ワタシだけ?お腹が空くと怒りっぽくなるのはどうして?
2016-12-14 18:30:24
執筆:桜 イクミ(管理栄養士・健康運動指導士・フードスペシャリスト)
医療監修:株式会社とらうべ
お腹が空くとイライラしたり、怒りっぽくなった経験はないでしょうか。
それは異常なことではありません。
決してあなただけでなく、誰でも起こりうることなです。そしてこれは、ヒトの身体と脳のしくみに秘密があるようです。
その秘密を探ってみましょう。
お腹が空くと身体はどうなる?怒りっぽくなる?
お腹が空くとイライラしたり、怒りっぽくなるのは、「血糖値」と「セロトニン」に秘密があります。
どのように関係しているのでしょうか。
血糖値
身体は糖質をエネルギー源としています。糖質が不足している状態は、血糖値の低下がみられます。血糖値が低下すると、空腹の状態となり、身体は脳からエネルギー補給のサインを出します。
このように、お腹が空いているときには、血糖値の変化が関係しているのです。
また、血糖値が一気に低下すると、エネルギー源である糖質が不足します。すると身体は、タンパク質を分解することによって、アミノ酸からエネルギーを補給しようとします。
ただしアミノ酸は、脳内の神経伝達物質の材料としても使われています。そのため、アミノ酸がエネルギー補給として使われて不足することで神経伝達物質にも影響がおよび、疲れやすくなったり、イライラしやすくなります。
セロトニン
お腹が空くと、脳内物質である「セロトニン」の濃度が低下します。セロトニンの材料は、「トリプトファン」です。
このトリプトファンは、食べ物からしか摂取することができない必須アミノ酸です。お腹が空くと、トリプトファンが不足してしまうため、材料がなく、セロトニンが生成することができなくなります。
セロトニンが低下すると、怒りや興奮といった感情に関係しているホルモンである「ノルアドレナリン」の分泌が抑制できなくなり、活動している時に働く交感神経が優位となります。その結果、リラックス時に優位になる副交感神経の働きが低下し、怒りっぽくなったり、不安を感じやすくなります。
怒りっぽくならないためには
血糖値の対策としては、血糖値が下がり過ぎないようにするとよいでしょう。お腹が空いてイライラする前に、軽く食べ物を補給しましょう。
ただし急激に血糖値が上がると、急激に下がりやすくなります。ですから、食べ物を補給するときには血糖値を緩やかに上げるように注意しましょう。
たとえば、おにぎりやパンなどの糖質の多い食品のみをとってしまうと、急激に血糖値が上がってしまいます。これを防ぐためには、糖質の多い食品の前に、野菜サラダや野菜スープなどをはじめに摂ることが必要です。
またセロトニンの不足を防ぐために、セロトニンの材料であるトリプトファンを不足なく摂っておくこともよいでしょう。トリプトファンは、肉や魚介類などの動物性のタンパク質に多く含まれています。たとえば、カツオマグロ、さけなどの魚や牛肉、豚肉、鶏肉、チーズや牛乳などです。
トリプトファンは通常食事がしっかり摂れていると不足の心配はないといわれています。
しかし偏った食事や、食事量の制限を行っている方は注意が必要です。日頃の食事の中で不足していないか、見直してみてはいかがでしょうか。
<執筆者プロフィール>
桜 イクミ(さくら・いくみ)
管理栄養士・健康運動指導士・フードスペシャリスト
株式会社 とらうべ 社員。病院での栄養管理・栄養指導の経験を経て、現在は企業で働く人の食と健康指導を行っている
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku