあったと思う。そこに飛び込んでいった安倍元総理は歓迎された。
今回はもうトランプさんはある程度、ワシントンの中も日米関係も知っていますから、いまさら「名刺を交換に来い」というわけにはなかなかいかないかもしれません。
むしろトランプ氏の方が、1年前よりも相当実務的になっています。安倍元総理がいろいろプレゼントを持っていって下手に出て…という感じはもうない。「実務的な会談をどこかでしましょう」となると思います。
野党の協力なしでは法案成立せず 自民党内にも火種が
山内キャスター:
もう一つ、今回の衆院選でも大きな争点となった「政治資金規正法」の再改正、12月に予定の臨時国会で行われるのか。
それから補正予算、電気・ガス代の補助金がまた出るのか。それから能登の復興・復旧の予算は一体どうなるのか。問題は山積です。
野党から反対されると法案が成立しない事態になる。星さんによると2025年の通常国会では、内閣不信任案が提出された場合に自民党から何人か造反が出てしまうと、可決されてしまうという火種を抱えながらの国会運営になっていくということです。
井上キャスター:
特に政治資金規正法についてはまた自民党が中途半端な改正をすると、参議院選挙でもかなりしっぺ返しが大きいのではと思います。
宋美玄氏:
今回はかなりそれを引きずって、自公過半数割れになってしまった。参院選もすごく近いので、みんな記憶が新しいと思います。石破さんが最初に総理になったときは、そこを厳しくやってくれるのかなと思ったら、結局それが甘かったので、人気を失ったところもあると思います。
星さん:
中途半端な対応策ではもう済まされない。例えば政策活動費をやめるとか、相当厳しい対応をしていくか。「企業団体献金」まで踏み込めるかどうかは微妙なところですが、相当踏み込んだ案を出さないともたない。
「政策活動費はやめる」ということになるでしょうし、政治資金の第三者機関は設置に動くと思います。
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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身
政治記者歴30年
宋美玄さん
産婦人科医 2児の母
女性の健康などのテーマを発信
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