ADHD(注意欠陥多動性障害)は先天的な障害。正しい理解を
2016-12-05 12:00:46
執筆:松本 たお(正看護師・新生児蘇生法NCPR専門コース終了認定者)
ADHDとは「注意欠陥多動性障害」のことを言います。
発達障害のひとつで、年齢や発達段階に相応しくない集中力の欠如、多動性、衝動性などの行動障害が見られます。
ADHDについて、原因や対策をまとめてみました。これを機にADHDについてもっと知っていただければと思います。
ADHDの原因は?
ADHDは先天的な障害と言われています。確かな原因は解明されていませんが、脳の機能異常という説が有力視されています。
親の育て方やしつけ、環境などの後天的な理由で発症するものではないという理解が必要です。
ADHDはいつ発症する?
ADHDはある日突然発症するものではありません。
しかし乳児期には認知・学習などの機能は未熟なため、ADHDに気付くことはあまりありません。多くの場合は幼児期に入り、集団生活を始める頃に症状に気が付きます。
大人になってからADHDの診断を受けるケースもあります。
これも突然発症するわけではなく、ある環境におかれることで症状に気付かされるのです。
ADHDは他の発達障害と症状が重なり見分けにくい場合もあるので、自己判断せず医療機関を受診する必要があります。
ADHDとの付き合い方
ADHDと診断されたら、どのように付き合っていったら良いでしょう。
ADHDの人は、ルールや枠組みを決めてあげると対応しやすい傾向にあります。
片付けが出来ないのなら散らかして良い場所を決めたり、全てをしまえるボックスを設置したりすると良いです。1日のタイムスケジュールが決まっていると、やらなければいけないことをこなすことが出来るようになります。仕事や学習には、集中出来る環境を整えることが大事です。
どこかへ走って行ってしまう、友達に乱暴してしまうなどの多動性には、その都度きちんと伝えていく必要があります。
興奮状態のときは避け、一度落ち着いてから伝えるようにします。その際感情的に伝えてはいけません。
否定的な言葉は避け気持ちを受容しつつも、いけないことはいけないとしっかり伝えましょう。絵や表に書いて視覚に訴えると、ルールや約束事を理解しやすいと言われています。
多動性は初めて行く場所や静かにしなければならない場所など、緊張する場面でよく現れる傾向があります。「じっとしていてね」と何度も伝えるのは緊張感が増してしまいます。好きなおもちゃや絵本など、気を紛らわせるものを事前に準備しておくと良いでしょう。
またこれらのことが上手くいったとき、褒めてあげることも大切です。後から褒めるのではなく、その場で伝えるのがポイントです。
ADHDは周囲の関わり方の工夫で症状が落ち着きます。本人に出来ることは、なるべくストレスをためないこと。
年齢を重ねていくうちに、徐々に自分に合ったストレス発散方法を見つけ、症状が悪化しないよう上手に付き合っていきましょう。
<執筆者プロフィール>
松本 たお(まつもと たお)
正看護師・新生児蘇生法NCPR専門コース終了認定者
精神科・産婦人科・助産院での臨床経験を持つ正看護師。現在は育児に奮闘中の二児の母。
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情報提供元: mocosuku