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太っていなくても、肝臓に脂肪がたまる!?「脂肪肝」とは

2017-05-31 18:30:18


執筆:柳澤 厚生(医師・医学博士)
脂肪や糖質が高い食生活を続けていて、かつ運動不足などで身体活動量が落ちているときには、余分なエネルギーは脂肪として肝臓に蓄積されて「脂肪肝」を発症します。
「会社の健康診断で脂肪肝といわれてしまいました。お酒もそれほど飲んでいないし、体脂肪率もさほど高くないのにこの歳で言われてショックです」と話される患者さんもいます。

脂肪肝の予防のカギは運動と食生活の見直し


肝臓はたくさんの肝細胞の集合体で、一般的には肝細胞が全体の1割を超えたら脂肪肝と呼ばれます。
最近の研究では一部の脂肪肝の方は、将来、肝硬変になることが明らかになってきました。
さらに近頃では、アルコールをさほど飲まない方や肥満度が高くない方にも脂肪汗の方がみられます。
脂肪肝の重症化予防のカギは運動と食生活の見直しです。
毎日の食事で十分にたんぱく質が摂れているかを検証してください。

食事は5種類のたんぱく質をバランス良く


たんぱく質は肉類、魚類、乳製品、卵、大豆の5種類。
なるべくたくさんの食材からたんぱく質を摂ることで、同時にビタミンやミネラルも摂取できるため、自然と食事全体のバランスが良くなっていきます。
さらにたんぱく質をしっかり摂ることで腹持ちが良くなります。
ご飯、パン、麺などの炭水化物のなかに含まれる糖質を減らすことができるのです。
また、肉類だけでたんぱく質を摂ろうとすると脂肪や余分なカロリーも摂取しがちです。
焼肉、とんかつ、から揚げ、ステーキ、生姜焼き。これらのメニューでは、いずれも他のたんぱく質が摂れません。
ですから、卵焼きやお刺身などの魚介類、大豆製品などを加えるとよいでしょう。
なるべく5種類のたんぱく質をバランス良く摂れるようなメニューを選ぶことを勧めています。
例えば豚肉、牡蠣、豆もやしを入れたお好み焼きにチーズ(乳製品)をトッピング。
すると、生地の卵を入れて5種類のたんぱく質が同時に無理なく摂れるメニューになります。
「植物性たんぱく」を豆もやしから摂ることでビタミンCや食物繊維が摂れ、牡蠣に入っているタウリンは肝臓や疲労回復に効果的です。
さらに豚肉は糖代謝を促進するビタミンBの宝庫です。

ビタミンB群の点滴もおすすめ


もしも「肝臓の働きが弱って疲れている」と感じたら、医療機関でのビタミンB群の点滴がおすすめです。
その際に「グルタチオン」とあわせて行うとさらに良いでしょう。
グルタチオンとは、人間の体内にあるアミノ酸が3つ結合した「ペプチド」という化合物で、 強力な抗酸化作用と解毒作用があります。
ビタミンB群とあわせて摂ることで、肝細胞へ一層活力を与えます。
その時の体調や疲労なども含めて医師に相談してみてください。

運動は有酸素運動と無酸素運動を


運動も重要です。「歩く」「自転車を漕ぐ」という有酸素運動だけでなくこれに無酸素運動も加えてください。
無酸素運動と言ってもジムで筋肉トレーニングをするといったハードなものではなくて、仕事や家事の合間に立ち上がって行う軽いスクワットや、デスクワークやテレビを見ている時に、足をあげるなど軽く筋肉に負荷を与える運動のことです。
「運動をしています」と言われる方に話しを聞くと「時間のあるときに歩いています」という有酸素運動だけの場合が多いのです。
これに簡単な無酸素運動を加えることで筋力も代謝もアップして運動効率があがります。
ここまで脂肪肝の予防・対処法についてご説明してきました。
健康診断の血液検査で肝機能の異常値や、エコーで脂肪肝と言われたら、肝炎などの病気が潜んでいることもあります。
まずは専門医に詳しく検査をしてもらうことをお勧めします。
<執筆者プロフィール>
柳澤 厚生(やなぎさわ・あつお)
医師・医学博士。元杏林大学教授、点滴療法研究会会長。国際オーソモレキュラー医学会会長。日本オーソモレキュラー医学会理事長。
日本におけるビタミンC点滴によるガン細胞の抑制研究、統合医療研究の第一人者。
2015年4月からは事業構想大学院大学にて「統合医療」について教鞭をとる。著書多数
(日本オーソモレキュラー医学会HPはこちら⇒ http://isom-japan.org)

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情報提供元: mocosuku

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