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「ストレス性の難聴」とはどういうこと?

2016-10-31 18:30:42


執筆:井上 愛子(保健師・助産師・看護師・保育士)
ケガや痛みがあるわけでもないのに、ある日突然、耳が聞こえづらくなる、ということがあります。
耳鼻科で検査をして、病名はついたものの「明らかな根本的な原因は分からない」という場合、「ストレス性の難聴」といわれることがあります。
ストレスが原因となる難聴にはどんな種類があり、どんな治療法があるのでしょうか。
最近症状に悩まされる人が増えている、この「ストレス性の難聴」について詳しく解説していきます。

ストレスによる難聴とはどういうもの?


ストレスが原因とされる難聴にはいくつか種類があります。そのうち、おもな難聴が次の3つです。
1.突発性難聴
2.急性低音性感音難聴
3.心因性難聴
これらはそれぞれどのような難聴なのでしょうか?
次から治療法と一緒にご紹介していきましょう。

1.突発性難聴について


鼓膜や耳の穴の通り道である「外耳道(がいじどう)」に何の異常もないのに、ある日突然聞こえが悪くなります。
両耳が同時に難聴になることは少なく、多くの場合は片側の耳だけが聞こえづらくなります。
そのため、聞こえの悪さに気がつかず、症状が進行してしまう可能性があるので、注意が必要な難聴ともいえます。聞こえの変化以外の自覚症状として、耳鳴りやめまい、吐き気、嘔吐などがあります。
突発性難聴の原因として、ストレスが原因で耳の中の血管が収縮し、血流障害で聞こえが悪くなるという説があります。しかしこのほかにもウィルスが原因という説もあり、明らかな原因は、はっきりと分かっていないのが実情です。
過去の統計結果では、2001年には40代から50代の女性に多く見られていました。しかし最近では、10代から20代の若年層の患者も増えていて、男性患者も増加傾向にあります。
現在では、年齢や性別の差はそれほど見られなくなっていて、誰でもなる可能性のある難聴とされてきています。

治療法


ウィルスや血流障害が原因とされる説があることから、安静や休養のほかにも内服や重症の場合は点滴投与をすることがあります。
突発性難聴の特徴は、症状が出てからの進行が早く、治療開始が遅くなればなるほど回復が難しくなることです。症状が出た時は1日でも早く耳鼻科を受診しましょう。遅くとも2週間以内の受診が望ましいとされています。
治療を受けて完全に聴力が戻ったという人もいれば、半分程度まで回復したなど、個人差はさまざまです。だからこそ、1日でも早く受診することが大切だといえるでしょう。

2.急性低音性感音難聴について


ストレスや自律神経、ホルモンバランスの乱れなどが原因といわれています。ただ、突発性難聴と同じように、はっきりとした原因はまだ分かっていません。
ストレスなどの先にあげた理由がきっかけで、耳の奥にある「蝸牛(かぎゅう)」の周りを走るリンパ管が“パンパンに膨らんでしまう”という現象が起こります。すると、低い周波数を感じる神経に影響が及びます。
また音によるリンパ液の震えが通常よりも悪くなり、低い周波数の音が聞き取りづらくなります。
症状には、耳に水が入ったような違和感や耳が詰まったような感じ(耳閉感:じへいかん)、自分の声が響くといった症状が見られます。また、音自体は聞こえていても、低い音が聞こえづらい、音が歪んで聞こえる、「ザー」という低い音の耳鳴りがするなどの症状が出ることもあります。
両耳に起こることは少なく、片耳だけ症状が出ることがほとんどです。患者層としては、20代から40代の女性に多く、男性の約2倍多いという特徴があります。

治療法


リンパ管が膨れることで起こる難聴であることを踏まえ、内服治療が行われます。
自然に治ることもありますが、治療しても再発しやすく、再発を繰り返すうちに治りにくくなることも特徴のひとつです。「治療しても治らない」と自己判断せず、ほかの原因が隠れている可能性もあるため、症状を感じたら耳鼻科を受診することが大切です。

3.心因性難聴について


耳や脳には何の異常も認められないのに、ストレスによって心が周りの音に対して拒否反応を起こしてしまう、これが心因性難聴です。
自覚がなく、定期健診の聴力検査で聴力が低下していることに気づいた、というものから、ある日突然全く聞こえなくなったなど、聞こえの程度はさまざまです。両耳同時に聞こえなくなることも少なくありません。
いじめや両親の離婚などがきっかけとなることもあります。
おもに子どもがなりやすいといわれ、6歳から14歳の女児に多い難聴です。心の問題で起こる難聴なので、離婚や介護、家族の死、会社でのストレスなどをきっかけに、もちろん大人が発症することも珍しくはありません。

治療法


まずは耳や脳に異常がないかを検査し、異常がないと認められた上で、心の問題を解決していきます。
耳自体の異常はないので、内服などは必要ありません。ストレスを取り除くことで少しずつ聞こえるようになります。
原因となる心の問題が何なのか、そのストレスを取り除けるよう、本人や家族、学校や会社など周囲も含め、本人の状態をしっかり理解することが大切です。
通院の際は、耳鼻科だけでなく、必要であれば心療内科や精神科などに通い、心のケアの専門家のサポートを受けることも大切です。
どのタイプの難聴であっても、共通しているのはストレスが原因のひとつとされていることです。
そのため、まずはココロとカラダへのストレスの対処が基本となります。安静、休養をしっかりとり、3食バランスの良い食事をとり、規則正しいリズムを心がけることが大切です。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

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情報提供元: mocosuku

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