5月2日は緑茶の日。緑茶の種類や栄養素を管理栄養士が解説
2017-05-01 18:30:47
執筆:永吉 峰子(管理栄養士)
5月2日は「八十八夜」にちなんで「緑茶の日」だそうです。
この時期は新茶が出回る時期でもありますね。
しかし、八十八夜とは何なのか、実はあまり知られていません。
今回はこの八十八夜と、緑茶の栄養成分についてご紹介していきましょう。
八十八夜とは?
日本の気候にあわせた雑節の1つ
八十八夜とは立春を1日目と数えて88日目にあたる日のことをいいます。
5月2日(うるう年の場合は5月1日)があたります。
日本の気候にあわせて設定された節目の日である「雑節」の1つです。
八十八夜の時期は気温も上がり春から夏へ移行する時期であり、その一方で冷え込む夜にはまだ霜がおりることもあります。
その為雑節として設定し、農家が春の作物を作る目安にしたり、霜に注意するようにしたりしていたと言われています。
八十八夜と新茶の関連
5月2日前後は、お茶の葉が冬から春にかけてじっくり蓄えた栄養や旨み成分により最もおいしくなる時期です。
また、お茶の葉は霜に弱い性質があります。
その為、最もお茶が美味しくまた徐々に霜がおりる日が少なくなってくる八十八夜の時期に、年があけてはじめてのお茶の収穫がされるようになったと言われています。
現在では4月下旬から5月中旬頃にかけて収穫された茶葉を使った緑茶を新茶としています。
緑茶は発酵させず緑色をキープしたお茶
緑茶とはチャノキの葉を蒸し、発酵を止めることで葉の緑色をキープしているお茶のことです。
紅茶が発酵をさせる「発酵茶」であることに対し、緑茶は「不発酵茶」に分類されています。
一般的には葉を蒸した後によく揉みこみ、乾燥させて作ります。
一口に緑茶と言っても、実に様々な種類があります。
次からその種類を見ていきましょう。
緑茶あれこれ
煎茶
最も一般的な製法(蒸す → 揉みこむ → 乾燥)で作った緑茶です。
深蒸し茶
煎茶の倍以上の蒸し時間をとった緑茶です。渋みが少なく濃い緑色が特徴です。
玉露
新芽の頃にカバーをかけ、太陽光をさえぎって栽培した茶葉を使用した緑茶です。甘みがあり、渋みが少ないことが特徴です。
抹茶
玉露と同じ栽培方法の茶葉を蒸し、茎を取り除いて乾燥させた「てん茶」を砕いたものです。他の緑茶がお湯に抽出するのに対し、抹茶は粉を湯に溶かして飲用します。
茎茶
煎茶や玉露の芽の先、とても柔らかい部分のみ選別したものです。甘みが強いことが特徴です。
番茶
日本茶の主流から外れたものの総称を「番茶」といいます。地域により様々な種類があります。
緑茶に含まれる栄養成分は?
1.カテキン
お茶の渋みの成分です。
ポリフェノールの一種で、がんや老化の素となる活性酸素の発生をおおさえる抗酸化作用があります。
その為、アンチエイジングやガン予防が期待できます。
また抗菌作用がある為、風邪やインフルエンザ予防の効果も期待できます。
その他、コレステロールや脂肪の吸収を抑えたり、体脂肪を分解したりする効果も報告されており、生活習慣病予防の効果があるのではと研究が進んでいます。
2.カフェイン
脳の神経を興奮させ、シャキッとさせる働きがあります。
また、利尿作用や持久力を向上させる働きもあります。
3.テアニン
リラックス作用があり、カフェインの興奮する作用をやわらげる働きがあります。
シーン・目的別!緑茶の選び方
緑茶には様々な種類があり、含まれる成分もそれぞれに特徴があります。
そこで目的別におすすめの緑茶をご紹介致します。
生活習慣病予防や風邪予防には「煎茶」「深蒸し茶」
生活習慣病予防や風邪予防が期待できるカテキンは太陽の光にあたることで作られます。
その為これらの効果を期待するならば、しっかりと太陽の光にあてて育てた茶葉を使った煎茶や深蒸し茶がおすすめです。
特におすすめなのが深蒸し茶です。
深蒸し茶は蒸し時間が長いことで茶葉が小さくなっています。その為お茶の中に小さい茶葉が混じることがあり、茶葉を丸ごと摂取することができます。
茶葉そのものを摂取することで、茶葉に残ったカテキンも摂取できるのです。
2.しゃきっとしたい時は「新茶」「初摘み茶」
脳をシャキッとさせるカフェインは比較的若い茶葉に多く含まれているとされています。
その為、シャキッとしたい時はその年の初めに収穫した若い葉を使った「新茶」や「初摘み」の表記があるお茶がおすすめです。
3.リラックスには「玉露」「抹茶」がおすすめ!
リラックス作用があるテアニンは、太陽の光があたると他の成分へと変化してしまいます。
その為、リラックス作用を期待するのは太陽の光を当てないで育てた茶葉を使った「玉露」や「抹茶」がおすすめです。
知っているようで知らない緑茶の種類や成分。「緑茶の日」をきっかけにして美味しい新茶を味わうとともに、目的に合わせて生活に取り入れてみえてはいかがでしょうか。
<筆者プロフィール>
永吉 峰子(ながよし・みねこ)
管理栄養士。大手小売企業にて店長、商品開発を経験後、現在は「健康」「食」に関する執筆を中心に活動中
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情報提供元: mocosuku