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40代が曲がり角! 今日から始められる「認知症予防」

2017-10-29 18:30:53


執筆:山本 恵一(メンタルヘルスライター)
医療監修:株式会社とらうべ
高齢社会白書(内閣府、平成28年版)によると、65歳以上の認知症患者数と有病率の将来推計は、2025年には患者数700万人(有病率20.6%)になり、高齢者の5人に1人が認知症患者という時代が到来すると見込まれています。
かつてより身近になってきた感のある認知症。
その予防にあたってはいつごろから、どのように取り組めばよいのでしょうか。

発症までに時間がかかる認知症


認知症の有病率を年齢別にみると、60歳代後半から急激に増加し始め、以降、加齢とともに高まっていきます。
認知症は加齢による病気という面があるとわかりますね。
また認知症は、「健常な成人になった人が病気や事故で脳を壊し、知的な能力の低下を招いて、一人で暮らしていくことが難しくなった状態」と定義されています。
しかし、アルツハイマー型認知症をはじめ、70種類以上あるといわれる認知症の多くは、初期症状が出るまで時間を要する、無症期間の比較的長い病気です。
たとえば、アルツハイマー型認知症はおよそ20年の無症期間があるといわれます。
つまり、初期症状が出るのは60歳代後半からであっても、その20年も前から、認知症は静かにスタートしているのです。
65歳未満の「若年性認知症」の中には、10代で発症するケースもごくまれにありますが、一般的に認知症が始まるのは、40~50代と考えてよいでしょう。
ですから、遅くともこの時期に、予防を始める必要があるでしょう。

40代は認知症への曲がり角!


40代も半ばくらいになると、以前のように無理が効かなくなったり、もの忘れが出てきたりと、「年齢を感じる」ライフステージに入ってきます。
認知症の中核症状(=基本的な症状)は、知的能力、すなわち脳の機能低下であり、あわせて、生活習慣病など生活習慣の乱れが「危険因子」として指摘されています。
この時期から次の2点で予防を講じることが、認知症の発症や重症化を抑える有効な布石となっていきます。

脳の機能低下を防ぐ


生活習慣の乱れを防ぐ


もっといえば、40代ですでに「脳は全然使っていない」生活をしているとか、「生活習慣が乱れに乱れている」といった状態になっていないように、今が何歳であっても今日から、この2点に関して、機能させたり規則化させたりする努力を怠らないことこそ、認知症予防といえるかもしれません。

認知症予防戦略の4本柱


認知症の発症や進行を先送りする予防法として、次の4つが挙げられています。
それぞれで推奨されている具体的ポイントとあわせて紹介しておきましょう。

生活習慣の改善


・定期検診等で定期的に生活習慣病のチェックをする、病気が見つかったら早期に治療する
・食事を適正カロリーにして、腹八分目、塩分控えめにする
・タバコはやめ、飲酒は適量にする
・睡眠をきちんととる など

運動、趣味、各種アクティビティ


・1日1時間程度の有酸素運動(ウォーキングやジョギングなど)が理想的である
・趣味やボランティアなど各種活動を通して、生活全般を豊かなものにする
・語学、読書や音楽など、知的な刺激を追い求める

社会的な交流や豊かな人間関係


・自分を取り巻く人間関係を、自然で良い関係に保つ
・仕事以外の社会的交流を作り、大切にする
・孤立したり引きこもったりしないようにする

認知症の早期発見・早期治療(重症化予防)


・認知症の知識や理解を深める
・定期検診やセルフチェックなどを活用して、ごく軽いうちに認知症の兆候を察知し対処する

高齢化社会でも認知症は減らせる!:イギリスの例



イギリスで、1989~1994年と、2008~2011年の2回、大規模な認知症調査を行いました。
その結果、高齢化率は15.7%から17.5%と、高齢者の数は増えたものの、認知症患者数は、88万4千人から67万人に減少したのです。
認知症有病率が22%も下がるという、世界中をアッと言わせる結果でした。
この間、イギリスは次のようなことを実施しました。
・医療における生活習慣病予防と治療への重点的な取り組み
・たばこの自販機、陳列販売の禁止
・塩分の摂取量を1日6グラム以下にする減塩政策を徹底
イギリスの取り組みは、認知症予防はやればできる、という恰好の先例ではないでしょうか。
【参考】
・内閣府 平成28年版「高齢社会白書」(http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/zenbun/28pdf_index.html)
・伊古田俊夫『40歳からの認知症予防入門』(2016年 講談社ブルーバックス)
<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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