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その時どうする? 宴会で急性アルコール中毒など「年末年始の事故」

2016-12-21 12:00:49


執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
お酒を飲む機会の多い、年末年始のシーズン。
そんな中、一緒に過ごしていた人が「急性アルコール中毒」になったら…。
年末年始は通常の診療がお休みの医療機関が多く、受診のタイミングを迷うこともあるはずです。今回はそのほかにも、年末年始や冬場にありがちなケースと対処法をご紹介していきます。

年末年始の事故 :急性アルコール中毒とその対処


お酒を飲む機会の多い1~2月は、急性アルコール中毒で救急搬送される人が激増します。また、年々その数も増えているのが現状です。
急性アルコール中毒は、肝臓でのアルコール代謝が間に合わなくなりアルコールの血中濃度が急上昇してしまった状態です。自分の適量を知り、その日の体調にも考慮します。
急性アルコール中毒で救急搬送される人の年齢は、男女ともに20代が圧倒的に多いです。
経験不足により自分の適量を知らず、無謀な飲酒をしてしまうようです。
まずは「ほろ酔い」以上の「酩酊状態」にならないように気をつけましょう。一気飲みはもちろん良くないですし、適度なペースを保って飲むこと、水を飲み血中のアルコール濃度が短時間に高くならないようにすることなどがポイントです。
もし「お酒が飲めない」という自覚があるならば、周囲の人にそれをしっかり伝え、周囲も無理強いはしないことです。

「酩酊状態」とはどういうこと?


アルコール濃度が高くなり酩酊状態になるとキケン信号です。
具体的に酩酊状態とは、足元がふらついたり、大声をあげたり、気が大きくなったり、吐き気やおう吐が始まり、呼吸がハァハァと早くなります。
ここからさらに飲酒がつづき、アルコール濃度があがっていくと「泥酔」になります。立ち上がることができず、意識もぼんやりしています。おしゃべりも意味が通じない状態です。
さらには「昏睡」になると脳全体がマヒしている状態のため、声をかけてもゆすっても起きません。そのまま放っておくと、あっという間に呼吸や心臓が止まり死んでしまいます。
酩酊状態の人に遭遇することは少なくありませんね。酩酊の時点で、アルコールの血中濃度は0.1~0.3%、泥酔で0.31以上、昏睡状態では0.41%以上と、数値に大きな幅はありません。
酩酊の状態から、さらに飲み続けることが、いかに危険かがわかります。意識があるときに、周囲の人が十分に水を飲ませ、身体が冷えないように気をつけます。
立ち上がれずに横たわっている場合には、おう吐物で窒息しないようにし、横向きに寝かせましょう。酔いが覚めるまで一人にせず、安全な場所で付き添う必要があるでしょう。
もしも意識のない場合は放っておかず、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。低体温やおう吐に気を付けるのは同じですが、呼吸や心臓が停止している場合は救急車を呼ぶと同時に心肺蘇生を優先します。

年末年始の事故: おモチをノドに詰まらせた!



おモチを詰まらせ窒息するケースは、高齢者に起きやすいという統計があります。また最近ではおモチだけではなく、大食い・早食い競争で死者が出ることもあるようです。
当人に意識があれば、慌てず咳をさせます。本人がパニックに陥っているかもしれないので、声をかけてリードしてあげましょう。
つまらせたものを吐かせる応急措置としては、「腹部突き上げ法」「背部叩打法」(はいぶこうだほう)があります。

腹部突き上げ法


後ろから上半身を抱きかかえるように、みぞおちよりも下でおヘソよりも上の部分に手を組んで、腹部を上に向かって圧迫します。

背部叩打法


本人の頭を低くして下を向かせ、後方からアゴか胸を片手で支えます。もう片方の手の付け根で、背中の真ん中(肩甲骨の間)を4~5回強く迅速に叩き、同時に本人に咳を促します。
その後、口の中をのぞいておモチが出たかどうか確かめます。
この方法を試みている間も、息ができないまま時間が経つと意識がなくなることがあります。そのような場合には救急車を呼び、呼吸が止まっているようなら心肺蘇生をおこないます。

年末年始の事故: 入浴中の死亡事故予防


入浴中の死亡事故は、現在交通事故より多く、とくに冬場12〜2月にかけて多起こります。
脱衣所と浴室の寒暖差によって、急激に血圧が変化によって失神し、溺れてしまうことが多いのです。
特に高齢者では、血管の壁が硬くなっていることで急な血圧の変化に耐えられません。高齢者でなくても、糖尿病、高血圧の持病がある人にも同じことが起こりえますので要注意です。
そのほか、42℃以上の熱すぎるお湯につかることや、飲酒後の入浴も危険です。
対策としては、同居人がいれば「これから入浴する」と伝え、見回ってもらえると安心です。
そして脱衣所や浴室を暖め、入浴時の温度差を少なくしましょう。
また、湯船から出る時はゆっくりと立ち上がるようにします。さらにお湯の温度は41℃くらいにとどめ、長くなるときは半身浴を楽しみましょう。
飲酒・食事直後の入浴を避け、出た後は水分を補給しましょう。
万が一、風呂場で意識を失っている状態で見つけたら、安全な場所に寝かせて救急車を呼びましょう。呼吸をしていなかったら、速やかに心肺蘇生をして救急車を待ちましょう。

<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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