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餅なし、あんこ、くるみタレ? 日本全国・お雑煮大集合

2017-01-02 12:00:39


執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)

お正月料理の代表格である「お雑煮」。
地域や家庭によってさまざまな味つけがあるのは皆さんもご存じでしょう。中には知らないとちょっと驚いてしまうような意外な味つけや食べ方をする地域もあります。
今回は、そんな各地のちょっと変わったお雑煮を紹介しましょう。あなたの知らない美味しい食べ方が見つかるかもしれません。


すまし汁?味噌仕立て?角餅?丸餅?


まずは、日本全国のお雑煮の傾向をざっと説明しましょう。
関東では「焼いた角餅」を入れたしょうゆ味の「すまし汁」タイプが多く、関西では「湯通しした丸餅」を入れた「味噌仕立て」が多いというのが一般的。
京都や大阪、北陸、四国の一部地域には、味噌の中でも甘めの白味噌を使うところもあります。
使うダシもさまざまで、「昆布とかつお節」というのが圧倒的ではあるものの、中国地方もしくは日本海側から九州にかけては、「スルメ」を使う地域も多くあります。また、地域によってはハゼや白身魚などの「焼いた魚」からダシを取る文化もあるようです。

まさかの餅なし! でもお正月には必ず食す:秋田


秋田の一部地域でお正月によく食べるのが「納豆汁」です。煮干しと昆布のダシに味噌仕立て、そこに納豆が入ります。
ただ、いちばん変わっているのは「餅を入れない」という点。
お雑煮と呼べるかどうかは微妙ですが、「お正月に食べる汁物」としてお雑煮の類にカウントしてみました。

取り出した餅をタレに絡める:岩手・三陸


くるみをすったタレがお雑煮に添えてあり、雑煮から餅を取り出してこのタレにつけて食べるのが岩手の三陸地方。お雑煮の塩味とくるみダレの甘さが絶妙な甘辛さを醸し出すそうです。

もちろん三陸地方のすべての家庭がこのような食べ方をするわけではありませんが、それにしても珍しいですよね。
ちなみに、その岩手から遠く離れた奈良では、「雑煮から取り出した餅にきな粉を絡めて食べる」という風習が残っています。

正月名物の「つと豆腐」を必ず入れる:群馬・高崎


群馬・高崎のお雑煮は、「角餅&しょうゆベース」という点ではごく一般的。ただ、具材として「つと豆腐」というお豆腐を入れるのが特徴です。

「つと豆腐」とは豆腐を巻きすなどで細長く巻いて加熱したもので、普通の豆腐と高野豆腐の中間のような味がします。群馬では、お正月の時期にしか出回らず、それ以外の季節では一切食べない、用途が限定された食品です。

もともと「つと豆腐」は福島・会津の郷土食材らしいのですが、それがなぜ群馬で、しかも正月のお雑煮だけに入るようになったのか……。その理由はよくわかっていないそうです。

「ハバノリ」を入れたお雑煮を食べる:千葉・九十九里


九十九里地域のお雑煮と言えば「ハバノリ雑煮」。
かつお節で取ったしょうゆベースのお雑煮に、ハバノリという海苔に似た海藻をたっぷり入れます。磯の香りが何ともいえず、「これを食べると普通の雑煮が食べられなくなる」という人もいるほど。

でこぼこで隙間が多く、形が不格好なハバノリは、以前は市場に出回ることもなく地元で食べられていたそうですが、今ではすっかり高級食材になっています。地元で消費していたときの名残で、今でもお雑煮に入れる風習が残っているわけですね。

具は一切なし! 汁のみのシンプルな雑煮:石川


石川県の能美郡あたりで食べられているお雑煮には、具は一切入りません。
スルメと煮干しで取ったダシに、味付けはしょうゆとみりん。そこに丸餅が入るだけです。
この食べ方になった理由は定かではありませんが、「おせちが副食になるので具は必要ない」という考え方からこうなったという説もあります。

「お雑煮100選」にも選ばれた甘い味噌味:福井


福井県のお雑煮も、石川と同じで具は一切入りません。ただ、味付けは少し甘めの白味噌仕立て。
地域によってはさらに黒砂糖を載せて食べる風習が残っているそうです。文化庁が選定した「お雑煮100選」にも選ばれた、由緒正しいお雑煮と言えます。

ぜんざいがお雑煮の代わり?:鳥取


鳥取でお雑煮というと、「ぜんざい」を指します。つまり、関東でいうところのお汁粉をお正月に必ず食べます。
ただし、お汁粉と違って使うのは丸餅です。甘党の人が多い土地柄なのでしょうか?

具は青菜のみ! 野菜たっぷりでヘルシー:岡山


具は青菜だけという、何とも健康的なお雑煮を食べる岡山。
スルメで取ったダシをしょうゆで味付けし、そこに刻んだセリ、ネギ、春菊、ほうれん草をどっさり入れます。野菜が不足しがちな正月にはうれしいお雑煮ですね。

あんこの入ったお餅を入れる:香川・高松


讃岐地方、つまり香川や高松のお雑煮は「あん餅雑煮」が一般的。読んで字のごとく、あんこの入ったお餅を入れます。汁は白味噌仕立てで、具は京ニンジンや大根など。

味の想像がつかないという人もいるかもしれませんが、白味噌自体が甘めの味なので、意外に違和感なく食べられます。いざ食べると「あ、おいしいね!」という人がほとんどだそうです。
いかがでしたでしょうか。
初めて知った「お雑煮」もあったのでしゃないでしょうか?
いつも通りのお雑煮の後は、いつもと違うお雑煮を試すのもよいですね。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中

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情報提供元: mocosuku

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