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カラダのためにまずは野菜を。 でもそのあとは?

2018-01-04 18:30:06


執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
西洋料理のフルコースや日本の会席料理などは、一品ずつ提供され自ずと食べる順番も決まっています。
一方で、すべての料理が同時に並ぶと。
もちろん好きな順に食べられますし、また、好きなものをたくさん食べるなど、思うがまま自由に食べられます。
しかし、近頃の健康ブームにも乗って「食べる順番を意識しよう」と盛んに取り上げられるようになりました。
今回は「食べる順番」について、ご一緒にみていきましょう。

ベジ・ファースト=野菜を最初に食べる理由


「最初に野菜から食べる」これを聞いたことのある方は多いでしょう。
それでは、理由はご存知でしょうか?
もともと、「食べる順番」は、カロリーを制限しないでダイエットをしたい人向けに、太りにくくなる方法として考案されました。
「食べる順番ダイエット」なんていう呼ばれ方もしています。
ただし、このダイエット法は即効性があるわけではなく、ある程度時間をかけ食べる順番を習慣づけることで、広い意味で健康面にメリットがあるといわれています。
ダイエット以外にも健康によい、という点がここまで広く知られるようになった要因かもしれませんね。

食べる順番ダイエットの根拠


糖尿病など生活習慣病について一般に認知され、「血糖値」「インスリン」などの用語も耳慣れているかもしれません。
血糖値は血液中のブドウ糖の濃度のことです。
ブドウ糖は体内に吸収される糖質の最小単位です。
食品としてご飯やパン、砂糖などを摂取すると、分解されてブドウ糖になり体内に吸収されます。
通常、ものを食べると血糖値は上昇します。
このとき、糖質の量が多ければ多いほど血糖値の上昇率は高くなり、吸収が早いほど急激に上昇するとされています。
これに対して「インスリン」は、すい臓から分泌される体内ホルモンのひとつで、血糖値を一定に保つ働きを持ちます。
食事をして血糖値が上昇すると、インスリンがすい臓から大量に分泌され、糖分をエネルギー源として細胞に送り込みます。
細胞はこの血糖を取り込みエネルギーに利用したり蓄えたり、あるいは、たんぱく質の合成や細胞の増殖を促したりします。
そうして、食後に増加した血糖が処理され一定量に保たれるのです。
しかし、インスリンには、代謝しきれなかった糖質は脂肪に変えて体内に溜めこむという働きもあり、これが過剰だと肥満につながります。
つまり、肥満を防ぐためインスリンの分泌を抑制するには、できるだけ血糖値の上昇を穏やかにしてあげるとよいのです。
そこで「食べる順番」が登場します。

野菜を食べたら次は「肉や魚」


関西電力医学研究所の研究によると、まず野菜から食べ始め、その次は「肉や魚」、最後にご飯を食べると血糖値の上昇が抑えられる、と報告されています。
これには、「インクレチン」というホルモンが関係しています。
インクレチンは食品に含まれる栄養素に反応して消化管から分泌され、インスリンの分泌を促します。
さらに、血糖を上げるホルモンであるグルカゴンの分泌を抑え、胃の動きを緩やかにし食後の血糖上昇を抑えます。
肉や魚をご飯より先に食べることでインクレチン分泌が促され、その結果、胃の動きが緩やかになり、胃で分解されたご飯が小腸に移動して吸収されるまでの時間が2倍以上延びたという報告があります。
インクレチン分泌のきっかけになるのは、食品に含まれる脂質であると考えられています。
これに「まず野菜を食べる」を一緒に実践すると、さらに効果的です。

「食べる順番」の考え方の応用


このように、いきなり主食のご飯やパン(糖質)を食べると、血糖値が一気に上がるということがわかりました。
最初に食物繊維の多い野菜料理を食べ、それから脂質を含む肉や魚料理を食べることで、腸における糖の吸収速度が遅くなり血糖値の上昇が緩やかになります。
また、胃腸に停滞する時間も長く、腹持ちがよくなり満腹感を感じやすく、自然と主食の量は控え目になるでしょう。
さて、以上の基本をいろいろと応用してみましょう。
たとえば、居酒屋で飲み会のシーン、まず野菜サラダや野菜の煮物、次に枝豆や焼き鳥、焼き魚、そして、ポテトフライ、お茶漬け、お蕎麦…といった順番でオーダーをすると、「食べる順番ダイエット」になっています。
ポテトフライやコロッケ、ご飯ものなどから手をつけると、血糖値は急上昇、要注意ですよ。
他には例えば、牛丼屋。
牛丼にサラダも注文して、サラダを先に食べること。
ラーメン屋では野菜も肉ものっているタンメンを選ぶ、ワカメや海苔、チャーシューをトッピングして「食べる順番ルール」に近づけるなど、自在に応用できます。
「食べる順番」の考え方を無理なく取り入れ、美味しく食べつつ血糖値の上昇も抑えましょう。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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