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出てない? でも鼻毛を抜いてはいけません

2017-03-16 21:30:28


執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
鼻毛は医学的には「びもう」と呼ばれ、鼻の入り口の最初の部位「鼻前庭(びぜんてい)」に密生している毛を指します。
他の体毛と同じように男性ホルモンの影響を受けるため、男性の方が鼻毛は太く、長くなって、鼻の穴からはみだしやすいので、女性よりも目立つことが多いでしょう。
今回はそんな鼻毛の役割や伸びやすさについて、再考してみましょう。

鼻毛ってなんであるの?:鼻毛の役割


鼻毛はムダ毛ではありません。おもに次の三つの役割を担っています。
1.フィルターとしての役割
呼吸することで、ほこりや粉塵、微粒子や病原体などが体内に侵入してくるのを防ぎ、異物が気管支に入り込まないようにします。

2.乾燥を防ぐ
鼻の穴の中の湿度や温度を一定に保って、粘膜を守り、乾燥するのを防ぐ役割を果たします。乾燥はウィルスなどの侵入・繁殖をゆるしたり、炎症を起こしたり、老化を促進します。

3.ニオイをかぎ分ける働きにも関係
粘膜に細かく生える嗅毛は、嗅覚神経の先端でもあって、ニオイの粒子に刺激されて、これを電気信号に変え脳の嗅覚中枢に伝えます。

鼻毛が伸びるスピード


髪の毛が伸びるスピードは、早い人で1日に0.4mmくらい、1ヶ月で12mmほどといわれています。
鼻毛の場合は、体質や後で述べる環境の状態によって差はありますので、平均すると1日:0.15mm、1ヶ月で4~5mmくらいとみていいでしょう。
鼻の出口でこれくらいの長さがあると、鼻から外にはみだして見えてしまいます。
つまり、鼻毛の手入れは、ひと月も放っておくと見苦しくなるということですね。

鼻毛はなぜ伸びるの?


鼻毛が伸びる要因には、次のようなものがあります。

男性は伸びやすい


男性の方が女性よりも、鼻毛が目立つことが多いでしょう。
それは、女性の方が手入れがよく、身だしなみに気を使っているからという理由もあるでしょうが、それだけでなく、男性ホルモンの影響があります。
テストステロンは「男らしさ」をつくるホルモンですが、ひげや胸毛、すね毛などと同じように、鼻毛も活性化させる働きをします。

老化の影響


鼻毛も含めて全身に生えている毛髪は寿命をもっています。そして、「伸びては抜け、また新しく生える」をくり返しています。
これを「ヘアサイクル」といいますが、加齢とともに周期が長くなって、自然に抜け落ちるまで時間がかかって、鼻毛が長くなります。

汚れた空気の影響


交通量の多い道路沿いに住んでいたり、掃除をキチンとしていない部屋で生活していたり、工事現場での作業が多いなど、汚れた空気の中で長時間過ごすことを余儀なくされていると、異物が体内に侵入するのを防ぐため、鼻毛が伸びやすくなるといわれます。
フィルター機能が活発に働くということですね。また同じ理由で、喫煙習慣のある人は、そうでない人よりも鼻毛が伸びやすいといわれています。

鼻毛を抜くのはキケン!?


鼻毛の手入れで注意することは何でしょうか。
白髪や眉毛などは「抜いてしまう」ことも多いでしょう。しかし、鼻毛を抜いてしまうのではキケンです。
ホコリなどのフィルターや鼻のなかを保湿するという役割を取り去ってしまうことになりますし、毛を抜いて引っ張ることで毛穴に傷がつき、粘膜が傷ついて炎症を起こす可能性もあります。
ある調査では、男性の44%、女性の16%が、「鼻毛の処理」に関して「抜く処理をする」と答えていますので、とくに男性は注意をしてください。
また、鼻毛処理用のワックスで抜毛したら風邪をひきやすくなったという声もあったそうです。
鼻毛の処理には、次の方法がおすすめです。
・鼻毛処理専用小型ハサミを使って切る
・手動式の鼻毛カッターで切る
・電動鼻毛カッターで切る

いずれも、「切る処理をする」ことがおすすめです。

鼻毛の手入れとお洒落


鼻毛は切るにしても、根元から切るのではなく、ある程度残さないとほんらいの機能を果たせません。
それには、こまめに手入れをする必要があるでしょう。
男性も最近では以前よりお洒落に時間やお金を使うようになったとはいえ、鼻毛まで気を使っている人は多くないかも知れません。
しかし、いくらステキなスーツを着て、流行のヘアスタイルでも、鼻毛が見えていたら格好が悪いことでしょう。
そういえば、「天才バカボン」のお父さんは鼻毛が5本はみ出ていましたね。長く伸びた鼻毛は、かつての「オヤジ」の象徴なのかもしれません。
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお・かおるこ)
助産師・保健師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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