「硬水」「軟水」は何が違う? ミネラルウォーターの種類と選び方
2017-09-19 18:30:41
執筆:永吉 峰子(管理栄養士)
健康の為などに飲む方も多いミネラルウォーター。
コンビニなどでも沢山の種類が並んでいますよね。
種類によってどういう違いがあるのでしょうか。
今回はミネラルウォーターの種類について解説していいたきたいと思います。
ぜひ、選ぶ際の参考にしてください。
ミネラルウォーター、「硬水」「軟水」の違い
ミネラルウォーターはミネラル分が多い「硬水」とミネラル分が少ない「軟水」に分けることができます。
まずはその違いから見ていきましょう。
ミネラル分が多い「硬水」
水に含まれるカルシウムとマグネシウムの割合のことを硬度と言います。
この硬度が高いもの、つまり、より多くのカルシウムとマグネシウムが含まれている水が硬水です。WHO世界保健機構の基準では硬度が120mg/ℓ以上の水が硬水に分類されます。
また、一般的には硬度101~300mg/ℓの水を中硬水、301mℊ/ℓ以上の水を硬水と呼んでいます。
ミネラル分が少ない「軟水」
硬水とは反対に、ミネラル分が少ない水を軟水と言います。
WHO世界保健機構の基準では硬度が120mg/ℓ以下の水が軟水に分類されます。また、一般的には硬度100mg/ℓ以下の水を軟水と呼んでいます。
ミネラル量の違いは地層を通過する時間
天然水は地層を通過する際に、ミネラルを吸収していきます。その為、地層を通過する時間が長いほどミネラルを多く含む水になるということになります。
一般的にヨーロッパや北米の水は地層を通過する時間が長い為、ほとんどが硬水です。
反対に日本では天然水が地層を通過する時間が短かく、ほとんどが軟水となっています。
「硬水」「軟水」栄養面の違いは?
ミネラルウォーターの分類はカルシウムとマグネシウムの割合による為、硬水と軟水では主にカルシウムとマグネシウムの含有量に違いがあります。
硬水に多い「カルシウム」
カルシウムは骨や歯を作る大切な栄養素。
特に女性はホルモンの関係で骨粗鬆症になりやすい為、不足しないように摂取することが大切です。硬水にはこのカルシウムが含まれています。
商品により差はありますが、中にはペットボトル1本で牛乳瓶1本分のカルシウムが摂取できるものもあります。
硬水に多い「マグネシウム」
マグネシウムも骨や歯を作るのに大切な栄養素の1つです。また神経の興奮を抑える作用もあります。
硬水にはカルシウムの他、マグネシウムも含まれています。カルシウム同様、製品によって含まれる量には違いがあります。
「硬水」「軟水」栄養素以外に違いはある?
味わいに違いがある
硬水に含まれるカルシウムやマグネシウムには独特のクセがあります。
ミネラルウォーターには味がついていない為これらのクセを感じやすく、飲みにくいと感じる方もいます。
また日本の水道水はほとんどが軟水であることも硬水にクセを感じる要因になっているようです。
一方の軟水はミネラル分が少ないのでクセがなく、軽い飲みごこちが特徴です。
料理の用途にも違いが
ミネラル分が多い硬水はクセがあり、またアクを引き出しやすい性質を持っています。
その為、「出汁をとる」「旨みを引き出す」「煮る」などの工程がある和食にはあまり向かないと言われています。
逆に軟水は、旨み成分を引き出しやすい為、和食にむいていると言われています。
またコーヒーやお茶を入れる際は、硬水で入れた方が苦みや渋みを抑えられると言われています。
「硬水」「軟水」どうやって選ぶ?
硬水にはミネラル分が多いので、「多くの栄養素を摂取したい」「栄養素の不足が気になる」という方には硬水がおすすめです。
また「ダイエットにや美容には硬水」と言いますが、これも硬水にはミネラル分が含まれている為です。ミネラル分が多いからと言って痩せるという訳ではないですが、ミネラルは代謝にも関与しています。
その為、食事量が少なくなりがちなダイエット中でもミネラルを摂取することはとても大切です。
一方の軟水はミネラル分が少ないですが、その分軽い味が特徴です。また、料理などにも幅広く使うことができます。
硬水はお腹のトラブルに注意
硬水に含まれているマグネシウムは下剤に使われることもあります。その為、硬水を飲むとお腹がゆるくなってしまう方もいます。
体調によっても違いますから、お腹の調子が悪い時は硬水は避けた方がよいでしょう。
栄養素成分の確認を!
同じ硬水でもミネラル含有は製品によって大きな違いがあります。目的をもって選ぶならば、商品のパッケージの栄養成分をしっかりとチェックすることをおすすめします。
また硬水の中でもなるべく飲みやすいものを選びたい時は、栄養成分を確認してミネラル分が少ないものを選ぶとよいでしょう。
一言でミネラルウォーターといっても、味や栄養素に大きな違いがあります。
目的やお好みにより、「硬水」「軟水」を飲み分けられるといいですね。
【参考】
・エビアンHP(http://www.evian.co.jp/index.html)
・コントレックスHP(http://contrex.jp/about/component/index.html)
<筆者プロフィール>
永吉 峰子(ながよし・みねこ)
管理栄養士。大手小売企業にて店長、商品開発を経験後、現在は「健康」「食」に関する執筆を中心に活動中
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情報提供元: mocosuku