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「肌のかゆみ」が止まらない! 良い方法はある?

2017-02-25 18:30:30


執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ

乾燥で肌がカサカサしたり、かゆみが出たり…乾燥する季節は肌のトラブルも起きやすくなります。
「かゆみに耐え切れずに掻きむしってしまって後悔した」という経験のある方は多いのではないでしょうか?
今回は、かゆみを引き起こす原因や対策をご紹介いたします。

かゆみのメカニズム


まずは、どうして「かゆみ」が起こるのか、その仕組みからお話しましょう。
皮膚のかゆみを引き起こしているのは「マスト細胞」と「ヒスタミン」です。
マスト細胞は粘膜や皮膚に存在する細胞で、免疫反応やアレルギー反応に大きく関わっている細胞です。そして、このマスト細胞は、かゆみを引き起こす原因物質「ヒスタミン」を含んでいます。
皮膚にあるマスト細胞は、皮膚に何らかの刺激が加わると、ヒスタミンを放出します。
そして、それが神経を通して脳に伝わることで「かゆみ」として認識されるのです。
ではかゆみは、どのようなことが原因で引き起こされるのでしょうか。

かゆみを引き起こす代表的な皮膚疾患


代表的な皮膚疾患ごとに原因をみていきましょう。

アトピー性皮膚炎


慢性的な皮膚炎で、特定の場所に強いかゆみの症状が現れます。
アトピー性皮膚炎の症状は、年齢によって違います。
たとえば1歳未満では、じくじくとした腫れ、かゆみといった症状が顔や頭を中心に現れますが、1歳~15歳頃になると全身の皮膚が乾燥し、ひじの内側、ひざの裏側、おしりなどに発疹があらわれるほか、ごわごわとした皮膚へと変化します。
アトピー性皮膚炎は、遺伝的な要因(アレルギー体質、乾燥肌体質)に、環境的な要因(ダニ、ハウスダストなどのアレルゲン、乾燥、汗、ひっかきなど)が加わることで発症します。

蕁麻疹(じんましん)


突然、皮膚の一部に、紅斑(こうはん;皮膚が赤く変化する)や膨疹(ぼうしん;皮膚がやわらかく盛り上がる)ができ、しばらくすると消える、という症状を身体のあちこちでくり返す皮膚疾患です。
ほとんどのケースで強いかゆみをともないます。
食べ物、薬、植物、昆虫、感染症、物理的刺激、暑さ、寒さといったあらゆるものが原因になり得ます。

接触皮膚炎


接触皮膚炎は、特定のものを触れたことによって紅斑や「丘疹(きゅうしん;小さな盛り上がり)」ができる皮膚疾患です。
かゆみや痛みをともなうこともあります。一般的には、「かぶれ」といわれています。
接触皮膚炎は、原因となる物質によって、次の種類に分けられます。
・刺激性接触皮膚炎
毒性のある植物や昆虫、刺激の強い洗剤やせっけんなどに触れることが原因となるタイプ
・アレルギー性接触皮膚炎
金属、植物、ゴム、化粧品など、特定の物質に対するアレルギー反応として症状を引きおこすタイプ
・光毒性接触皮膚炎
接触した化学物質に光が当たることが原因となるタイプ
このように、かゆみを引き起こす原因はさまざまです。
しかしここに挙げた原因のほかにも、かゆみの原因となるものがあります。それは、「乾燥」です。
乾燥がなぜかゆみの原因となるのか、ご説明していきます。

乾燥がかゆみの原因となるワケ


私たちの皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織という3つの層で成り立っています。
このうち、一番外側にある表皮はさらに3層にわかれます。外界と体内を分ける一番外側の部分を角層といい、保湿機能とバリア機能を持っています。
角層は水分と皮脂でできた皮脂膜に覆われていて、外部の刺激から肌を守り肌に潤いを与える役割を果たしています。
そのため空気の乾燥や保湿不足で皮膚が乾燥すると、水分や皮脂が減って肌のバリア機能が低下し、少しの刺激でもかゆみや痛みを感じるようになります。
乾燥が原因で起こる皮膚疾患には、次のようなものがあります。

手湿疹(主婦湿疹)


水仕事で皮膚が乾燥することで「指や手がカサカサする」「水ぶくれができる」「赤みやかゆみがでる」といった症状が現れる皮膚疾患です。
皮膚を守っている皮脂が水仕事によってはがれてしまい、そこに石鹸や洗剤などの化学的な刺激、物と接触するなどの物理的な刺激が加わることで症状が現れます。
水仕事をする機会の多い主婦に多い症状であることから、「主婦湿疹」とも呼ばれています。 

皮膚そうよう症


発疹などの症状が現れず、かゆみだけが現れるものを皮膚そうよう症といいます。
多くの場合、皮膚の乾燥が原因となります。
皮膚の乾燥が進んでいる高齢者に多く、とくに空気が乾燥している冬場に発症しやすい皮膚疾患です。皮膚そうよう症は乾燥以外にも、糖尿病、腎疾患、肝硬変など、ほかの病気の症状として発症することもあります。
このように、空気が乾燥している冬は、とくに肌のかゆみに気をつけたい季節といえます。
最後に、かゆみ対策についてご紹介していきましょう。

かゆみ対策


皮膚を掻きむしると、さらにかゆみが増すという経験をしたことがある人は多いでしょう。
これは、掻くことでさらにヒスタミンが分泌されるためです。
ですから、かゆみが強いときには、得策ではありません。
かゆくてどうしようもないときは、かゆみが出ている部分を冷やすようにしましょう。
また、かゆみが起きないよう普段の生活で工夫することもできます。次のことに気をつけましょう。
・刺激の少ない石鹸をつかう
・皮脂を落としてしまう熱いお湯での長湯はさける
・必要に応じて、保湿する
・紫外線の刺激を防ぐために、日焼け対策をする
・皮膚への刺激が少ない素材で作られた衣服を着用する

ただし、こうしたことに気をつけてもかゆみの症状が続いている場合や、ほかにも発疹などの症状が出ている場合には、皮膚科を受診して、適切な治療を受けるようにしましょう。
【参考】
・協和発酵キリン株式会社『かゆみナビ』(http://www.kyowa-kirin.co.jp/kayumi/sitemap/index.htm)
・サノフィ株式会社『かゆみ対策ハンドブック』(http://www.jaanet.org/pdf_files/SA_kayumi.pdf)
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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