朝活も残業も、成功のカギは「朝型」か「夜型」か?
2016-12-04 12:00:01
執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
出勤前や休日の早朝に、読書、スポーツ、趣味などさまざまな活動を行う「朝活」。
「就活」や「婚活」にならって4~5年前からブームとなり一部では定着していますね。
一方、昨今はニュースで企業での過重労働が社会問題になっているように、やりすぎは問題ですが就業時間後に居残って仕事を続ける「残業」。
朝活とは反対に、おもに夜間の活動がメインとなります。
朝活と残業では、一体どちらが仕事の効率はアップするのでしょうか?
朝活派の理由
2015年にマイナビウーマンが行なったWEB調査によると、仕事の効率についてはズバリ「朝活」に軍配が上がりました。73.3%(夜残業を選んだのは26.7%)が選んでいます。
その理由には次のような項目がありました。
・夜はプライベートを充実させたい
夜にはそもそも仕事をやる気はないということですね。公私を分けて昼間は仕事、夜はプライベートというのは、立派なワークライフバランスで、きっとこういう人は、夜のプライベートのパフォーマンスも高いことでしょう。
・朝の勉強は夜よりも効率がいいと聴いたことがある
朝の勉強の効率については、睡眠中に記憶が整理され、朝は、記憶の干渉を受けずに脳内に情報を送り込めると考えられ、一日の中でも朝は、もっとも頭脳がさえわたっている時間帯と思っている人も少なくないようです。ただし、実証されているわけではないようですよ。
・起きて15時間以上経つと、酔っ払いくらいのパフォーマンスしか出ないらしい
もうこの時間帯になると、心身ともにかなり疲れているということでしょう。昔ながらの「早起きは三文の得」も、これに似た意味だろうと思われます。
残業派の理由
一方、少数ながら「残業」を選んだ人の理由には、次の二つが挙げられていました。
・夜の静けさが好き
朝や昼は慌ただしくて、ミーティングや電話応対などもあり、集中して作業に取り組めるのは夜だからというわけです。
確かに、勉強を始め一人でやらなければならない作業は、他人がいると注意力散漫になったり、気や時間をとられたりと、効率が悪くなることもよくあることでしょう。ただし、作業と違って仕事は、通例はチームでやっているものですから、ミーティングや電話応対もふくめてパフォーマンスを高めることが仕事効率のアップです。
・夜型だから
もともと朝よりも夜に活動することを得意とするタイプだということですね。3分の2の人はどちらでもない中間タイプだそうですが、確かに朝を得意とする「朝型」と、「夜型」がいます。
朝型と夜型
睡眠のとり方に関して多様なパターンがあることが知られてきています。その一つが「朝型」「夜型」です。
朝型は平均的な人より2時間ほど早く起き、朝から活発に活動し、日が暮れるころには疲れてさっさと眠るという生活パターンを示しています。
一方の夜型は、平均的な人より2時間くらい遅く起き、午前中はぐずぐずしてあまり活動せず、日が暮れてから活発に動き出し、夜はなかなか眠らないという特徴をもっています。
これらのタイプは生得的(せいとくてき、生まれながらに備わっているさま)になりやすいらしいことが分かってきたという専門家もおり、朝型に夜勤をやらせたり、夜型が早朝に仕事をするなどは、パフォーマンスも悪く、長続きもしないし下手をすると体調も崩すなどといわれています。
朝型には「朝活」、夜型には「残業」と、タイプに合った活動が効率的だということですね。
活動のゴールデンタイムはあるの?
お肌のゴールデンタイム、腸のゴールデンタイム、睡眠のゴールデンタイムなど、脳や神経系を始め身体のはたらきが急速に解明されている昨今。
どの時間帯に何をすることが健康や心身の発達やアンチ・エージングにとって効果的かということが喧伝されています。
現在のところ、勉強や仕事の効率にとって実証されたゴールデンタイムはまだ判明していないようですが、近い将来、医学の進歩は、その答えを見つけてくれるかもしれません。
【参考】
・岡田尊司『人はなぜ眠れないのか』幻冬舎新書、2011
・コトバンク『朝活』(https://kotobank.jp/word/%E6%9C%9D%E6%B4%BB-666292)
・『マイナビウーマン』にて2015年8月にWebアンケート。有効回答数172件(22歳~34歳の働く女性)(http://woman.mynavi.jp/article/150831-198/)
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
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情報提供元: mocosuku