1月17日は「防災とボランティアの日」 防災への備えを!
2018-01-16 18:30:33
執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
「災害時のボランティア活動と自主的な防災活動への認識を深める」という災害予防の充実と強化を図るため、1995年(平成7年)に「防災とボランティアの日」が制定されました。
毎年1月17日に定められた理由は、1995年1月17日に「阪神・淡路大震災」が発生したことに因んでいます。
また、この日の前後1週間を「防災とボランティア週間」とし、全国的各地でまざまな催しが実施されます。
今回は、この「防災とボランティアの日」にちなんで、そのボランティア活動や、防災で準備することなどについて見ていきましょう。
災害ボランティア活動
災害ボランティアとは、おもに地震や台風、火山噴火、豪雪など、自然災害により被災した人や地域を支援するボランティアを指します。
阪神・淡路大震災や東日本大震災、最近では熊本地震においても、被災地の復旧や復興に多くの災害ボランティアの活躍があったことは皆さんもよくご存知でしょう。
総務省が5年ごとに実施する「社会生活基本調査」によると、平成28年に災害ボランティア活動に携わった人は、東日本大震災が発生した前回(平成23年)から2.3ポイント減少しましたが、平成18年と比べると0.3ポイント上昇しています。
また、平成28年は熊本地震の発生により、九州地方の行動者率(※)が高いことも読み取れます。
そして、いまもなお多くの人の善意とボランティア精神により、被災地の復興が進められている現状を忘れてはいけません。
※行動者率:10歳以上人口に占める過去1年間に災害ボランティア活動に従事した人の割合
防災に対する意識
「平成28年度版 防災白書」によると、防災意識等調査の結果「大災害が発生する可能性がある」と思っている人は60%以上もいるのに対し、何らかの備えをしている人は37%にとどまっていることがわかりました。
とりわけ、15歳から34歳までの若年層にその傾向が強く、70%近い人が「ほとんど(あるいはまったく)取り組んでいない」と回答しています。
この結果を踏まえ、私たちはいっそう防災への危機意識を高め、その意識を備えに結びつけていかなければなりません。
また、白書ではとくに若年層への防災意識の啓発が必要であるとも指摘しています。
いずれも喫緊の課題といえるでしょう。
「備え」の取り組み
それでは、具体的にはどのように備えたらよいのでしょうか。
防災白書では「身近な活動と防災の取組」と題し、少子高齢化時代の防災の担い手不足等の現状を前提として、災害を特別な事件とみなさず、身近な日常生活の延長として取り組むこと、と示しています。
その動機づけとして、まずはテレビやICT、雑誌など災害情報へのアクセシビリティを高めること、そして、職場や地域など日常的にコミュニケーションを交わしている知人・友人と、防災活動などに参加することを奨励しています。
後者の例としては、校庭でキャンプをして身近な材料で災害時に役立つアイテムを作る、料理サークルが炊き出しおこなう、子ども会で水を使わないで調理をする、などです。
地域の人々が慣れ親しんでいる恒例行事に防災活動を付加して、身近なところから意識づけをする…といった試みは、一定の効果が見込めるでしょう。
災害を非日常とせず、できるだけふだんの延長と捉え備えることが大切であると、白書は強調して呼びかけています。
具体的に準備すること
実際に災害にあった時のために、何を準備しておけばよいか確認しておきましょう。
もちろん定期的に家族とチェックし、入れ替えも忘れずに。
飲料水や食料の備蓄
停電や断水など生活インフラの停止を想定すると、少なくとも3日分の水や食料の備蓄が必要です。
また、ただ備蓄するのではなく、ローリングストック方式で使いながら備蓄をすると、日常的な活動になります。
非常用持ち出しバッグ
ラジオ、救急用品、ヘルメット、マスクなどを収納した非常用バッグの準備も奨励されています。
推奨アイテムは首相官邸のホームページを参照してください。
※参考:首相官邸「災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~」(http://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html#c6)
連絡方法や避難場所の確認
災害が発生して電話がつながらなくなった時の連絡手段、安否確認方法、加えて、最寄りの避難場所や避難経路の確認も大切です。
家庭や職場、通勤通学途上など、災害時にいる可能性が高い場所を家族と共有し、すべて確認しておきましょう。
家具などの設置の見直し
家具の下敷きになったり、食器類など割れ物でケガをしたりしないように、ストッパーや金具を取り付ける、飛散防止フィルムを張る、家具の向きや配置を変えるなどの対策を講じることができます。
「防災とボランティアの日」をきっかけとして、防災に対する意識を高め、家族や地域ともコミュニケーションを図り、「備えあれば憂いなし」という日常を持続しましょう。
【参考】
・内閣府 防災情報のページ「『防災とボランティアの日』及び『防災とボランティア習慣』について」(http://www.bousai.go.jp/kyoiku/volunteer/detail_kakugi.html)
・総務省統計局「防災ボランティア活動の状況-『防災とボランティアの日』にちなんで-」(http://www.stat.go.jp/data/topics/topi670.htm)
・内閣府 防災情報のページ「平成28年度版 防災白書」(http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h28/honbun/index.html)
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku