この症状はもしかして…? 「更年期」について詳しく知ろう
2016-12-14 12:00:59
執筆:青井 梨花(助産師・看護師・タッチケアトレーナー)
医療監修:株式会社とらうべ
ほてったり、のぼせたり、やたらと汗をかいたり・・・「この症状、更年期なのでは?」と感じたことがある人もいるでしょう。
なぜ、更年期になるとさまざまなカラダの不調が起きるのか?
それは女性ホルモンのゆらぎが大きな要因なのです。詳しくみていきましょう。
そもそも更年期とは?
女性のカラダは、一生において女性ホルモンの影響を受けています。
とくに、女性の健康を支えるために重要な役割を担う女性ホルモンが「エストロゲン」です。このエストロゲンが分泌される卵巣は、40歳を過ぎた頃から徐々に機能が低下します。
これにともない女性ホルモンの分泌量も、急激に分泌したかと思うと急降下するなど、ゆらぎながら徐々に低下してきます。
女性はこのようなカラダの生理的変化を、まず「月経の変化」として感じることが多いでしょう。
月経周期が不規則になり、やがて約50歳で閉経を迎えるとエストロゲンの分泌も急激に低下します。この閉経をはさんで、前後5歳ずつの45歳~55歳くらいの計10年間ほどを「更年期」といいます。
またこの時期に、女性ホルモンの分泌のゆらぎ(変化)によって起こるさまざまな心身の不調を「更年期症状」とよび、とくにその中でも日常生活に支障が出るほどの症状を「更年期障害」とよんでいます。
更年期の症状って?
月経の変化(周期が短くなったり長くなったり、持続日数が短くなる、月経量の減少など)をはじめとする生殖器への作用はもちろん、エストロゲンが減少することで、心血管系や自律神経系、脂質代謝や骨代謝など、多くの器官が影響を受けるため、実際、カラダに不定愁訴(ふていしゅうそ)と呼ばれるさまざまな症状をもたらします。
自律神経系の症状
のぼせ・ほてり・汗・動悸・息切れ・疲れやすい・頭痛・めまい・肩こりなど
精神的症状
気分がひどく落ち込む・不安感・焦燥感・イライラなど情緒不安定、睡眠障害など
そのほかの症状
腰痛・皮膚や粘膜の乾燥・かゆみ・食欲不振・吐き気・便秘など
更年期は誰にでも平等に訪れるものです。ただ更年期に感じる症状はさまざまで、年齢を重ねることによるカラダの変化と、ライフスタイルやそのときの精神・心理状態など複雑に絡み合ってあらわれるといわれており、個人差があります。
更年期をのりきる3つの方法
1.生活習慣を見直してみる
まずは、こころとカラダに負担がかかっていないか、見直してみましょう。具体的には、生活リズムを整え、バランスの良い食事を心がける、適度な運動をするなどです。
また、自分なりのストレス発散法をみつけることもひとつでしょう。
2.カウンセリング
つらい気持ちを専門家に伝え、正しい情報や日常生活におけるアドバイスをもらうだけで気持ちが軽くなった、という人もいます。もし、生活習慣を見直してみても、なかなか症状が改善されないときには、女性のカラダの専門家である婦人科の医師に、まずは相談してみましょう。
3.薬物治療
セルフケアで様子をみても良くならない、むしろ悪化する、日常生活に支障が出るほどの症状がある、こんなときは治療が必要な場合もあります。
治療には、おもに次のような薬物を使って行われます。
ホルモン補充療法
更年期に低下してくる女性ホルモンを補う。
漢方薬
ココロとカラダ全体のバランスをととのえることで、症状の緩和を目的とする。
安定剤・抗うつ剤・睡眠薬
日常生活に支障をきたすほど気分が落ち込んだり、不眠がつづく不安感が強いなどの症状がある場合に。
「更年期だから仕方がない」と我慢し続けると、かえって症状を悪化させることもあります。
またなにか別の重大な病気が更年期に影を潜めている場合もありますから、なかなか改善されないときには、一度婦人科を受診しましょう。
<執筆者プロフィール>
青井 梨花(あおい・りか)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー
株式会社 とらうべ 社員。病院や地域の保健センターなど、さまざまな機関での勤務経験があるベテラン助産師。
現在は、育児やカラダの悩みを抱える女性たちの相談に応じている。プライベートでは一児の母。
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku