体の陰陽バランスを理解して、病気にならない体を⽬指す
2023-10-04 12:00:58
⼀般社団法⼈TIPが2014年に開設したVE&BI治療院では、コロナ禍以前より免疫⼒に着⽬し、医師である故・福⽥稔⽒の福⽥―安保理論(⾃律神経と免疫の関係・⾃律神経の⽩⾎球⽀配)を元に治療を発展させ、施術にあたっている。同社で理事を務める傍ら、院⻑として施術にあたる鳴海理恵⽒は、どのような思いで不調に苦しむ⼈と向き合っているのか ――。
医学への興味はなかったが、不調がきっかけで健康の⼤切さに気付く
私は両親が共に医師として働く家庭に⽣まれました。兄は⼩児ぜんそく持ちで、⽿⿐科医 であった⺟はステロイドの処⽅を勧めていましたが、⽗・福⽥稔は投薬よりも、私たち兄 妹にマラソンをさせました。その頃から⽗には「⼈間は⾃然の元に⽣まれ、⾃然の⼒に⽣ かされる」という考えがあったんだと思います。⼦供の私にはまったく理解はできず、た だ変わった⼈だな、と思っていました。驚かされたのは、県⽴病院の副院⻑を勤め外科医 であったに⽗が「⼿術が成功してもその後亡くなる⼈が多すぎる。俺は病気を治して⼈を ⽣かす治療がしたい」と⾔って、外科医なのにメスを捨て、免疫を⽣かした治療法の確⽴ のために周囲の軋轢をものともせずにキャリアを転換したことでした。
私といえば、医学部には全く興味がなく、「語学を学びたい、⼤学は絶対東京︕」という ミーハーな気持ちから、故郷の新潟県を離れました。卒業後は地⽅のテレビ局に勤め、仕事にプライベートにと忙しい⽇々を過ごしていましたが、⾃分に⾃信がある運動神経や感 覚の能⼒が⽣かせていないことにとてもストレスを感じていました。「本当に私はこのま までいいのか︖」というフラストレーションから逃避しようと、半ば⾃暴⾃棄な⽣活になっていたかもしれません。そんな⽣活がたたったのか、⼼⾝ともに不調をきたしてしま いました。
そんな時に出会ったのが、東洋医学思想を取り⼊れたマクロビオティックという⾷事療法でした。これだ!と思い、⼼機⼀転アメリカへ留学して、基礎からしっかりと考 え⽅を学びました。そこで学んだ⼀番のことは、「全ては陰陽であり、バランスだ」とい うこと。留学前から不調で通っていた鍼の先⽣の考えも、同じだと気付き、これを理解し て実践すると、すっかり体の不調はなくなり、以前よりも体をどうコントロールすべきか わかるようになりました。これをもっと深めたいと思い、周りの反対を押し切って鍼灸の 専⾨学校にも通い始めることに。そんな時に⽗だけは背中を押してくれました。学び始めると、今まで⾃分の中に蓄積していたものがあれこれと繋がって、⾃律神経も陰陽であ り、陰陽のバランスが免疫⼒なのだと、⽗の研究もより深く強く理解できるようになって いきました。
より効果を⾼めるには、治そうという本⼈の気持ちがとても⼤切
現在は、⽗が試⾏錯誤の上で構築した⾃律神経と免疫の関係と⾃律神経の⽩⾎球⽀配とい う理論を元に、治療を継承し発展させたVEBIAという施術を⾏っています。現代の社会で は否が応でも、体は交感神経優位にさせられる状況になっています。そうなると、頭寒⾜ 熱であるべき体は、頭に⾎が昇り、⼿⾜が冷える頭熱⾜寒になり、背中や⾸はガチガチに 固まっていきます。
頭や背⾻などの中枢神経付近に⽼廃物が溜まることで全⾝に送られる シグナルが阻害され、さまざまな不調を引き起こすと考えています。ですから施術は、ま ず磁気の器具を使⽤し、頭から背中、⼿⾜の⽅へと、⾎流を落としていくように全⾝マッ サージしていきます。加えて、体調や体質に合わせて鍼やお灸も加えていきます。
頭や背 中は⾃律神経の通り道でもあり、⽼廃物が取れていくことで、⾃律神経が正しい働きを取 り戻し⼿⾜にも⾎流が流れ始め、体は整い始めます。対症療法とは異なり、根本的な体質 の改善に重点を置いているため、さまざまな症状に有効であると考えています。当院には、アトピー性⽪膚炎・リウマチに悩まされている⽅が多いですが、⽚頭痛・緊張性頭 痛・花粉症・⼦宮筋腫・⽣理痛・睡眠障害など様々な症状の⽅もいらっしゃいます。⾃律 神経と免疫⼒は症状を選ばないんですよね。
以前は、技術や効果には自信があり、回復されていく方々のおかげで、それが正しいと考えていました。ところが、結局本人の持つ気持ちや習慣に基づかなければ、また病気はすぐそこに待っているのだと気付かされました。そこで、方針を一転。来院者の体だけでなく、生活や考え方にも向き合い始めました。「自分の体がどのような状態にあるのか、何が原因で不調を引き起こしているのか」を一緒に探し、本人の理解を深める事で、より施術が生かされ、大きく結果が変わることを私自身が学ばせてもらいました。
自分の体の変化に気づき、メンテナンスを意識することが免疫力アップのコツ
当院で大切にしていることは、病名を人に当てはめないことです。血がそれぞれ違うように、体質も体調も違います。それをわかった上で、施術することが大切です。例えば、交感神経に偏りやすい体なのか、副交感神経に偏りやすい体なのか、体力があるか、無いかなどです。東洋医学でいえば、陰陽虚実があるように、大きくはまず4つに分けます。そこで初めて施術の方針も決まります。施術ではオイルも使用しますが、そのオイルも体質や体調なくしては選べません。
世の中では、これが〇〇に効く!などというものが流行り、そして忘れられていきますが、それは情報に踊らされているだけ。ご自身でも自分の体を知ることで、初めて何が自分に合っているのか、どんな食事をするべきなのかもわかっていくのです。なぜこんな症状が出るのかは、体質を知ることから始まります。病名よりも体質!これが病気にならない体づくりの基礎です。それを知って、初めて免疫力を保てるようになっていくのです。
皆さん体調に違和感を感じて病院に行かれると思いますが、診断が下されない限り、まだ病気ではないので大丈夫と帰されることが多いと聞きます。しかし、病気になるまで待つ必要ってありますか?!お金、時間、体力ともに無駄な話です。本来は、未病のうちこそ体を治すチャンスです。未病のうちに体を治す大切さを知って欲しいです。中国や韓国では自然療法が治療の1つとして根付いていますが、日本ではそうではありません。
例えばドイツでは、健康増進のための温泉療法に医療保険が適用されることがあります。これと同じように、未病のメンテナンスや東洋医学も日本の医療保険で適用されてもいいのではないでしょうか。薬や手術といった⻄洋医学的解決だけでなく、慢性的な症状には選択肢をもっと広げてほしいと思っています。未病の時点で回復できれば、病気になってからだと嵩むであろう医療費が削減できるのにと私は思います。
私個人としては、自分の体質が理解できるようVEBIAの普及に努め、そもそも人間が持っている体の機能をもっと多くの人に知って欲しいと考えています。来院者の方々を見るとかなり辛い状況になってから、VEBIAにたどり着く方が多いようです。ちょっとした不調や不定愁訴のうちに来ていただけると、回復もスムーズで良いと思うんですよね。最近は、SNS等で東洋医学や自然療法にも注目が集まるのはいい傾向だと思います。免疫力を上げられるのは自分次第ですから、この点を多くの人に知ってもらいたいです。
VE&BI治療院 院⻑
一般社団法人TIP 理事 鳴海理恵(なるみりえ)
新潟県生まれ。福田稔の⻑女であり、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師、食事療法研究家。
成城大学文芸学部英文学科卒業。
その後、アメリカのクシインスティテュートにてマクロビオティクスを修得に加え、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師の資格を取得。「免疫力こそ人間がもつ本当の薬」を理念にこれを生かす治療で、薬いらずの体づくりを
目指す。食事、運動、治療をモットーに体の自然治癒力を引き出すアプローチで、老若男女問わず
効果を上げている。現在では、父であり医師であった福田稔氏が確立した気血免疫療法の普及と発展、後進の
育成のため、治療のほかセミナー講師としても活動中。
書籍:「効く!爪もみ 1回10秒でぐんぐん毒が出る」
情報提供元: マガジンサミット