イタくてカユい「ミミズ腫れ」 原因と対処法は?
2017-11-11 18:30:31
執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ
皮膚がちょっとした衝撃を受け、その部分にミミズのように細長くプクッとした赤い腫れができた経験はありませんか?
これがいわゆる「ミミズ腫れ」といわれる症状ですね。
なかには、皮膚の一部が突然赤く盛り上がり、しばらくすると跡形もなく消えてしまうミミズ腫れもあります。
今回は、ミミズ腫れができる原因と悪化させないための対処法についてご説明しましょう。
ミミズ腫れはジンマシンの一種
ミミズ腫れ特有のプクッとした赤い腫れは、血管から染み出てきた水分や血漿で、一時的にむくんでいる状態です。
痛いのと痒いのが同時に来るという特徴があり、通常はしばらくすると元の肌に戻ります。
ミミズ腫れができる原因の多くは「ジンマシン」といわれています。
ジンマシンは皮膚の一部が急激に赤く盛り上がり、しばらくすると、跡形もなく消えてしまう症状です。
皮膚の血管の周囲には「マスト細胞」と呼ばれる顆粒がつまった細胞が散らばっていて、何らかの理由で顆粒が放出されると、その中に含まれている「ヒスタミン」が血管を拡張し、血漿成分を血管の外に漏出しやすくしてしまいます。
同時に、ヒスタミンは痒み神経も刺激するため、痒みも伴うのです。(※)
このように、血管が一時的に膨らみ、血液の液体成分である血漿が周囲に染み出た状態が、ミミズ腫れでありジンマシンです。
(※)かゆみのメカニズムについては、こちらの記事もご参考ください。
『「肌のかゆみ」が止まらない! 良い方法はある?』
ミミズ腫れになりやすいジンマシンの種類
以下のとおり、ジンマシンにはさまざまな種類があります。
ミミズ腫れを起こしやすいのは、「刺激誘発型」や「色素性」のジンマシンです。
アレルギー性ジンマシン
卵、牛乳、小麦、花粉、動物、薬などの、アレルゲンに触れることで生じるアレルギー症状の中に、発熱や呼吸困難とともに、発疹や発赤(はっせき)、ミミズ腫れやしこりなどがあります。
物理性ジンマシン
皮膚に圧力がかかったり、肌を掻いたりしたときに起こるジンマシンで、別名「機械性ジンマシン」とも言います。
アクセサリー、腕時計、ベルトなど、皮膚を締め付けるような物質の外的刺激により、皮膚真皮血管(※)の周囲にあるマスト細胞が触発されて免疫機能が働くことが原因といわれています。
おもな症状が赤いミミズ腫れです。
(※)皮膚の構造については、こちらの記事もご参考ください。
『化粧のノリが悪くなるのはどうして?』
コリン性ジンマシン
体温上昇による発汗で発症するジンマシンです。
発汗にかかわるアセチルコリン(汗の分泌を促進させる神経伝達物質)が関与しているといわれています。
夏場や日中の活動中に症状が出やすく、冬場や夜間は出にくいという傾向があるようです。
小さな発疹が融合して大きな赤い膨らみに変わっていくのが特徴的で、激しい痒みやピリピリした痛みを伴います。
接触ジンマシン
化粧品や保存料などに含まれる物質が原因で起こるジンマシンです。
ミミズ腫れや発疹がおもな症状とされています。
アスピリンジンマシン
非ストロイド性抗炎症薬の代表格ともいわれる「アスピリン」の副作用として起こるジンマシンです。
最初にミミズ腫れができて徐々に広がり、強い痒みを伴います。
症状が高じると、吐き気や咳などの症状も出て、アナフィラキシー・ショックにつながることもあるそうです。
色素性ジンマシン
皮膚にある免疫系のマスト細胞は、ヒスタミンを出して炎症を誘発しますが、このマスト細胞が過剰にあることで引き起こされるジンマシンが、色素性ジンマシンです。
ジンマシン以外の原因:ストレスなど
外傷があるわけでもないのに、いきなり全身にミミズ腫れが生じて、強い痒みを伴うケースもあります。
まったく原因に思い当たらなければ、ストレスが引き金となっている可能性も考えられます。
また、ひっかき傷や手術後の傷などが要因となることもあります。
ミミズ腫れへの対処:いちばんは掻かないこと
アレルギーへの対処と同様に、ミミズ腫れも「原因物質を避ける」ことと、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー薬など「薬を服用する」ことが有効な方法とされています。
しかし、もっとも基本的なのは「痒い部分をかかないこと」です。
強い痒みや痛みが伴うことで、思わずかきむしってしまうと、ミミズ腫れがどんどん広がっていく可能性があります。
掻いても痒みは治まりません。
ちなみに、患部が冷えると痒みが緩和されることがありますから、氷などをあてて冷やしてみてください。
「とにかくかかない」と心得て、そして、症状がひどいときは早めに皮膚科を受診しましょう。
<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
関連記事
情報提供元: mocosuku