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「文化から未来を作る」次世代の文化起業家30名を京都で表彰 Forbes JAPAN CULTURE-PRENEURS AWARD 2026

2026-10-08 16:49:40

2026年10月3日、京都・金戒光明寺で、Forbes JAPAN主催、京都市共催の「Forbes JAPAN CULTURE-PRENEURS AWARD 2026」が開かれました。文化を起点に新たな価値を生み出す人を選ぶ「Forbes JAPAN CULTURE-PRENEURS 30」の受賞者30名を表彰する授賞式です。22名が登壇し、京都市特別賞とYNK特別賞も贈られました。

文化は種をまき、育てる営み

会場は、浄土宗大本山・くろ谷 金戒光明寺です。1175年にさかのぼる名刹(めいさつ)で、アワードは開会を迎えました。

最初に登壇したのは、Forbes JAPAN Web編集長の谷本有香氏です。「文化」の語源の一つとして、中国古典にある「文武」の「文」を挙げました。武力と相反する「文」には、理や人情、やさしさといった捉え方があり、それによって人々や社会を良い方向へ導き、変えていくことが文化だと述べました。

谷本氏は、国が文化を戦略の一つに掲げた2026年は、アワードにとって重要なタイミングだとし、日本が「文」で発信していく役割は大きく、このアワードが世界を変えるきっかけになれば、と結びました。

続いて、京都市長の松井孝治氏が登壇しました。「カルチャーは種をまき、育て、そして刈り取る営みだ」と語り、京都は特定の文化が支配するのではなく、古今東西から人が集まり、この地で糠床のように融合してきた町だと説明。京都という土壌のうえで、文化の担い手が社会を変え、事業を創造する「苗床」をつくることが、京都の個性だとも語りました。受賞者とともに苗床を育て、その実りがエコシステムとなり、カルチャープレナー(※)が世界を切り開いていくという展望を示しました。

協賛企業の東京建物からは、常務執行役員の古林慎二郎氏が登壇。受賞者の挑戦は、文化を自ら更新し、新たな社会的・経済的価値へ変えていくものだとして、「対話と共創」を重ねたいと語りました。

※カルチャープレナー:「カルチャー(文化)」と「アントレプレナー(起業家)」を合わせた言葉。Forbes JAPANは、文化とビジネス、社会をつなぎ、新たな価値や未来の文化を生み出している人々を「カルチャープレナー」と定義している。

伝統工芸、ゲーム実況、ロボット。多様な文化の担い手がそろう

Forbes JAPAN CULTURE-PRENEURS 30は、19名のアドバイザリーボードの協力のもと、成長が期待される文化起業家を中心に候補者を選び、Forbes JAPAN編集部の審査で30名を選出しています。受賞者には、オリジナルのトロフィーと、歴代受賞者の大河内愛加氏が制作した金彩のブローチが贈られました。

登壇した22名は、1人ずつ名前を呼ばれてステージに上がり、トロフィーを受け取り、フォトセッションに臨みました。最初に呼ばれたのは、和紙職人で紙漉キハタノ代表のハタノワタル氏です。ゲーム実況グループ「ドズル社」のリーダーのドズル氏、Hypolygon代表取締役の瀬川公雄氏、南條工房 七代目LinNe代表の南條和哉氏らも登壇しました。

所作研究家でKiQ Founder & CEOの菊地あかね氏は、京都橘大学とKiQの共同研究の第1弾として、体験型作品「AUN dog」を発表しています。日本文化の「阿吽」と「狛犬」の思想を、ロボティクスで再解釈した作品です。2体の四足ロボットの愛称は「こまちゃん」です。

特別賞に込められた、継承と更新

続いて、京都市特別賞が発表されました。受賞者は、京都染元しょうび苑3代目でテキスタイルディレクターの上林央佑氏です。染色の技術や文化を受け継ぎながら、京都のものづくりの可能性を広げる活動が評価されました。

上林氏は、京都の上桂にて日本最古の防染技術である、“ろうけつ染め”を継承し、のれんを1つずつ制作していると語りました。幼いころは「家業には絶対入らない」と言って家を飛び出し、アメリカへ学びに行ったそうです。シリコンバレーから故郷京都を見て、世界中の人たちが憧れる特別な場所が、「実は僕の当たり前だった」ことに気づいた、といいます。祖父が京都で職人としての人生を始めたことに触れ、60年以上しょうび苑と共に歩んでくださったお客様、関わったすべての皆様のおかげで今日の自分がある、と感謝を述べました。

松井氏は、選んだ理由として、ろうけつ染めの老舗に生まれ、シリコンバレーで経営も含めた武者修行をして戻り、のれんを継いだことを挙げました。ベルギーや台湾など海外のデザイナーとコラボして新しい商品を企画するなど、老舗の枠にとどまらない挑戦は、京都が目指す「不易流行の街」を開花させたようなお仕事ぶりだ、と評しました。

続くYNK特別賞は、東京建物が創設しました。YNKは、東京駅東側の八重洲、日本橋、京橋の頭文字です。選考の観点は、30名の選出基準に加え、地域に根付く文化や技術を未来へつなぎ、新たな価値を創出する活動です。

受賞者は、TIMELESS LLC.代表で、ててて協働組合共同代表の永田宙郷氏です。プレゼンターの古林氏は、地域の作り手や、その価値を伝える人たちをつなぎ合わせ、事業に変えている点に加え、その調整を丁寧に重ねる姿勢に共感し、持続的に文化を継承する働きを期待して選んだといいます。

永田氏は、「東京にきて初めてお仕事をいただいた一つが東京建物さんであり感慨深い」と話しました。ファッションブランドTELMAの中島輝道氏の言葉として、「先人が培ってきた知恵や日本の風土にあった文化を、ノスタルジーだけではなく、新しい文化や価値に変えて次につなげていく」を紹介し、ここに並ぶ受賞者がこれまで挑み、これから目指すことも、先人の知恵を新しい文化や価値に変えて次へつなぐことではないか、と語りました。

さらに、自身も先人の手を学びながら、「新しい価値や文脈につなげて未来へ引き継いでいきたい」と述べ、締めくくりました。

情報提供元: マガジンサミット