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《デリケートな女性の悩み》 尿漏れ

2016-11-18 21:30:22


執筆:青井 梨花(助産師・看護師)
「まさか!?私が尿漏れするなんて!」
「もっと歳をとってから悩むものかと思っていたのに・・・」
風邪でくしゃみをした時、テレビ番組を観て大爆笑した時など「え!?尿漏れ?」と、ヒヤリとしたことのある女性は決して少なくないのではないでしょうか。
実は意外に多いといわれる「女性の尿漏れ」。
今回はその原因と対策をお伝えします。

あなたの尿漏れはどのタイプ?


尿漏れのタイプは、原因・症状別にいくつか分類されます。
ここではおもに女性に多いとされる2種類のタイプについて、症状と原因をみてみましょう。

タイプ1:腹圧性尿失禁


くしゃみや咳、大笑いしたときや重いものを持ち上げたときなど、おなかに力が入ったときに尿が漏れてしまうタイプ。
妊娠・出産や加齢などによって、骨盤底筋がゆるんでくることが原因です。
骨盤底筋とは骨盤内にある膀胱・子宮・直腸といった臓器を、下からハンモックのように支えている筋肉群のことです。
この骨盤底筋の中央にある、尿道・膣・肛門の各括約筋が、骨盤底筋と一体となって「尿道」「膣」「肛門」を締める役割をしています。
ですから、骨盤底がゆるむと一時的な腹圧でも尿漏れを起こすのです。
昨今、ライフスタイルの変化によって、若い世代の間でも骨盤底筋をはじめとするインナーマッスルがうまく使えていない人が増えてきました。そのため、20代でも悩みを抱えている人もいます。

タイプ2:切迫性尿失禁


尿意を感じてトイレにいこうとしたら漏れてしまったり、下着をおろしている間に我慢できずに尿が漏れてしまうタイプ。
尿意や、冷え・冷たい水を使った時、生理前などの刺激に反応して、膀胱が意に反して収縮してしまうことで尿漏れを起こします。
また、「混合型尿失禁」といって、腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方が混在しているタイプもあります。

タイプ別対処法とセルフケアはこれ!


タイプ1:腹圧性尿失禁の対処法


骨盤底のゆるみが原因ですので、骨盤底筋を鍛える体操がおすすめです。
骨盤底筋を鍛える方法にはさまざまありますが、まずは肛門の括約筋を鍛えるエクササイズからはじめるとわかりやすいでしょう。
(1)あおむけに寝て、両腕は身体に沿うよう、手のひらを下にしてリラックス。
(2)寝たままの姿勢で、つま先をピンとのばして、太ももを含めて全身が伸びているのを意識!
(3)そのまま、肛門一点をカラダの中に吸い込むようなイメージでしっかりしめて、10秒キープ。

目に見えない場所なので効果があるのかわかりにくいですが、まずは3ヶ月続けてみましょう。効果的にエクササイズがおこなえているか、専門家が確認しつつ指導してくれる病院もあります。

タイプ2:切迫性尿失禁の対処法


膀胱の収縮にかかわる筋肉の緊張をやわらげる「抗コリン薬」などの内服による治療法があります。
そのほか、尿が膀胱にある程度たまるまで、尿意を感じてもトイレに行かないようにする「膀胱トレーニング」をおこなって、経過をみていくケースもあります。

日常生活で気をつけることは?


日常生活では、次のことが症状の改善や悪化の予防につながります。
・骨盤底に負担のかかる肥満や便秘を解消する
・身体を冷やさない
・疲れやストレスをためない
  など

また、日常生活をより快適に過ごすために、尿漏れ用の薄型パッドを使用するのも方法のひとつです。
生理用やおりものシートで代用する方もいるようですが、今はより吸水性や吸湿性、においに配慮されたものが販売されていますから、尿漏れ専用の薄型パッドの使用が安心でおすすめです。
これらのケア・治療をおこなっても尿漏れの改善がまったくみられない場合には、手術を検討することもあります。
尿漏れの原因は、さまざまな要因が絡んでおこっていることもあります。
たとえば、子宮筋腫を合併していて、膀胱を圧迫していることもあるでしょう。
デリケートな部分の問題ですから、なかなか相談に行くのにためらうこともあるかもしれません。
それでも、骨盤底筋体操やセルフケアをおこなってみても症状が続く場合には、一度、婦人科や女性泌尿器科、女性外来などの専門医に相談しましょう。
<執筆者プロフィール>
青井 梨花(あおい・りか)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー
株式会社 とらうべ 社員。病院や地域の保健センターなど、さまざまな機関での勤務経験があるベテラン助産師。
現在は、育児やカラダの悩みを抱える女性たちの相談に応じている。プライベートでは一児の母。

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情報提供元: mocosuku

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