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「サウナ」はカラダに良いの? ミストサウナは?

2018-01-03 18:30:56


執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
日ごろから、健康維持のためになにかしていることはありますか?
なかには、サウナを活用している、という方もいるかもしれませんね。
汗をかいてスッキリ、身体もぽかぽか… 
健康に良いイメージがあるサウナ。
具体的にはどのような効果が期待できるのでしょうか?
今回は、サウナの発祥から効果、ミストサウナにも触れながら、注意点等もご説明していきましょう。

発祥の地はフィンランド


サウナとは、厳密にはフィンランド固有の発汗風呂のことをいいます。
サウナの詳しい起源は不明で諸説ありますが、2000年以上も前にフィンランド民族によりつくられたといわれています。
当時、サウナは身体を温める目的だけではなく、信仰的な意味合いも持ち合わせていました。
神の贈り物である火で薪を燃やすことで、病(やまい)や邪心なども取り除いてくれる、と考えられていたのです。
この信仰は、親から子へと受け継がれ、フィンランド民族は現在もサウナという風呂文化に誇りを持っているといわれています。

サウナの健康効果


人々の心身を癒す存在だったサウナは、その健康効果についても多くの関心を集め、フィンランド国内のみならず、世界中でさまざまな研究が行われてきました。
なかでも、広く認められている効果は、サウナの熱による温熱作用です。
温熱作用は、血流を良好にして疲労回復を促進すると考えられています。
血液は、身体中の細胞に酸素や栄養を送るとともに、二酸化炭素や老廃物を回収する役割も担っています。
そのため、サウナの温熱作用で血管が拡張し血流が良くなると、細胞に必要な酸素・栄養が広く浸透するようになります。
同時に、老廃物も排出されやすくなり、疲労の回復につながります。
一般的な湯船に入る入浴法(温水浴)でも効果はあるのですが、湯舟につかると、腹部に水圧がかかり横隔膜が押し上げられるため、肺や心臓に負担がかかります。
その点サウナは水圧がありませんから、身体に負担をかけずに温熱作用の疲労回復効果を得ることができるのです。

治療にも使われるサウナ


一方、サウナの温熱作用は治療法としても応用されています。
これが、鹿児島大学の鄭忠和教授らが開発した「和温療法」という治療法です。
和温療法は、慢性心不全の患者に対する温熱療法として開発され、乾式遠赤外線均等サウナという装置を用います。
この療法では、サウナ装置で60℃に設定した和温部屋にて15分間全身を温め、深部体温(身体の内部の温度)を平均1.0℃上昇させます。
その後、安静にしながら30分間ほど保温効果を持続させ、最後に発汗量に見合った水分を補給します。
和温療法を症状に合わせて継続することで、血管が拡張して心臓の拍出量(1回の心拍で送られる血液量)が増加し、心機能の改善に効果を発揮すると考えられています。
このような治療法の開発を受け、現在では、他の治療効果の可能性を探るため、さらなる研究が進められているところです。
ところで、最近入浴施設やスポーツジムなどでミストサウナをよく見かけるようになりました。
このミストサウナ、健康効果という観点からは、一般的なサウナ(乾式サウナ)や温水浴とどのように違うのでしょうか?

ミストサウナの効果


ミストサウナとは、一般的な乾式サウナよりも、低温(40~42℃)で高湿度(80~100%)に設定されたサウナ、あるいは、細粒化された水滴を噴射するサウナのことです。
これまでの研究では、ミストサウナは、ドライサウナよりも血圧の変化や体温の上昇が少ないものの、発汗量や皮膚の血流量は多いことがわかっています。
また、温水浴との比較研究でも、ミストサウナの方が血圧の変化が少なく、発汗量や皮膚の血流量が多いことや、入浴により得られる温まり感や爽快感などは温水浴と同等、あるいはそれ以上であることが明らかになっています。

サウナに入るときの注意点


このように、ミストサウナを含め、サウナにはさまざまな効果が認められています。
とはいえ、長い時間入れば効果がたくさん得られる、ということにはなりません。
次のことに注意しましょう。

長時間入らない


とくに乾式サウナは、90~100℃に設定されている装置もあります。
脱水症状などを防ぐためにも、5分、長くても10分程度で出るようにしましょう。

冷たすぎる水風呂に気をつける


サウナの後に水風呂に入る場合は、あまりにも冷たすぎると一気に血圧が上がり心臓に負担がかかります。
冷たすぎる水風呂ではなく、ぬるま湯(30℃程度)につかるようにしましょう。

水分をしっかり補給する


サウナに入ると、大量に発汗しますから、当然身体は水分不足に陥ります。
サウナ後はしっかり水分を補給しましょう。
なお、ビールなどのアルコール類は、利尿作用によりかえって水分不足になります。
脱水症状のリスクがありますで、大量に飲むのは控えてください。

持病があるときは医師に相談する


サウナの健康効果を知って「ぜひ試してみたい」と思われた方もいるでしょう。
ただし、持病がある場合は、悪化させる可能性があります。
サウナを利用する前に、かならず医師にご相談ください。
また、たとえ持病がなくても、サウナ中に不調を感じたら、すぐに出るようにしましょう。
くれぐれも我慢くらべなどをしてはいけません。
ご自身の健康と安全を第一に考えて、サウナを有効に取り入れましょう。
【参考】
・和温療法研究所(http://www.waon-therapy.com/index.html)
<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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