日本の漁業が危機に!?「日本の大海(うみ)からの食卓提案」と題し、サスティナビリティな取り組みや魚の有効活用された商品などを知れる食卓提案イベントを有楽町で開催
2022-05-24 12:00:08
一般社団法人未来の食卓は、2022年5月21(土)から27日(金)に、有楽町駅近くにあるSustaina Station DaiDaiを会場に、第1回目の食卓提案イベントを開催している。今回のイベントのテーマは「日本の大海(うみ)からの食卓提案」と題して、日本各地の缶詰や干物メーカーが登場。水産加工や加工食品の第一線で活躍する有識者の方々のオンライントークセッションも開催され、危機的な日本の漁業の現状についてなど語られた。
日本の漁業が危機に
世界の漁業生産量は30年で2倍に拡大しているのに比べて、日本の漁獲量は過去30年で3分の1近くまで減少。漁獲量世界1位から世界8位にまで下がっている。漁師の高齢化が進み、魚の安価な取引、低賃金など改善すべき点が多い。更には日本は稚魚でも全てとってしまうため、漁獲量減少の問題もある。しかし、日本の国内消費量は減っていないため、減少した漁獲量は世界からの輸入に頼っているのが現状だ。
今回のトークセッションでは日本の海を未来に繋ぐために ①生だけでなく加工食品を食べる ②原材料への認識 ③30%〜35%の捨てられる未利用魚の有効利用をする。という3点が大切だと語られた。
そこでトークセッションでは缶詰という加工食品を作っている株式会社 木の屋石巻水産の方も登壇。ここではその日、水揚げされた魚を缶詰にする。そんなフレッシュパックは業界でもなかなか見ない手法で缶詰業界から称賛されている。
特に注目したいのは「カレイの縁側・醤油煮込み」。寿司などで食べる縁側は骨部分を捨てているが、缶詰ではその捨てられてしまう小骨部分ごと煮込こみ、安く提供できるようにした。未利用魚の有効活用にもなり、味もとても美味しい。また、カルシウムやDHAなど栄養がまるごと入っているのも魅力だ。
更に島根県 浜田市で水産産業を行っている株式会社シーライフも登壇。干物が中心だったが缶詰は新規事業としてスタートして4年目になる。
話題となっている「今朝の浜」はその日に漁獲されたのに流通するのには不向きなサイズだったり、とれすぎて市場に出せなかったりする有効活用されずに捨てられてしまう予定の未利用魚を使い、缶詰にしている。そのためアマダイ、ヤガラなど計42種類もの異なる魚が今までに缶詰にされた。地元の塩のみで味付けし、魚の旨味を凝縮して缶詰にしている。水揚げがあった日に缶詰をつくるので2〜3日に一度の頻度になる。
このような水揚げ量によって缶詰を作る取り組みは、大きな缶詰会社を目指しているのではなく、困っている生産者と共に無駄になってしまう鮮魚を工夫して加工して流通させていきたいという想いもつまっている。
岩手県の陸前高田市にある株式会社 タイム缶詰も登壇。小さい缶詰工房で無添加、手詰めで缶詰を作り、最近では滅多に見られない菊詰で丁寧に缶に詰め込む。缶詰を開けた時にほっとする、キレイだねと言ってもらえる缶詰を目指している会社だ。
ここでは、いわしの缶詰用にカットして余った尾っぽの部分を、捨てずに他の缶詰にする工夫をしている。今までは肥料などになっていたが、食べてみたら美味しく、有効活用されるようになったのだ。
このような食に対する優れた取り組みを知ってもらいたい
トークセッションでも触れられたように、日本国内でも食に対するサスティナビリティな取り組みは消費者の知らないところでも行われている。未来の食卓ではそのような取り組みや優れた加工技術を消費者に知ってもらいたいと未来の食卓アワードを開催。
また、全国の食品メーカーと食品バイヤーをマッチングする「未来のプラットフォーム」のサービスを開始している。
日本の食を守るためには行動の他に、協力体制を整えるためにも繋がりが大切になってくる。このようなアクションは貴重なタンパク質であり栄養素である「魚を無駄にしない」ということへの周知にも繋がり、正しく未来の食卓に影響を与えていくだろう。
- 【BIGMANスペシャル】缶つま大全 2015年09月15日発売号 世界文化社
Fujisan.co.jpより
情報提供元: マガジンサミット