首だけど猫背? PC・スマホ利用者は注意したい「首猫背(ストレートネック)」
2017-12-03 18:30:11
執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
「猫背」と聞くと、ふつうは丸まった背中を思い浮かべるのではないでしょうか。
猫背というのは、もともとS字状にカーブしている背骨の歪みが強くなり、肩や頭が前に出てしまう姿勢で、放っておくと、頭痛や肩こり、疲労感などの原因になります。
それでは「首猫背」とはどういう状態なのでしょう?
一部では「若者を中心に急増している」とも言われているこの首猫背について、ご一緒にみていきましょう。
首猫背の状態
首猫背は別名、「ストレートネック」と呼ばれています。
スマートフォンやタブレット、パソコンなどを長時間使用する現代人に多くみられます。
本来、頭を支える骨である頸椎(けいつい)は、ゆるやかに湾曲していることでクッションの役割を担っています。
ところが、この湾曲が何らかの原因でまっすぐになってしまい、頭が前方に出てしまう状態が首猫背です。
首猫背がもたらす身体への影響
首猫背になって骨の位置がずれてしまうと、頸椎の周囲にある筋肉にさまざまな影響を及ぼします。
頭部を支える筋肉の緊張が高まり、肩凝り・頭痛・血流障害の原因となるのです。
その結果、ホルモンバランスが低下したり、自律神経が乱れたりして、倦怠感・不眠・イライラ・動悸・下痢・便秘などを引き起こす場合があります。
首猫背の原因
近年、スマートフォンやタブレット、パソコンなどを、同じ姿勢で長時間使用する若者やビジネスパーソンが増えてきました。
デスクワークでの前傾姿勢は、慢性化すると頸椎に大きな負担を与えます。
また、長時間うつむき姿勢でスマートフォンを操作することも、首猫背の代表的な原因となっています。
ちなみに、角度0度で首にかかる負荷を5㎏とした時、首を30度傾けると18㎏、60度傾けると27㎏もの負荷がかかるともいわれています。
ほかには、ボクシングやレスリング、柔道など、首への衝撃が激しく、顎を引いて背中を丸くした姿勢をとるスポーツや、運動不足、交通事故によるムチ打ち、加齢による頸椎の変化なども首猫背の原因になるといわれています。
首猫背の予防
次のようなことを心がけると効果があるとされています。
1.正しい姿勢を意識する
長時間うつむき姿勢でスマートフォンを操作したり、雑誌や本を読んだりするのは控えましょう。
また、パソコン使用時は、次の点に注意して作業しましょう。
ディスプレイは40cm以上離す、ディスプレイの位置を目線よりやや下に置く
椅子には深く座り、足全体が床に着く高さにする
背筋を伸ばし前傾姿勢にならない、肘を90度にしても自然に手の届く位置にキーボードを置く
2.ストレッチや運動をする
長時間にわたる同じ姿勢は、血流障害の原因になります。
1時間に1度は立って歩く、手足を伸ばす、ストレッチをするなど、筋肉をほぐすようにしましょう。
ウォーキングやヨガなど、運動習慣もつけましょう。
3.血流の改善
ゆっくりお風呂に入って、身体をリラックスさせると血流がよくなります。
日ごろから身体を冷さないように心がけることも大切です。
4.寝る姿勢や枕の改善
横向きやうつ伏せだと首の歪みが起こりやすくなりますので、仰向けで寝るようにしましょう。
また、枕の高さが合っていないと首に負担がかかります。
やわらかすぎる枕は沈みますから、頭をしっかり支えてくれる、自分に合った枕を選びましょう。
首猫背の対処や治療
1.温熱療法
血管拡張を促し筋肉のコリをほぐします。
タオルを70度~90度に温め、肩にあてる時はさらにタオルなどでくるみ、皮膚で感じる温度を40度程度にして10~15分温めます。
このとき、火傷をしないよう十分ご注意ください。
2.器具の使用
猫背矯正具を使用することで姿勢を整え、頸椎を正しい位置に戻します。
なお、上記は一例であり、手の痺れなどの症状が出ているときは、頸椎椎間板ヘルニアなど疾患の疑いもあります。
無理な対処はしないで、早めに病院を受診しましょう。
また、慢性的に痛みが続く場合も同様です。
治療薬の処方や運動やストレッチ方法のアドバイスももらえますので、病院にいくことをおすすめします。
【参考】
日経トレンディネット『急増中の「W荷重肩凝り」 モバイル機器に注意せよ』(https://style.nikkei.com/article/DGXMZO08201630R11C16A0000000?channel=DF260120166490)
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku