「肌」と「皮膚」は別のもの? 健康的な美肌について
2016-12-08 21:30:53
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
健康的な美肌は美容の最重要課題といっても過言ではありませんね。
肌がきれいでないとメイクもつい厚塗りになり、さらに肌によくない状態を作ってしまう……という悪循環に陥りやすいもの。
健康的かつ美しい、そんな「美肌」はどうしたらつくれるのか、今回は考えてみようと思います。
皮膚は人間の最大の臓器
皮膚は、心臓や肺などと同じ臓器のひとつです。
複雑な仕組みを持ち、身体を健康に保つのに重要な働きをしています。全身を覆っていることから、最大の臓器と言えます。その半面、皮膚は非常に薄く、表皮と真皮を合わせて厚さは約2mmしかありません。面積は大人で約1万6000平方cm、重さは体重の8%といわれています。体重50kgの女性なら、皮膚の重さは4kgです。
ところで同じものを指して「皮膚」と「肌」という言いかたをしますが、どう違うのでしょうか?
実は医学分野では「皮膚」、美容業界では「肌」と表現するのが通例だそうです。
皮脂に注目!
では「美肌」とはどんな肌の状態を指すのでしょうか?
皮膚そのものについていうなら、それは表皮の状態を指します。皮膚の表面には、絶えず皮脂と汗が分泌されています。皮脂は油で汗は水ですが、それが皮膚の表面ではうまく一様に混じって、薄い膜を作っているのです。
この皮脂膜が適度に保たれることで、皮膚の表面は滑らかで、潤いがある、しなやかな状態に保たれます。ただし、皮脂の分泌には個人差があり、多ければ「脂性の肌」、少なければ「乾性の肌」になります。
脂性ならばニキビ、乾性ならばアトピー性皮膚炎になりやすくなるので、皮脂の分泌具合にに合ったケアが必要になります。
健康と密接につながっている皮膚
また、皮膚には身体の調子も表れます。
とくに内臓の病気が表れることが多く、逆に皮膚の病気が内臓に影響を与えることもあります。つまり、生き生きとした張りのある美しい皮膚は、健康な身体があって初めて生まれるものといえます。
皮膚は外界のさまざまなものと直接触れています。なかには私たちの身体に害を及ぼすものもあり、身体をそれらから守ってくれる働きも持っています。日光や温度の変化、湿度やほこり、また化粧品や医薬品など、実感できない程度の刺激からも皮膚は影響を受けているのです。
皮膚の美しさは体の内側から
外界からの刺激を完全にシャットアウトすることはできません。
したがって、皮膚の美しさをつくるには、「身体の内側」から皮膚を支え、外側から受ける刺激の影響を軽減することが大切です。
具体的には、自律神経、ホルモン分泌、免疫系などが関係してきます。とはいえ、これらの機能も加齢によって弱ってきます。
若い頃なら一晩ゆっくり寝れば回復していたものが、歳をとると段々と追いつかなくなってきます。さらに、睡眠不足やストレスなどがあると回復はさらに遅くなります。
また、生理前、季節の変わり目、更年期の頃などは、皮膚も不安定な状態になりがちです。
身体の内側と外側、両方を健康に保ってこそ美しい肌は手に入るといえるでしょう。
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
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情報提供元: mocosuku