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がんを遺伝子から治す?「プレシジョン・メディシン」とは

2017-01-03 18:30:53


執筆:井上 愛子(保健師、看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
日本人の約半数が、生涯のうちにかかる「がん」。
かつては不治の病とされていましたが、治療の選択肢が広がり、治癒を望めることも多くなってきました。それでも依然として、治療困難な状況に陥ることも多いがん治療において、近年注目を集めているのが「プレジジョン・メディシン」。
耳慣れない言葉ですが、一体どのようなものなのでしょうか。

遺伝子に注目した「精密医療」


プレシジョン・メディシン(Precision Medicine)は、おもに「精密医療」と訳されます。
これまでにも、がん治療において一人ひとりに合った治療法を選択する「個別化医療」や「オーダーメイド治療」という言葉は注目されてきました。
同じがんであっても、それによって起こる症状や辛さ、また治療の効果・副作用などは、患者によって大きく異なります。がんの種類に応じた一律の治療法を当てはめるのではなく、患者に応じて治療方針を決定し、進めていくことは、治療を受ける側にとって、非常に有益なことです。
そして、さらに医学研究が進んだことで、注目を集めているプレジション・メディシン。
これは、同じ病気であっても患者ごとの違いを遺伝子レベルで調べ、原因を特定し、それに最も合う治療法を選択することで、最大限の治療効果を目指すものです。

世界中が注目するプレシジョン・メディシン


プレシジョン・メディシンは、2015年1月20日にオバマ米大統領(当時)が一般教書演説の中で触れたことでも注目を集めました。
個別化医療をより進展させるため、プレシジョン・メディシンの発展に注力することを語っていて、今後世界中が目指す医療の在り方となることでしょう。
実際に日本でも、多くの医療機関や製薬会社が参加するプロジェクトが始動していて、がん治療の研究は新たなステージに入っていると言えます。

プレシジョン・メディシンの現状


現在のがん治療においても、プレシジョン・メディシンはすでに取り入れられています。乳がんや肺がん、大腸がんなどの治療では、がんの遺伝子タイプを調べ、その違いによって最も効果が高いとされる治療薬を選択することが可能になっています。
実際に、手術が難しいとされていたがん患者に、遺伝子タイプに基づいた薬を使用したことで、がんが小さくなった、仕事への復帰が可能になった、という症例も報告されています。
一方で、遺伝子情報に基づいた治療が、必ずしも良い結果を生むとは断定できません。
実際の医療現場では、医師と患者が相談を重ねながら、可能な治療法のうち、その患者にとって最も良い方法を考え、選んでいる、と言えるでしょう。
また、がんの種類によっても、研究の進展具合が異なったり、実際に研究が治療として確立されるには時間を要するなど課題も多くあります。
しかし、がんと向き合う患者や家族にとって、確実な効果があり、安全性の高い治療法の進歩は、大きな希望となるものです。プレシジョン・メディシンの今後の発展に期待し、注目していきましょう。
<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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