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「塩抜きダイエット」はアリ? 管理栄養士が詳しく解説

2017-06-30 18:30:39


執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
芸能人が実践したことで話題になった塩抜きダイエット。
「塩を抜くだけで痩せるの?」「塩を抜いて身体に害はないの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回はこの塩抜きダイエットについて方法や効果、ポイントや注意点について、管理栄養士の視点から詳しく解説します。

塩が身体に与える影響


塩抜きダイエットは、その名の通り、できる限り塩を抜く食事を3日間続けるというものです。
塩抜きダイエットの方法を知る前に、まずは塩の働きを確認しておきましょう。
塩が体内に入ると、ミネラルのひとつ「ナトリウム」として働きます。
ナトリウムの働きは以下の通りです。

体内水分量の調節


ヒトの身体には、「ホメオスタシス」という、身体を一定に保つ働きがあります。
血液中のナトリウムが少なくなると、血液中の水分が細胞に移動するため、血液量が減ります。反対に、血液中のナトリウムが多くなると、細胞内の水分が血液中に移動し、血液量が増加します。
血液量が増えると、血管の壁に圧がかかります。
これは、高血圧の一因とされています。
さらに、高血圧にともなって、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、腎臓病などにつながる可能性もあります。

神経の情報伝達


ナトリウムは、脳からの指令を神経細胞や筋肉細胞へ伝える重要な役割を担っています。
筋肉は、私たちが自分の意思で動かせる随意筋と、自分の意思ではコントロールができない不随意筋(内臓や血管など)があります。
ナトリウムが不足し過ぎると、それらが正常に働かなくなります。
すると、麻痺や発作を起こしたり、神経伝達が上手くいかずに意識障害などを引き起こす可能性があります。

栄養素の吸収


栄養素が小腸から血液中に吸収される手助けをしています。

酸の中和


血液は通常pH7.4の弱アルカリ性に保たれています。
しかし、さまざまな影響で酸性になることがあります。
ナトリウムは、酸を中和し、血液のpHを正常に保つのに働きます。

塩分を摂りすぎや不足による影響とは?


塩分を摂り過ぎると、血液中の塩分濃度を低くするために血液量を増やそうとする働きが起こり、水分や汗の排出が抑えられるようになります。
すると、むくみや代謝機能の低下が起こります。
さらにその状態が長く続くと、血管や臓器への負担から、高血圧症、心疾患、腎臓疾患などの病気を発症することもあります。
反対に塩分が不足すると、頭痛や吐き気、めまい、倦怠感などを起こします。
その状態が続き悪化すると、血圧低下や昏睡、けいれんなどを起こしてしまいます。

塩抜きダイエットの効果


通常の生活では、どちらかというと過剰になることが多いです。
そこで、塩分を控えることで水分の排泄を促し、内臓の負担を緩和することに着目したのが、塩抜きダイエットです。
正しく塩抜きダイエットを行うことで、浮腫みの解消や水分排泄による体重減少が見られます。
また、内臓の負担が減り、円滑に働くようになると、代謝が活発になり、痩せやすい身体づくりにも役立ちます。

塩抜きダイエットの方法


塩抜きダイエットでは、次の4つのポイントを実践します。
1.調味料を使わない
塩分の多くは調味料から摂取されています。そこで、調味料を使わないようにします。
2.加工食品やスナック菓子など、塩分の多い食品を控える
加工の過程で調味料を添加しています。食品表示を見ると、「塩分含有量」もしくは「ナトリウム」と記載があります。確認してみましょう。
3.水分はしっかりと摂る
水分をしっかり摂ると、過剰な塩分など、身体の不要物が排出されます。
4.カリウムの多い食品を積極的に摂る
塩分を排出するのをサポートするカリウムを摂取しましょう。

塩分を全く摂らなくていい?


ナトリウムは、素材そのものにも含まれています。
何も味付けをしなくても塩分を摂っていて、その量は1日でおおよそ2g程度と言われています。
ですから、「塩抜き」といっても、食事をしていれば全く摂らないということにはなりません。
だからこそ、味付けとしての塩分はできるだけ摂らないようにしましょう。

塩抜きダイエットの注意点


塩抜きダイエットを実践している3日間は、汗をかく運動は控え、日常の徒歩程度にとどめておきましょう。
また、とくに夏は塩抜きダイエットの実践には注意が必要です。
もし、塩分不足による不調を感じたら、直ちに中断し、塩分を補給しましょう。
塩抜きダイエットをきっかけに、その後の生活でも、薄味を心がけましょう。
味付けの濃い加工食品やスナック菓子を控え、野菜や果物、水分をしっかり摂るといった健康的な食生活を送りましょう。そうすることで、さらなるダイエット効果を期待できます。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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