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12月11日は、「いに(12)いい(11)」で胃腸の日

2016-12-11 12:00:17


執筆:井上 愛子(保健師・看護師)
忘年会など「機会飲酒」が増える季節になりました。あなたの胃腸は大丈夫ですか?
12月11日は日本OTC協会が「胃腸の日(イニイイ)」と定めています。
忙しい年の瀬だからこそ、胃腸をいたわってあげませんか?新しい年を元気に迎えるためにも、気をつけたい胃腸の症状とケアについて見ていきましょう。

これって病院に行った方がいいの?


「なんとなく胃腸の調子が悪いなぁ」という経験は、一度くらい誰しもあることでしょう。
ただ胃腸の不調の原因がはっきりしていて、3日以内に症状が改善される場合のほとんどは、心配しなくても大丈夫です。なぜなら、荒れた胃の粘膜が修復されるまでにかかる時間は、約60時間(約2.5日)とされているからです。
ところが一方では、放っておくと危険な症状もあります。次のような症状がある場合には、病気の可能性があるので注意しましょう。

激痛、3時間以上の持続痛、動くと響く痛み、突然の痛み、いつもと違う痛み


急激な痛みの代表格である虫垂炎、急性胃炎などの可能性があります。

吐血(とけつ:血を吐く)


食道や十二指腸、胃などからの出血が原因の可能性があります。

タール便(黒っぽい便)


胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんの疑いがあります。出血から時間が経っているほど、問題のある消化器が肛門から遠い場所にあることを意味しています。

下痢が続く、便秘と下痢を繰り返す


過敏性腸症候群、慢性腸炎、潰瘍性大腸炎の可能性があります。

胸焼けが止まらない


胃食道逆流症、十二指腸潰瘍、胃炎、胃潰瘍の可能性があります。

食べ物がつかえる


食道がんや食道静脈瘤の腫瘤が考えられます。また、肝硬変でも起こることがあります。

しゃっくりが3~4日とまらない


肝臓や食道に病変があると、つながっている横隔膜が刺激を受けてけいれんを起こした結果、しゃっくりが出ます。
痛む場所や症状の程度は、個人差があります。たとえば、急に腹痛をともなう印象が強い「虫垂炎」も、ズキズキとした痛みが続き、時間とともに右下腹部の痛みが強くなることがあります。
このように、ストレスによる胃の不調も抱えがちなビジネスパーソンに「いつものこと」と思われがちな症状であっても、危険な病気が隠れている可能性があります。
しかしこれだけではありません。
なかなか良くならない症状の裏には、思いもよらない「がん」が隠れていることがあります。次から詳しくみていきましょう。

膵臓がんの危険性


胃の症状は必ずしも胃の病気が原因で起こるわけではなく、周辺の臓器の不調が影響している可能性もあります。
たとえば胃の裏側にある膵臓(すいぞう)。
膵臓にがんが生じた時にも、胃の症状が出ることがあるのです。そして、膵臓がんだった場合、胃の内視鏡(胃カメラ)検査では発見することができません。
ですから、検査で「ストレスによる胃炎」と診断され、薬をきちんと飲んで生活にも気をつけているのに症状が長引くようであれば、胃以外の臓器の病気を疑って検査を受けることをおすすめします。
膵臓がんは静かに進行していきます。また、早期の段階では自覚症状に乏しいため、進行した状態で発見されることが多いがんでもあります。
胃のあたりの長引く不調がサインのひとつとして現れるため、膵臓の不調を胃の異常とを感じるケースが多くあります。ところが実際に検査を行うと、胃の病変も見つかってしまい、発見が遅れてしまうこともあるようです。
膵臓がんの患者数は年々増加傾向にあります。30~40代の働き盛りの方がかかることも珍しくありません。
胃の不調の裏には発見しづらいがんの可能性が潜んでいることを、ぜひ知っておいてください。そして、年末年始は病院への足が遠のきがちですが、先のばしにせず、チェックをしてくださいね。

胃腸のトラブルを防ぐために


年末年始は、胃腸のトラブルが起こりやすい生活パターンになりがちです。次のような生活は、胃腸に負担がかかるので注意しましょう。
・忘年会で、つい飲みすぎ、食べ過ぎてしまう
・ゆっくりと食事を摂る時間がとれずに早食いになる。食事時間も不規則
・外食が増えることで、脂っこいものや塩分の多い料理を食べる機会が増える。同時に野菜を食べる機会が減り、栄養バランスが崩れる
・公私ともに忙しく、精神的なストレスが溜まる、睡眠不足になる、疲れがたまりやすい(過労)

このような胃腸の負担を少しでも軽減するためにも、次のことを心がけましょう。
<予防法>

よく噛んでたべる


早食いは、食べ過ぎや消化不良のもととなります。

腹八分目にする


食べ過ぎると胃壁が過度に広がり、胃の収縮力を低下させて消化不良を起こします。

睡眠時間を確保する


睡眠不足や過労は胃粘膜の防御力を低下させます。

適度な運動をする


自律神経のはたらきを整え、胃腸の機能も高まります。肥満の予防にも。

ストレスの解消をこころがける


過剰なストレスも、胃腸の働きを低下させます。

年末年始のシーズンに


これから年末年始のシーズンにかけて、飲んだり食べたりする機会が増える人も多いでしょう。
とくにアルコールが肝臓に負担をかけることはよく知られていますが、胃や小腸にもダメージを与えます。そこで、飲み会の多い時期でも実践できるポイントや、翌日の食事の知恵をいくつかご紹介しましょう。
・飲む前、飲んでいる時、飲んだ後は水分補給を十分に! ※アルコール量と同等以上。カフェインはNG
・空腹では飲まない。飲む前の食べ物としておすすめ食品は乳製品。消化に時間のかかるタンパク質が含まれています。
・飲んでいるときはなるべく食べ物をつまみましょう。よく噛んで食べるカット野菜、枝豆もおすすめ。また、食事もお酒もゆっくり摂りましょう。ただし、摂りすぎには注意です。
・翌日はしじみ、大根、果物(グレープフルーツ、イチゴ、キウイなど)、野菜ジュース(果汁100%)を摂りましょう。

<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

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情報提供元: mocosuku

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