E START

E START トップページ > マガジン > 「アスペルガー症候群」を正しく知りましょう

「アスペルガー症候群」を正しく知りましょう

2016-11-19 18:30:35


執筆:松本 たお(正看護師・新生児蘇生法NCPR専門コース終了認定者)
「アスペルガー症候群」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
これは近年認知度が急速に高まっている、発達障害のひとつです。現在は「自閉症スペクトラム障害」に分類されるようになりましたが、その中でも自閉症とはいくつか違った特徴を持っています。
そんなアスペルガー症候群、具体的にどのようなものなのか、原因や症状、対策について解説していきます。

アスペルガー症候群の症状


アスペルガー症候群の症状は、コミュニケーション・社会性・想像力のいずれかに現れると言われています。
特に場の空気を読んだり相手の気持ちを察するということが困難になります。
しかし言語の遅れやIQの低さは見られないために障害とは気付かれず、「変わった人」と認識されることが多かったようです。周囲にわかってもらえないのは何より本人が辛かったことと思いますが、近年では認知度も高くなってきました。
特定のものへ過剰な興味を示すというのもアスペルガー症候群の特徴のひとつです。
人並外れた興味の持ち方で、集中力・記憶力など強い能力を発揮します。
一方でこだわりも強くなり、本人なりの時間割やルールが変更されてしまうと混乱してしまうのです。
同じ自閉症スペクトラム障害に分類される「自閉症」とは、境界線を引くのが難しい面もありますが、1番大きな違いはアスペルガー症候群には言語の遅れが見られないという点です。

アスペルガー症候群の原因


アスペルガー症候群の原因については、現在もたくさんの研究がされていますが未だはっきりした根拠がつかめていません。
有力なのは“遺伝子が関係している”という説と、“脳機能の異常によるもの”という説です。
親の育て方やしつけ、環境などによって発症するものではないということは明らかにされています。周囲の誤解は当事者や家族を苦しめます。ですので周囲にはしっかり理解してほしいものです。

アスペルガー症候群への対策・付き合い方


現在アスペルガー症候群への直接の治療薬というものはなく、医療機関では行動療法や心理療法が行われます。
しかし1番大切なのは周囲の人が理解を示し、関わり方を工夫していくことです。
周囲の理解があれば保育園や幼稚園、学校、職場など、様々な環境で適応出来るものなのです。
アスペルガー症候群の人は「察する」ということが出来ず、些細なこともひとつひとつ伝える必要があります。そのため1日の時間割りや仕事の流れは、なるべく毎日同じスケジュールにすることで助けられます。突然の変更には混乱してしまいがちなので注意が必要です。
何かを伝えなければならないとき、怒ったり否定したりする伝え方は避けましょう。
皮肉や遠まわしな表現も理解しにくいので、伝えたいことを端的にはっきり伝えるのが好ましいです。また視覚に訴えるやり方は理解しやすいので、表などに書いて説明するのも良いでしょう。
アスペルガー症候群の人は限局した興味関心を示し、大きな力を発揮します。これは障害と言えども素晴らしい長所でもあるのです。
本人や家族がこのような特徴を前向きに捉え、発揮出来る機会を整えることが出来ます。こういったアスペルガー症候群の特性から、専門性を持った職業についている人もいるようです。
アスペルガー症候群は原因や治療薬も見つかっていない障害ですが、周囲の理解で社会生活を送っていくことが出来ます。
まずは医療機関で診断を受けることで、生き辛さが解消される糸口を見つけられるかもしれません。
本人・家族・そして周囲の理解で良いところを伸ばし、上手に付き合っていきましょう。
<執筆者プロフィール>
松本 たお(まつもと たお)
正看護師・新生児蘇生法NCPR専門コース終了認定者   
精神科・産婦人科・助産院での臨床経験を持つ正看護師。現在は育児に奮闘中の二児の母。

関連記事

情報提供元: mocosuku

人気記事