加齢臭ならぬ「疲労臭」が増加中!? 原因や対策は
2017-03-26 18:30:47
執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
加齢臭ならぬ「疲労臭」というコトバ、聞いたことはありますか?
疲労臭はカラダに疲労が蓄積したときにでる体臭のことで、この頃増えているそうです。
汗臭さや加齢臭などは、皮脂などの分泌物が酸化したり、皮膚に常在する細菌に分解されて出てきますが、疲労臭は「体内からでるアンモニア」が原因で、ツンとした体臭です。
今回はこの「疲労臭」について詳しくご紹介いたします。
疲労臭とは:汗がアンモニア臭くなる!
アンモニアは体内でタンパク質が分解されたときにできる成分です。
腸内細菌の働きや筋肉疲労の回復によって発生しますが、通常は、肝臓で尿素に分解されて毒素が取り除かれ、尿から体外へ排出されます。
ところが、疲労がたまって肝臓の働きが弱ると、体内でアルコールを分解する能力が低下して、分解されなかったアンモニアが全身に循環し、皮膚の毛穴から出る汗や皮脂に含まれてしまいます。
これが、疲労臭特有の「汗と混じって尿臭のようなアンモニア臭」を発する体臭を生みだします。
一般的な体臭では、汗や皮脂が細菌に分解されたり、外気に触れて酸化したりして、臭いを発生しますが、疲労臭の場合は、過労や生活習慣の乱れなどによる「身体内部の機能低下」が、臭いの発生に大きく起因してしまいます。
そのため、一般的な体臭のように表面的な臭い対策をしても、なかなか改善できないという特徴を抱えています。
疲労臭が起こる原因
カラダの疲れと肝機能などが低下したとき、疲労臭は起こりやすくなります。
次の項目は要注意とされています。
・過労気味
肉体疲労による代謝の低下
・ストレスが多い
精神的な疲れが代謝を低下
・肥満ぎみ
とくに脂肪肝だと肝機能が低下する
・お酒をよく飲む
大量にアルコールを分解することで肝機能が低下
・便秘がち
たまった便がアンモニアを発生させ、血流にのる
さらに、体内の次のような機能低下が疲労臭の原因として挙げられています。
肝機能の低下
エネルギー代謝や神経伝達物質の分泌が低下し、疲労による肝機能の低下はさらなる疲労を生みます。
また、通常は尿として排出されるアンモニアが、血液中に流れだすのも肝機能の低下から起こります。
腎機能の低下
血液をろ過して不要な老廃物を排出する腎臓の機能が低下すると、アンモニアが体内に残留して汗を臭くします。
汗腺機能の低下
慢性的な運動不足やエアコンの常時使用は、発汗をうまくできないという汗腺機能の低下につながります。
それで、アンモニアなどの老廃物をため込みやすくなり、外出時などで汗をかくとアンモニア臭い汗を分泌することになります。
血行の悪化
極端なダイエット、運動不足、睡眠不足、ストレスなどで血行が悪くなると、基礎代謝が低下してカラダが酸素不足になって「乳酸」を生み出します。
アンモニアは乳酸と結びつきやすく、乳酸が汗といっしょに分泌されてアンモニア臭を発生させます。
腸内環境の悪化
腸内環境が悪化すると便秘になり、アンモニアが便として排出されにくくなります。そこで、アンモニアが血液に取り込まれて全身をめぐり、汗となって分泌されます。
疲労臭の対策
疲れを溜めないこと、そのために、生活リズムを改善することが必要になります。
次のような項目がポイントとして紹介されています。
・規則正しい生活
・ストレスを軽減する
・アルコール摂取はほどほどにする
・食物繊維などを摂取し、腸内環境を整える
・シャワーではなく、湯船に浸かって血流をよくする
・アンモニア臭を抑える「ミョウバン」の入ったデオドラント剤を使う
疲労臭対策:オルニチンとクエン酸が効く!?
オルニチンは疲労のもととなるアンモニアを、肝臓で分解するのに欠かせない成分といわれます。肝臓の機能を促進する働きをし、全身疲労の回復に貢献するということでしょう。
シジミ、キハダマグロ、チーズ、ヒラメなどに多く含まれているそうです。
一方、クエン酸は疲労の解消を手助けする成分として、昔からその存在はよく知られていました。
もっとも有名な食材は、梅干し、黒酢、レモンなどの柑橘類です。
気になる時があるという方は、ぜひ摂り入れてみましょう。
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお・かおるこ)
助産師・保健師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku