炭酸飲料やコーヒーを子どもが飲んでいるけれど… 身体に悪影響はない?
2017-07-12 18:30:28
執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
コーヒーや炭酸飲料の摂りすぎは、大人でも「良くない」と広く知られています。
それでは、体格の小さい子どもの場合、身体への影響はどうでしょうか。影響や与えるときの注意点について詳しく解説します。
コーヒーや炭酸飲料の注意点その1:カフェイン
カフェインは、コーヒー豆、カカオ豆、茶葉などに含まれる成分で、それらを原料とするさまざまな食品に含まれています。また、食品添加物として炭酸飲料などに使用されています。
カフェインには、中枢神経系を興奮させ、眠気を覚ます、一時的に集中力を高めるなどの作用があります。
一方で、摂取しすぎると、頭痛、心拍数の増加、不眠、下痢などを引き起こします。
子どもは体格が小さいので、体内濃度が高くなりやすい、感受性が高く影響を受けやすい、臓器の未熟さから代謝・排泄に時間がかかるなど、成人よりも身体に負担がかかりやすいのです。
さらに、睡眠は成長ホルモンの分泌が盛んになり成長を促すため、睡眠時間が短くなれば成長を妨げることにもつながります。
<安全に摂取できるカフェインの量>
実は、日本では1日あたりの摂取許容量の基準はなく、カフェインの健康被害に関する情報を収集している段階です。
一方で海外には、1日あたりの摂取目安量を設定している国があります。
欧州食品安全機関(EFSA)が2015年に発表した「カフェインの安全性に関する科学的意見書」では、健康な成人が摂取しても安全と考えられるカフェインの量は次のように示されています。
成人
体重1kgあたり1回3mg、1日5.7mgまで(例:体重50kgの場合、1回150mg、1日285mgまで)
小児~青年
体重1kgあたり1日3mgまで(例:体重30kgの場合、1日90mgまで)
妊婦・授乳婦
1日200mg日まで
コーヒーや炭酸飲料の注意点その2:砂糖
砂糖は身体のエネルギー源となる一方、過剰摂取は肥満や虫歯など、健康を害してしまうこともあります。
子どものうちから砂糖の甘い味に慣れてしまうと、知らず知らずのうちに砂糖の摂取量が多くなってしまう危険性があります。
また、子どものうちから肥満になると、大人になってから痩せにくく、太りやすくなると言われています。
これには、脂肪細胞の増え方が関係しています。
一般的に脂肪細胞の数が活発に増殖するのは乳幼児期と思春期です。そして、一度増えた脂肪細胞の数は減りません。
そのため、小児期や思春期の肥満が成人の肥満に移行すると、痩せにくく太りやすくなってしまうのです。
<砂糖の摂取許容量>
実はこちらも日本には基準がありません。
世界保健機構(WHO)は、砂糖などの糖類が1日の摂取カロリーに占める割合を5%未満に抑えるよう発表しました。
対象となるのは、甘味料として使用される砂糖やブドウ糖、天然のハチミツやシロップ、フルーツジュース、濃縮果汁などです。
1日の指標となる摂取カロリーも体格によって変わります。
平均的な大人の摂取カロリー(2000kcal)で考えると、5%は100kcal。砂糖は1gおよそ4kcalのため、相当する砂糖の量は25gとなります。
清涼飲料水のカフェインと砂糖:含有量の目安
カフェインは、表示義務がなく、製品による含有量の違いがわからないことが多くあります。そのため、確認するときは下記の食品分類を目安にしてみてください。
清涼飲料水では、「炭水化物」のほとんどが甘味料に由来しているため、栄養表示の「炭水化物」を確認しましょう。
炭酸飲料(500ml)
カフェイン50mg、砂糖65g
エナジードリンク(250ml)
カフェイン80mg、砂糖28g
缶コーヒー(150ml)
カフェイン90mg、砂糖13g
インスタントコーヒー(150ml)
カフェイン65mg、砂糖0g
コーヒー牛乳(250ml)
カフェイン40mg、砂糖18.5g
烏龍茶(500ml)
カフェイン100mg、砂糖0g
子どもに飲ませるときのポイント
今は清涼飲料水が手軽に手に入る時代で、お子さんが飲む機会も増えています。
ここでは、飲ませるときの許容範囲の目安を紹介します。
5歳、10歳の子どもを例に考えてみましょう。
5歳(参照体重16kg、必要摂取カロリー1250kcal)
目安となる1日の摂取量は、カフェイン48mg以下、砂糖16g未満。
カフェインの含有量を考えると、炭酸飲料もコーヒーもおすすめはできません。
与える際には、量を半分にするなどの配慮が必要です。
10歳(参照体重35kg、必要摂取カロリー2000kcal)
目安となる1日の摂取量は、カフェイン100mg以下、砂糖25g未満。
砂糖の量に気をつけながら、1日1杯までに留めておきましょう。
子どもは、甘い飲み物や大人が飲んでいるものに魅力を感じます。
できるだけ控えることが望ましいですが、与えるときには量に注意しましょう。
また、影響には個人差があるので、飲んだ後の様子を気にかけ、それに合わせて判断することも大切です。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku