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生き物ではない、「タコ」と「魚の目」 という皮膚病について

2018-03-24 18:30:53


執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
タコ」と「魚の目(うおのめ)」。
ここでいうこれら、魚のことではありません…皮膚病の俗称です。
通常、タコは手足など身体のあちこちに、魚の目はおもに足の裏にできます。
いずれも皮膚が慢性的な刺激を受けたことにより、表皮の角質層が厚くなる病気です。
タコや魚の目ができる要因を知っておくとフットケアへの理解も深まります。
ご一緒に理解を深めて参りましょう。

タコや魚の目が皮膚にできる理由


皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層で構成されています。
そして表皮はさらに4層になっていて、一番外側にある角質層が保湿(水分を保つこと)やバリア機能(刺激や菌などから身体を守る)の役割を担っています。
ヒトの皮膚、すなわち「肌」は人体で最も大きな臓器です。
その面積はというと、成人で約1.6平方メートル、重さはおよそ9キログラムあるといわれています。
皮膚は全身にわたっており場所によって厚さが違いますが、とくに全身の体重を支える足の裏の角質層は厚くなります。
この部分に加わる刺激に対する防御反応としてタコや魚の目ができるのです。

タコと魚の目のちがい


タコは医学的には「中足骨胼胝腫(ちゅうそくこつべんちしゅ)」、魚の目は「鶏眼 (けいがん)」と呼ばれています。
どちらも角質層への慢性的な刺激によってできるという点は共通しています。
タコは、皮膚が外側に盛り上がって厚くなった状態で、その部分の皮膚全体が黄色味を帯びます。
一方魚の目は、刺激が一点に集中した結果、角質が円錐状の「芯」となり内側に突き刺さって真皮の神経を刺激している状態です。
中心部に“魚の目”のような丸い「芯」が見えることから、俗に「魚の目」というのでしょう。
タコは痛みをともなわないことが多く、魚の目は歩くたびに痛い思いをします。
ちなみに、「ペンダコ」のようにタコは手などにもできますが、魚の目は足の裏や足指の間にできます。
ここで足にできる症例をご紹介しましょう。
足の母指の先が人差し指の方に「くの字」形に曲がり、付け根の関節が痛んだり炎症を起こしたりする「外反母趾」、足の指が一本以上地面に接していない「浮指」などは、正しく歩行ができません。
そのため歩行時に加わる過剰な刺激をうまく分散できずタコができやすくなります。
さらにその刺激が続くと、タコのせいで皮膚呼吸ができなくなり、内側から皮膚呼吸や老廃物の排出を促そうと「芯(腺)」ができて魚の目になるのです。
ちなみに、ウィルス感染による「イボ」と、皮膚が硬くなる魚の目とはまったく違うのですが、見間違えられることがよくあります。

タコや魚の目ができる原因


タコや魚の目ができる原因として次のようなことが挙げられます。

サイズが合わない靴を履いている:サイズが小さくても大きくても指が圧迫される


開帳足(かいちょうそく):運動不足による筋力低下や体重増加による足への負担がきっかけで、親指から小指にかけての足の横アーチがなくなってしまう。前面に体重がかかりやすく、擦れやすくなってタコや魚の目ができる


ハイヒール:毎日長時間履いている


歩き方のクセ:足裏の特定の部位に負担がかかるような歩き方


足の冷え:冷えていると刺激をより強く感じるためタコや魚の目ができやすい


糖尿病:合併症で起こる神経障害が手足の感覚を鈍くして、過剰な刺激に足をさらし続けるためタコや魚の目ができやすい(定期的な足裏チェックを推奨)


タコや魚の目対策:フットケア


原因や患部の状態によって対処方法はさまざまですが、次のようなケアが基本となりますので参考にしてみてください。

サイズが合った靴を履き、ハイヒールを履くのはできるだけ少なくしましょう。


足への衝撃を和らげる中敷きや保護パッドを使用すると負担が軽くなります。


姿勢を良くして歩き方のクセを見直しましょう。自分でよく分からない場合は、靴屋さんやフットケアサロンなどでクセや歩き方を見てもらって矯正するとよいでしょう。


タコや魚の目削り専用カッターやヤスリなど、市販の対策グッズを使用する方法もあります。風呂上りなど皮膚が柔らかくなった時に処置します。ただし、剃刀は皮膚を傷つけ細菌感染する危険もありますから避けましょう。


症状が軽ければ角質を柔らかくする「サリチル酸」が入った市販薬で治すことができます。パッドタイプ(貼り薬)、絆創膏タイプ、液体タイプなどがあります。


温活をしましょう。冷えによる血行不良などを防ぎます。


スキンケアを心がけましょう。ターンオーバーの乱れや新陳代謝の低下を防ぎます。睡眠・食事・運動といった基本的な生活習慣を整えることが大切です。


症状が酷い場合セルフケアで治すことは困難です。
フットケアサロンなどで状態を見極めてもらい、皮膚科など医療機関で治療をする必要があります。
いずれにせよ症状の度合いにあわせた適切な処置が大切です。
無理なセルフケアは悪化の原因になりかねません。くれぐれも気をつけてください。
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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