日本人の2人に1人だけ!? 近頃よく聞く「エクオール」とは
2017-12-11 18:30:42
執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
女性のホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)に似た働きをする「大豆イソフラボン」。
ホルモンバランスの乱れや更年期障害などに効果を発揮すると、最近注目されています。
エクオールはこの大豆に含まれるポリフェノール、大豆イソフラボン由来の成分です。女性の健康に役立つ様々な働きは、エクオールのおかげだったことがわかってきました。
今回は、そんなエクオールについて解説をしていきましょう。
エクオールはどうやってできるの?
エクオールは大豆イソフラボンに含まれる「ダイゼイン」という成分が、腸内細菌と反応して生まれる成分です。
エクオール産生菌と呼ばれる腸内菌にはいくつかの種類がありますが、中でも「ラクトコッカス20-92」と呼ばれる乳酸菌は、大豆イソフラボンに含まれるダイゼインを、ほぼ100%の確率でエクオールに変換すると評判です。
そして、エクオールは体内に吸収され、更年期障害などの症状に効果的に作用するのです。
ちなみに、ラクトコッカス20-92はイタリア産のチーズなどに含まれる乳酸菌の一つです。安全性も高いとされています。
エクオールに期待できる効果
エクオールの作用が女性ホルモンのように働くことが研究発表されたのは1984年。
さらに2001年に、尿中エクオール排泄量と女性の更年期症状との関係についての調査研究が発表され、エクオールに注目が集まり、更年期症状などへの効果が明らかになってきました。
現在、次のような改善作用や予防効果が期待されています。
・更年期症状の改善(ホットフラッシュや発汗、肩こりなど)
・PMS(月経前症候群)の軽減
・皮膚老化の予防
・骨粗しょう症予防
・メタボ予防
・抗酸化作用
・動脈硬化のリスク軽減
・脂質代謝改善
・血管内皮作用
・前立腺への作用
日本人の2人に1人しか作れない!
エクオールを生み出す腸内細菌はすべての人の腸内にいるわけではありません。
日本人の場合、その割合は50%といわれています。
腸の中の菌バランスが影響しているようで、関東よりも関西にエクオール産生者は少ないといわれます。また、20代ではおよそ20~30%程度しかエクオールを作れる人がいないといわれ、これは食生活の欧米化が関係していると考えられています。
国内だけでなく世界を見ると、アメリカ人は約30%と日本人より低く、日本や中国など大豆製品をよく食べる民族は、エクオールを産生する割合が高い傾向があるそうです。
大豆製品やエクオールを摂り入れた時には、身体の変化をしっかり観察することが大切です。
ソイチェック:エクオール産生者の判定
自分はエクオールを作れるのか作れないのかを調べられる検査があり、「ソイチェック」と呼ばれています。
イソフラボンやエクオールは体内に蓄積できないので、摂った翌日には尿から排出されます。
ですから、尿検査(ソイチェック)によってエクオール産生の可否が判明します。
現在、エクオール検査(ソイチェック)で尿を調べることで、次のことがわかります。
・エクオールを作れていたかどうかの判定
・検出されたエクオール濃度
・測定値のレベル判定(レベル1~5で、レベル4以上が理想量とされています)
検査キットを使って尿を採取し、返信用封筒に入れて投函すると、2週間ほどで検査結果が届くようになっています。
腸活で食生活の改善を!
エクオールが作れるからと油断していると、腸内環境がみだれて腸内細菌が機能しなくなると、エクオールも産生できなくなってしまいます。
エクオールのもととなる大豆製品に加え、海藻、根菜、きのこ類などの食物繊維が豊富な食材や、発酵食品を食生活にきちんと取り入れることが大切です。
また、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種による腸内環境のバランスも、理想的とされる2:1:7をキープするよう、食生活の見直し、ストレスケア、運動や睡眠といった、生活習慣全般の改善も重要といえます。
<参考>
・医知恵『「エクオール」をご存知ですか?』(https://i-chie.com/menopause/feature-article/lp-01)
・ホルモンケア推進プロジェクト『管理栄養士が教えるエクオールの重要性』(http://hormonecare-pj.net/archives/care/equol/69-2)
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku