あなたもアブナイ? これだけあるデスクワークの危険性
2016-11-06 18:30:50
執筆:井上 愛子(保健師)
仕事中ずっと座りっぱなしで長時間パソコン作業をしている人も多いことでしょう。
デスクワークをしていると、いつのまにか姿勢が悪くなっていることはありませんか?
実は姿勢が悪い状態が続くことで、身体に不調をきたすことがあります。
今回はデスクワークの危険性と予防法について、ご紹介していきたいと思います。
デスクワークで身体に不調をきたす?
デスクワークでは、長時間座りっぱなしということも珍しくありません。
デスクワークで次のような状態が習慣になっていると、身体に不調をきたす可能性があります。
・足を組む
・猫背になっている
・PCモニターとの距離が40センチ以内である
・作業の合間に意識的に休憩を取ることがない
・椅子と机の高さが身体に合っていない
・運動習慣もなく、ストレッチなどもしない
それでは、具体的にどのようなリスクが隠れているのでしょうか?
デスクワークやPC作業の姿勢がもたらす影響
ずっと下ばかり向いて作業をしていると、背骨が丸くなり、猫背になってしまいます。
猫背が治らなくなると、「円背(えんばい・えんぱい:脊椎湾曲症の一種)」や「脊椎後弯変形(せきついこうわんへんけい)」といわれる状態になることもあります。そのため、良い姿勢を意識してとることが大切です。
猫背であごが前に出ると、首の後ろ側が縮むため、筋肉が緊張したり、血行不良が起きやすくなります。そうすると、首・肩こり、腰痛が起きやすくなります。
また、自律神経も圧迫されるため、偏頭痛や耳鳴り、眼精疲労・カスミ目といった不調をきたすこともあります。
さらに、内臓も圧迫されやすくなります。内臓が圧迫されると、呼吸が浅くなり、胃もたれ・便秘なども起こしやすくなります。
そのほか、現代病といわれる「ストレートネック」のリスクも高くなります。
姿勢よく座っているとき、頭の重さの負荷は体重の8~13%です。ところが、前にうつむく状態になると頭の負荷がどんどん大きくなります。その重みに耐えるため、首の生理的な湾曲がなくなっていきます。これがストレートネックといわれる状態です。
上記でご紹介した諸症状に加えて「首の痛み」「首が動かなくなる」「めまい」「ふらつき」「寝違いを繰り返しやすくなる」などの症状が出ることもあります。
ここまでご紹介したリスクのほかにも、女性にとっても悩みの種である「二重あご」や「しわ」の原因になる可能性もあるので、気をつけたいですね。
デスクワークは生活習慣病のリスクが高くなる?
デスクワークであまり身体を動かさないことに加えて、日頃の生活でも身体を動かさない生活をしていると、筋力が減り、代謝が悪くなってしまいます。
また、基礎代謝に見合ったカロリー以上の食事や間食などを習慣にしていると、体重(内臓脂肪)がふえて、生活習慣病の原因となってしまいます。
デスクワークの人は要注意のVDT症候群
パソコン作業やスマホの普及により、長時間画面を見続けることが増えてきました。
このことが原因で、眼精疲労やドライアイのほか、肩こり、腕の痛み、頭痛、不眠、イライラ感、不安感、抑うつ状態などの症状を訴える人が増えています。
これらの症状は、総称して「VDT症候群」と呼ばれています。原因としては次のようなことがあげられます。
・長時間同じ姿勢をしていたり、同じ方へ視線が向けられている
・単調な入力作業や高度な作業を連続して行っている
・照明や椅子の高さ、画面の明るさなどが合わない
VDT症候群を予防するためには、次のことに気をつけましょう。
・部屋の明るさ画面の明るさを調整する
・姿勢に気をつける
・画面との距離を40~50センチ離す
・1時間ごとに10分程度の休憩をとる
・時々身体をほぐすなど
デスクワークの人が健康のために行うべき大切なこと
このように、デスクワークにはさまざまな不調をきたす危険性があります。しかし、だからといって、今すぐ仕事を変えるわけにもいかないでしょう。
生活の中で少し工夫するだけでも、デスクワークのリスクを下げることができます。ふだんの生活では、次のことに気をつけてみましょう。
・正しい姿勢で座る
・1時間に1回は体を動かしてストレッチをする
・椅子や机の高さ、照明などの環境を整える
・筋力低下予防、血行の改善・代謝を下げないためにも日頃から運動習慣を持つ
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
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情報提供元: mocosuku