「きのこが体にウレシイ理由」を管理栄養士が解説
2017-04-04 18:30:21
執筆:永吉 峰子(管理栄養士)
体によい食材のイメージが強い「きのこ」。
日々の食生活に取り入れようとするには、意識しないと難しいですよね。
また、きのこのどのような成分が体にいいのかは、実はあまり知られていません。
そこで今回はきのこの成分や、おすすめの取り入れ方を、きのこの種類別にご紹介致します。
そもそも、動物?植物?
きのこは、動物でも植物でもありません。菌類という部類に属しています。
菌類は子孫を残す為に胞子(ほうし)というものを飛ばします。
植物でいう種のようなものです。
この胞子をつくる為の「子実体(しじつたい)」という部分が私たちが普段食べているきのこです。
きのこ類全般に多い栄養素3つ
その1.ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあります。その為、骨や歯を作るのに欠かすことのできない栄養素です。
きのこ全般に含まれる栄養素ですが、日光に当たると量が増えるので、干ししいたけや乾燥きくらげには特に多く含まれます。
その2.不溶性食物繊維
きのこ全般に多く含まれます。食物繊維には水に溶けやすい水溶性食物繊維と、溶けにくい不溶性食物繊維があります。
きのこは両方を含みますが、特に多く含むのが不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は便のかさをます働きをし、便秘を予防する働きがあります。
きのこが便秘によいとされているのはこのためです。
その3.ナイアシン
ナイアシンはビタミンB群の1種です。
炭水化物・たんぱく質・脂質のすべての代謝に関与しエネルギーを作る働きをしています。
また、動脈硬化を予防したり、アルコールの代謝を助けたりする働きも持っています。
種類別、きのこに含まれる成分
「しいたけ」は旨み成分たっぷり!
しいたけにはグアニル酸という旨み成分が含まれています。干ししいたけで美味しいだしがとれるのはこのグアニル酸が含まれている為です。
しいたけを使って料理をすると、しっかりと旨みが出るため塩分が少なくても料理が美味しく仕上がり、減塩効果が期待できます。
「えのき」は疲れた時におすすめ!
えのきにはビタミンB1、葉酸、パンテトン酸が多く含まれています。
ビタミンB1は糖質をエネルギーにするのを助ける働きがあります。葉酸は細胞を作る時に必要な成分で、細胞分裂が盛んな胎児で特に必要な為、妊娠を予定している女性は積極的に摂りたい栄養素です。
パンテトン酸は、ナイアシンと同様に炭水化物・たんぱく質・脂質のすべての代謝に関与しエネルギーを作る働きをしています。
えのきにはエネルギーを作ることを助ける栄養素3種類(ビタミンB1、ナイアシン、パンテトン酸)が多く含まれています。
その為、えのきを食べることで効率よくエネルギーを作ることができ、疲れている時にはぴったりの食材です。
「舞茸」は免疫力アップが期待できる
舞茸にはMDフラクションとういう成分が含まれています。
このMDフラクションには、免疫に関与する細胞の働きを活性化させる働きがあるとされています。その為、風邪やインフルエンザ予防などの免疫力アップが期待できます。
また、免疫力を高めることで体に不要なものを押し出す働きが高まるので、がん予防にもつながるのではと期待されています。
「エリンギ」は便秘解消に特におすすめ!
エリンギはきのこの中でも不溶性食物繊維を特に多く含みます。
その為、便秘解消や予防を期待してきのこを食べるならばエリンギはとてもおすすめです。
「しめじ」にも免疫効果が期待できる
しめじとは「本しめじ」「ぶなしめじ」「ひらたけ」の総称です。
どのしめじにも豊富なのがβ(ベータ)グルカンという成分です。
βグルカンには、免疫機能に関与する物質を活性化する働きがあります。その為、風邪やインフルエンザ予防などの免疫力アップが期待できます。
「なめこ」は生活習慣病予防に
なめこの表面のぬるぬるした成分はムチンといい、水溶性食物繊維の1つです。
水溶性食物繊維はきのこに多い不溶性食物繊維とはまた違った働きをします。それは消化吸収を穏やかにする働きです。
消化吸収が穏やかになることで、血糖値の上昇が抑えられ、糖尿病や肥満の予防につながります。
また、中性脂肪や悪玉コレステロールの吸収も抑えられます。その為、生活習慣病が気になる方にはぜひ摂取していただきたいきのこです。
こうすれば簡単!きのこの取り入れ方3選!
1.レンジでチンしてきのこサラダ
耐熱容器にさっと水に濡らしたきのこを入れてラップをかけ、数分加熱し、お好みのドレッシングをかけます。
蒸すことで、水に溶けてしまうビタミンB群などの流出を防ぐことができます。
2.余ったら冷凍を
特に1人暮らしの方は、きのこがどうしても余ってしまいますね。
そんな時は密閉できる容器に入れれば冷凍保存ができます。
小分けにしておけば、スープや味噌汁などにちょっと加えることができ便利です。
3.甘辛煮は常備菜に!
きのこが大量にある時は、醤油と砂糖で煮て(麺つゆだと簡単です)常備菜にするのもおすすめです。
そのままでももちろん、スープや炒め物の具材、サラダのトッピングなどに手軽に使うことができます。
ここではきのこの種類別に特に多い成分を記載しましたが、大切なのはバランスよく食べることです。
気になるきのこを組み合わせ、上手に取り入れてみて下さいね。
<筆者プロフィール>
永吉 峰子(ながよし・みねこ)
管理栄養士。大手小売企業にて店長、商品開発を経験後、現在は「健康」「食」に関する執筆を中心に活動中
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情報提供元: mocosuku