有機野菜・オーガニック野菜・特別栽培野菜…違いは?
2016-11-11 12:00:41
執筆:永吉 峰子(管理栄養士)
食や健康への関心が高い方を中心に広まった有機野菜。
今ではスーパーでも専用コーナーができるなど目につく機会も増えました。
そんな有機野菜ですが「オーガニック野菜」といった表示も目につき、どれを選んでいいのか迷ってしまいますよね。
そこで今回はこれらの野菜について、管理栄養士の私が詳しく解説していきます。
「有機野菜」と「オーガニック野菜」の違いは?
オーガニックとは自然循環型生活を推奨する考え方
オーガニックというと、「体によい」「ヘルシー」「地球にやさしい」などのイメージを持たれる方が多いですよね。
そもそもオーガニックとは、地球環境保全や自然との共生、地産地消や貧困地域での労働環境改善など、多様な目的を持った考え方のことを言います。
つまり「なるべく自然に近い形で循環可能な世界を目指している」ということになります。
そしてそんなオーガニックの考え方で作られた野菜は、化学的な物質に頼らず作られています。
オーガニック野菜=有機野菜
このようなオーガニックの考え方に基づいて、農薬や化学肥料に頼らずに作られた野菜が有機野菜です。
ですから有機野菜とオーガニック野菜は同じものなのです。
しかしどの野菜でも有機野菜やオーガニック野菜として販売できるわけではありません。そこには法律で定められた厳格な基準があります。
有機野菜の基準とは
有機野菜の基準は沢山ありますが、簡単にまとめると以下のようになります。
1. 農薬や化学肥料を2~3年(作物によって異なる)使っていない土地で育てられている
2. ほかの作物や農薬などの混入を防ぐ対策がとられている
3. 遺伝子組み換えではない
栽培期間だけでなく作物を作る土地での農薬などの使用が禁止され、期限もあることがポイントです。
さらに、有機野菜は他の野菜と混入しないようにして梱包などをしなければなりません。こうした厳しい基準のクリアしたものだけが、有機野菜として出荷されるのです。
有機野菜とは違う特別栽培野菜とは?
通常よりも農薬や肥料の使用量が少ない野菜
スーパーなどでは有機野菜の他に、特別栽培野菜というものも販売されています。
特別栽培野菜とは、通常よりも農薬や化学肥料の使用量が少ない野菜のことを言います。
具体的には「栽培中の化学肥料や農薬の量が、その地域で慣行的に使われている量の半分以下」であることと定められています。
かつてはルール無しに販売されていた「無農薬野菜」「減農薬野菜」
特別栽培野菜のルールができるまでは、農家が独自の基準で無農薬や減農薬をうたっていました。
しかし栽培中は農薬を減らしていても、土壌を作る時に農薬を使っている野菜も存在したのです。また、認定されるのに少なくとも2~3年かかる有機野菜よりも、栽培中のみ農薬を使用しない無農薬野菜の方が消費者のイメージよいなどの矛盾もありました。
そこで、農水省が特別栽培野菜のルールを定めたのです。現在は減農薬や無農薬の野菜に関しては、特別栽培野菜表示をした上で「栽培期間中農薬不使用」や「農薬使用量当地比○%」などの表示をすることと定められています。
有機野菜の味や栄養価は他の野菜とは違うの?
有機野菜は味が濃い、栄養価が高いなどと聞きますが、残念ながら有機野菜と他の野菜の栄養価や味の違いは明確にはわかっていません。
これは一言で有機野菜と言っても栽培された土地は様々で、その土地や製法により大きく味や栄養価も異なってくる為です。
しかし、有機野菜は自然に近い方法で作られていて通常の野菜よりも厳しい環境下に置かれているので、味や栄養価が濃縮するといった側面はあるようです。
有機野菜・オーガニック野菜は厳格な基準の元に作られています。安心・安全もさることながら、その味の違いなどもぜひ味わってみてくださいね。
<筆者プロフィール>
永吉峰子(ながよし・みねこ)
管理栄養士。大手小売企業にて店長、商品開発を経験後、現在は「健康」「食」に関する執筆を中心に活動中
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情報提供元: mocosuku