元芸人という異色の経歴を持つ「スマイルケア名古屋」理事長・小宮拓郎氏が自身の仕事に対する想いや覚悟について語る
2021-03-31 10:30:29
人生にはいくつかの岐路があり、そのたびに人は何かを得たり、何かを捨てたりする。
そこには決断があり、「覚悟」がある。
番組「覚悟の瞬間(とき)」では、経済界、スポーツ界、文学界など、様々な大人の生き様に焦点をあてていき、視聴者の方々に、知恵、成功へのカギ、生きていく上でのヒントになるようなメッセージを届けます。今回、その「覚悟の瞬間」にスマイルケア名古屋 理事長・小宮拓郎さんが出演しました。
スマイルケア名古屋
スマイルケア名古屋は、「笑顔のチカラで老後を元気に」というキャッチコピーのもと、高齢者や障害者の方々が笑顔で暮らせる地域社会の健全な発展を目的とした社会貢献事業を行う非営利型一般社団法人。2020年より名古屋を拠点に活動しています。
理事長の小宮拓郎さんは、1995年 吉本総合芸能学院(東京NSC一期生) 卒業。1996年から手品師 白血球として活動し、その後は介護の仕事を始め、現在に至ります。
理事長・小宮拓郎さんインタビュー
Q1 なぜ今の仕事に?
小宮拓郎さん(以下、小宮)「うちの祖母がですね、認知症を患ってグループホームに入ったんですよね。親族の名前も思い出せないという状態でしたが、僕が行くと『拓郎、手品やってくれ』って言うんですよ。それが嬉しくて手品をそこに毎週やりに行っていたんです。その時に、そこの職員さんに『他の利用者さんの前でも手品をやってください』と言われまして。それで、みんなの前でやると皆さん笑ってくれたんですよ。で、職員さんも笑顔になって。『利用者さんがこんなに笑っているのは初めて見ました』と僕に言ってくれたんです。それで、笑顔の力で介護はもっともっと元気にできる可能性があるんじゃないかと。そう思って今の仕事を始めました。僕にとって笑顔は本当に高齢者の方に対する『恩返し』です。
Q2 現在の仕事への想い
小宮「お葬式でも笑わせてあげたいんです。うちでは施設葬というのをやっているんですが、その施設葬って老人ホームでお葬式をするんですよ。実際に棺を置いて、皆さんで花を手向けて。お坊さんを呼ばなくてもいいんです。フルートで演奏したり、皆で歌を歌ったりして、セレモニーとして送り出す。職員の人から見たら、利用者さんの死を見て送ることで、死生観が湧くんですよね。そうすると介護のサービスの質が上がるんです。利用者さんも『最後に送り出せて良かった』と、落とし前がつけられる。家族の方も、引き取って家族葬でやっても、もうそんなに身内も集まらない。だけど、施設葬でやることによって『こんなにたくさんの人に送り出せていただいた、ありがとう』と、おっしゃるんです。お葬式の会場で『さよなら』とか『バイバイ』じゃなくて『ありがとう』が飛び交うんですよ。こんなに良いセレモニーは無いなと思って。僕たちは今、入居の紹介から最後のお葬式まで施設でやるということをやっています。」
Q3 あなたにとって覚悟とは?
小宮「僕、本当に覚悟というのが無いんですよ。自分が思っている以上に人って弱いし、醜いし、儚い、脆い生き物だと思うんですよね。なので、僕も自分の弱さを分かっているし、そこで逆に覚悟だと言って自分にルールや決め事をつけてしまうと、そこに耐え切れなくなる自分も出てくると思うんですよ。なので、覚悟を持たないという生き方が僕の覚悟なのかもしれないですね。芸人を志したときは、『絶対売れてやる。売れるか死ぬかだ』と思ってやっていましたから、そこでの10年間は今思い出してもしんどかったですし、あと本当に自分のことばかりだったなと、人の気持ちが汲み取れていなかったなという思いもあります。僕にとってはそれは違うのかなと。何かを決めてそこだけに進むというのは、僕の生き方とはちょっと違うのかなって思いますね。」
Q4 カッコイイ大人とは?
小宮「いい意味でどんどん常識をぶっ壊す人ですね。僕にとってカッコイイ大人って名刺交換の時でも常識をぶっ壊すことができる人です。例えば、これ僕の名刺なんですけど、裏がトランプになっているんですよ。で、このトランプに名前を書くんです。(裏がトランプになっている名刺を3枚取り出し、重ねた一番上の一枚に名前を書く小宮さん。)この名前を書いた一枚を一番下に入れる。でも、指を鳴らすと上がってくるんです。(名前を書いた名刺が下から一番上に上がってくるマジックを披露。) このマジックをやって『小宮です』とお渡しするんですね。どうです?これってただの名刺交換じゃなくて、手品が入りますけど、そこで僕のインパクトを残せるじゃないですか。名刺交換でこれをやるか?っていう。このぶっ壊し方がかっこいいなって思うんですけど。かっこ良くないか(笑)。」
Q5 今後に向けて
小宮「スマイルケア名古屋の理念でもある『笑顔の力で老後を元気に』という言葉があるんですけど、関わって頂ける高齢者の方、目の前の一人を笑顔にすることができれば、その方から、一人から二人、二人から三人って伝染していくと思うんですよね。一人ひとり関わった方を笑かす、笑顔にするということの連鎖が続いていけば、将来的にもっと僕の思っているよりも笑顔の輪が広がっていくんじゃないかと思っています。そうなりたいですね。」
日本のアカルイ未来のために
小宮「変わることを恐れないで欲しいと思います。性格も、考え方も、彼女も、奥様も変わる人がいますけど。夢見ている所とは将来違う所に行くかもしれないけれど、その違った場所で、僕は一足先に待っていますから、そこで皆さんと一緒に世界を変えていけたらと思います。ありがとうございました。」
情報提供元: マガジンサミット