そういえば最近、抜け毛が多い… どうして?
2017-03-04 18:30:29
執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
シャンプー時、排水口に溜まった抜け毛。その量にビックリした方も多いでしょう。
抜け毛の量が明らかに多くなると「異常脱毛」です。
ちなみに、成人男性によくみられる髪が薄くなる状態はAGA(男性型脱毛症)と呼ばれます。
頭髪治療の専門外来で治療を受けることができます。
健康ではない抜け毛の原因には、どんなことがあるのでしょうか。詳しくみていきましょう・
抜け毛とは
髪の毛のライフサイクルは約3か月です。
成長期・移行(退化)期を経て休止期から脱毛にいたります。ですから、抜け毛は自然な現象でもありますが、異常な症状の場合もあります。
本数でいうと100本までは正常(自然現象)、明らかに急に抜け毛が多くなってきていると感じたら要注意となります。
また、量だけでなく質に関しても、次のような抜け毛だと、「健康な抜け毛」ではなく「髪に栄養がとどかなくなっている」「頭皮環境が悪化している」抜け毛の可能性があります。
・本来よりも細い毛が多く、短い毛、切れたような毛が多い
・きれいな丸い毛根ではなく、形がゆがんでいる
・毛根が凸凹していて、皮脂や汚れがついている
・毛根部分が小さく、細かい
抜け毛は次のような場面で確認することができます。
・シャンプー後の排水口に溜まる抜け毛が、以前より多くなった
・ブラッシング後のブラシに絡む髪の毛が、多くなった気がする
・朝起きたら、枕に落ちている抜け毛が多くなった気がする
・生え際や分け目、つむじの薄毛が気になりだした
一般に抜け毛は、湿気が多くて暑い時期に増えるといわれています。夏場は要注意ですね。
抜け毛の原因
最近は若い人や女性にも、抜け毛の悩みは増えているようですが、抜け毛の原因には次のような要因があります。
バランスの悪い食生活
肉類や油物の摂りすぎは抜け毛の原因になります。良質なタンパク質、ビタミン、ミネラルが必須です。
また、亜鉛も細胞分裂や再生には必要です。ちなみに、亜鉛不足が最初に現れるのは髪の毛とも言われています。
男性ホルモンによる遺伝性
遺伝的に男性ホルモンの分泌量が多いほど抜け毛が多いといわれています。男性ホルモンである「テストステロン」が髪の成長を抑制し、早く抜けてしまうと昔から言われています。
ストレスによる精神的な要因
ストレスによる代謝異常は、筋肉を収縮して血管を細くし、毛根部に栄養分をいきわたらせずに髪が育たなくなるといった仮説が有力です。とくに、円形脱毛症はストレスによることが大きいといわれます。
不適切なヘアケア
洗わないで不潔にしている、過度のシャンプーなど、髪の手入れが悪くて頭皮を痛めてしまい、抜け毛の原因となります。
パーマ、ドライヤーなどの使い過ぎも同様です。また、シャンプーをしたら十分にすすぎをしないと抜け毛につながります。
また洗髪後、自然乾燥にして、ドライヤーを使用しないことも薄毛や抜け毛の原因になります。髪が湿ったままの状態だと、蒸れて雑菌が繁殖することもあり、抜け毛を引き起こすのです。
紫外線の影響
髪の毛のキューティクル(表皮の組織)は紫外線によってダメージを受けやすいので、長時間紫外線を浴びると抜け毛の原因になります。
冷え性
女性の場合、冷え性による血行障害も抜け毛の原因となる場合があります。
喫煙
ニコチンは血管を収縮させる働きがあり、脱毛を促進すると考えられています。
過度のアルコール飲酒
過度の飲酒は肝臓に負担をかけ、髪への栄養素供給の妨げとなって抜け毛の原因になります。
不規則な生活や睡眠不足
髪の毛は睡眠中に、免疫細胞やホルモンによって修復、成長します。睡眠不足は髪の成長を妨げ、抜け毛につながります。
更年期症状
女性ホルモンのエストロゲンには髪の毛の成長を促進する働きがあるので、更年期になって減少すると、髪の毛が抜けてしまいます。
軟毛化現象
髪の毛が細く柔らかくなるのが、軟毛化現象です。男性ホルモンが髪の成長を止めることで、髪の毛が軟らかく未熟な毛になるからです。男性だけでなく女性にも起こります。
病気から発生する抜け毛
以上に挙げた原因のほかにも、いくつかの病気が抜け毛の原因となることがあります。
病的脱毛症
遺伝や加齢、生活習慣などによらない急速な脱毛。円形脱毛症など。原因は不明です。
瘢痕性脱毛症(はんこんせいだつもうしょう)
皮膚が損傷を受けて、その部分の毛根が死滅・活動停止状態の脱毛症です。
皮膚疾患
感染症などによって頭皮の環境が悪化して発毛サイクルが乱れ、抜け毛が増えます。
肝臓の機能障害
肝硬変などで体内の栄養バランスや代謝に異常が生じ、抜け毛が起こります。
糖尿病
糖尿病の症状のひとつに、脱毛症がみられる場合があります。
免疫系疾患
膠原病などの免疫系の疾患では、抜け毛が増えるといった症状が起こりやすいとのこと。
甲状腺機能障害
甲状腺は全身にある細胞の代謝を促す甲状腺ホルモンを分泌します。健康維持に不可欠なホルモンです。
これが不足すると慢性甲状腺炎(橋本病)などの「甲状腺機能低下症」に、過剰に分泌するとバセドウ病などの「甲状腺機能亢進症」を発症します。
どちらの場合にも、髪の毛も細胞からできているので、成長期が短くなったり、急激に抜け毛が増えたりすることがあります。
抜け毛を防ぐ:予防
抜け毛を防ぐには、その原因を絶つことが大切です。一般的には次のような予防が奨励されています。
・洗髪に気をつける
・洗髪後は、タオルドライして、地肌を乾かす
・禁煙する
・お酒はほどほどに
・生活習慣を整える
・ストレスを溜めすぎないようにする
・カラーリング・ブリーチ・パーマを頻繁にしすぎないようにする
生活習慣や洗髪などヘアケアには注意して、髪とは長くつき合っていきたいものです。
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお・かおるこ)
助産師・保健師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku