耳掃除、ずっとしないとどうなるの?
2016-10-27 18:30:33
執筆:青井 梨花(助産師・看護師・タッチケアトレーナー)
「耳掃除は気持ちが良い!」と感じる人は多いでしょう。
仕事や勉強、家事や育児が忙しいと「最近、耳掃除してなかったな」といったこともあるかもしれませんね。
耳あかがたまることで、身体への害はあるのでしょうか? 今回は医学的側面から、お伝えしようと思います。
耳あかはなぜたまるのか?
「耳あか」とは、耳の穴から鼓膜までの「外耳道」のうち、とくに耳の穴から近い3分の2の部分の皮膚の表皮がはがれ落ちたものに、外耳道にある耳垢線(じこうせん)や皮脂腺からでる分泌物、さらに外からの塵(ちり)やほこりなどが混ざり合ったものをいいます。
耳あかの種類には、カサカサした「乾性耳垢(かんせいじこう)」と、ベタベタした「湿性耳垢(しつせいじこう)」の2種類があります。
日本人を含む東洋人(黄色人種)の約6~7割がカサカサした乾性耳垢であるといわれています。反対に、欧米では約9割もの人が湿性耳垢であるといわれています。
耳掃除をしないとどうなるの?
耳あかは、身体のしくみによって自然に排泄されます。
基本的には食べ物をかんだり、おしゃべりのときなどにあごを動かすことによって、少しずつ自然に中から外へと排泄されています。
ところが、湿性耳垢の人やもともと外耳道が狭い人、子どもや高齢者などは、耳あかが溜まりやすいといわれています。さらに、耳の穴をふさぐほどたまると、耳の聞こえにも影響し、難聴を起こすことがあります。
これを「耳垢栓塞(じこうせんそく)」といいます。
難聴のほかにも、耳の閉塞感や耳鳴りなどの症状が出る場合もあります。また、乾性耳垢の人でもそのリスクはゼロではありません。
たとえば、耳あかが溜まっている状態でプールなどに入ると、水分を含んだ耳あかがふやけて膨張し、耳の穴をふさぐ可能性があります。ですから、乾性耳垢の人も注意が必要です。
耳掃除のしすぎもよくない!?
お伝えしたように、耳あかは自然に少しずつ入口に移動し排泄されるので、とくに乾性耳垢の人は、ほとんど耳掃除の必要がないともいわれます。かえって、無理に耳掃除することで、耳あかを奥に押し込んでしまいかねません。
また、外耳道の皮膚(表皮層)は、ほかの場所より薄くできています。そのため、耳掃除を頻繁にゴシゴシ力いっぱい無理におこなうと、外耳道の皮膚が傷つき、そこに細菌がつくことで炎症を起こしてしまう心配があります。
さらにそれが外耳道炎に発展することもあるので、注意しましょう。
では、どのように耳掃除をしたらいいのでしょうか?
正しい耳掃除の方法とは?
自分で掃除する場合は、目安として耳の穴から小指のつめが入る程のごく入り口付近のみにとどめましょう。ここをやさしく細い綿棒(太い綿棒だと、耳あかを奥に押し込んでしまうおそれあり)で拭き取る程度で十分です。
お子さんなどに家族が耳掃除をする場合、耳たぶの上あたりを後方に引いてみましょう。耳の中がみえやすくなるので、明るい場所で、見える範囲を掃除しましょう。
また、つい奥の方まで掃除してしまうのを防ぐためには、綿棒を短めに持つこともおすすめです。
頻度は1ヶ月に1~2度ほどで十分です。
ただし湿性耳垢の人、もともと外耳道が狭い人、子どもや高齢者の方などの比較的耳あかが溜まりやすい人は、2~3ヶ月に一度程度、耳鼻咽喉科で耳掃除をしてもらうとよいでしょう。
健康保険の適応内で、的確に安全にやってもらうことができますから、安心ですね。
<執筆者プロフィール>
青井 梨花(あおい・りか)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー
株式会社 とらうべ 社員。病院や地域の保健センターなど、さまざまな機関での勤務経験があるベテラン助産師。
現在は、育児やカラダの悩みを抱える女性たちの相談に応じている。プライベートでは一児の母。
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情報提供元: mocosuku