キスが原因、その名もズバリの「キス病」とは
2016-12-16 18:30:17
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
キスをしただけで感染してしまう疾患「キス病」。
もし自分のパートナーがそうした感染症にかかっていたら、スキンシップだけで感染してしまうリスクがあります。
キス病とはいったいどういう病気なのでしょうか?
自分のためにも、パートナーのためにも、どんな病気なのか、詳しくみていきましょう。
唾液を介して感染する「キス病」
キス病は、「伝染性単核球症」とも呼ばれ、ヘルペスウィルスの一種である「EBウイルス」によって感染します。
キス以外にも、飲み物の回し飲みや口からの感染が多いのですが、咳やくしゃみで感染する可能性があるとも言われています。
この疾病に感染すると、病原体がリンパ腺の中で増殖するため、発熱や倦怠感、リンパ節の腫れ、のどの痛みなどの症状が現れます。
米国では全学級が閉鎖になった学校も
2014年11月20日、米国オクラホマ州の学校でキス病が発生し、12月まで全学級が閉鎖されるというニュースが報じられました。
州都オクラホマシティーの北部にあるウッドランド・パブリックスクールは「200人の生徒を感染のリスクから守るため、閉鎖を決めた」と説明しています。また、同州の教育委員会は「感染性の強い病気であることを考慮した」としています。
症状は比較的軽く、自然治癒することが多い
感染性が強いとはいえ、キス病はそれほど恐ろしい病気ではありません。
キス病は感染する年齢によって症状が異なり、乳幼児期では症状が出ないことも多いのです。思春期以降になると、半数以上の感染者に先ほどご紹介した症状が見られます。
ただし、これらの症状は病院で診察を受けても単なる扁桃腺炎や風邪と診断されることが多いようです。
また放置していても数日程度で自然治癒することが多いため、あまり深刻にとらえられることはありません。さらに、たとえキス病と診断されても根本的な治療法はないため、熱を下げたり炎症を抑えたりといった症状に合わせた対症療法が中心となります。
この点もまさに風邪と同じで、回復するまで安静にすることが大切です。
日米ではやや異なるキス病事情
アメリカでは幼児期の感染率は20%と低く、青年期で感染するケースが多くなりますが、日本では2~3歳までに70%が感染し、20歳代で90%以上が抗体を持っているようです。
小児期に感染して症状はほとんど出ないまま抗体ができるので、日本では、大きな問題になっていません。
しかし抗体がないまま大人になって、感染してしまうことは十分考えられます。
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku