お正月休みは「体内時計」の乱れに注意!
2016-12-31 18:30:58
執筆:井上 愛子(保健師、看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
忙しい年の瀬を過ぎると、いよいよお正月休み。
今年は年末から6連休となっている会社も多いようです。日ごろ忙しい人ほどゆっくりと心身を休めたいところですね。
そして、こうした長い休みの際に気をつけなければならないのが「体内時計の乱れ」。
具体的にどのようなことに気を付けるべきなのか、詳しくご紹介いたしましょう。
体内時計の乱れが招く「正月ボケ」
お正月だからといって過度の夜更かしや朝寝坊をつづけていると、休み明けの「正月ボケ」の原因となってしまいます。
そもそも、「正月ボケ」とは、休み明けに仕事がスタートしても、朝起きるのがツラかったり、夜きちんと眠れなかったり、ボーッとして仕事に集中できなかったりする状態。
心身がこうした状態になってしまう原因の多くは、休み中の不規則な生活による体内時計の乱れにあるのです。
体内時計の乱れを防ぐための対策としては、下記の3つがあげられます。
対策その1:朝10時までには起きる
私たちがある程度決まった時間に眠くなり、決まった時間に目覚めることができるのは、体内時計の働きによるものです。
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、この体内時計の周期は、じつは24時間より長いのだとか(なかには短い人も)。しかし、1日は24時間。そのため、1日1時間ほどは誤差が生じています。
この誤差を修正し、体内時計をリセットしてくれるのが、脳内の視床下部の「視交叉上核(しこうさじょうかく)」に存在する「生物時計=サーカディアンリズム」と呼ばれる機構です。
おおまかなしくみとしては、目から入った明暗環境(昼間の太陽の光と夜の闇)の情報が脳に伝えられて体内時計を24時間に調節するというもの。私たちが、季節変化にも順応し、地球のあらゆるところに出かけても活動できるのは、そのためだと考えられています。
ですから、休みの間も体内時計をきちんと動かすためには、朝の強い光を浴びることが重要です。
最低でも朝9~10時ごろまでには起きて、散歩などに出かけるのが、体調維持のためには理想的でしょう。これは、過度の夜更かしによる昼夜逆転を防ぐためにも良い方法です。
対策その2:日中活動すれば夜眠くなる
厚生労働省によると、運動習慣がある人に不眠は少ないということは、国内外の疫学研究においてすでに明らかとなっているそうです。
子どもを例にとるとよくわかりますが、日中遊び回れば夜は寝つきがいいですよね。大人も同様に、適度な有酸素運動を取り入れることで、寝つきやすく、深い睡眠が得られます。
朝までグッスリ寝ていられないという人は、自分の運動習慣を見直してみましょう。
しかし、こうした昼間の活動は習慣化してこそ効果が高いもの。遅く起きて日中活動量が少ないのに早く寝つこうとしても難しく、翌日は早く起きようと思ってもまた起きられず…という悪循環で体内時計は狂ってしまいます。
よく「早寝、早起き」と言いますが、早く起きれば体内時計は早寝で調節されていきます。
加えて運動を行えば、睡眠の質がいいので目覚めもスッキリ。朝起きるのもつらくなくなるでしょう。
休日の寝溜めは、このサイクルを一気に壊してしまい、取り戻すのも大変。このことも頭に入れておきましょう。
対策その3:食べすぎ・飲みすぎに気をつける
身体は食べ物の消化にエネルギーをたくさん使います。
お正月だからといって食べすぎたり、寝る直前に食事をとったりすると、消化活動が眠りを妨げることがあり、これもまた体内時計を狂わせてしまいます。
とはいえ、せっかくの正月休みに、休み明けの仕事を気にして我慢ばかりしているのも味気ないもの。自分でできる範囲で「これだけは!」という最低限のルールを決めて健康的に楽しみたいですね。
【参考】
・厚生労働省『e-ヘルスネット 体内時計』(http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-039.html)
・厚生労働省『e-ヘルスネット 快眠と生活習慣』(http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-01-004.html)
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku