E START

E START トップページ > マガジン > 水の飲みすぎで体重が増える? 「水太り」の本当の意味

水の飲みすぎで体重が増える? 「水太り」の本当の意味

2018-05-22 18:30:21


執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
一般的な辞書によると「水太り」「身体のしまりがなく太っていること」と解説されています。(※)
水を飲んで太ることを意味しているわけではありません。
しかし、水をたくさん飲むとやはり太るのでしょうか?
今回は「水太り」がどんな現象を指しているのか、また、水分と体重増加の関係を考察します。
※weblio辞書『水太り』(https://www.weblio.jp/content/%E6%B0%B4%E5%A4%AA%E3%82%8A)

水のカロリーはゼロ


水を飲んで一時的に体重が増加することは当然あります。
500ccの水を飲んだ直後に体重計に乗れば、体重は500g増加しているのは明白です。
しかし、水は常に身体を出入りしていて、その量は1日に2.5リットルほどといわれています。
「入ってくる水」は、食事や飲み物からの摂取です。
一方「出ていく水」に関しては、汗や便や尿、吐く息などです。
ですから、飲んですぐに体重が増加しても、やがて排出され体重は元に戻ります。
さて、「太る」とは言わずもがな「肥満」という意味です。
こちらは、摂取される栄養素(糖質・脂質・たんぱく質など)の熱量(カロリー)が、エネルギー消費されずに余ってしまい脂肪細胞として体内に蓄積されて量が増える…という現象を指します。
水にはカロリーがありませんから、たくさん飲んだとしても「肥満」を意味するところの「水太り」にはなりません。

水分の過剰摂取は水中毒の危険も!?


ただし、水を大量に飲むことで気をつけなければならないのが「水中毒」です。
専門的には「低ナトリウム血症」と呼びます。
これは水分の過剰摂取によって、身体の中の電解質バランスが崩れてしまう状態です。
血液中のナトリウム濃度(塩分の濃度)が低下し、めまいや頭痛、多尿や下痢などの症状を引き起こします。
さらに重症化すると、錯乱、呼吸困難などが現れ、最悪の場合死に至ることさえあります。
水はカロリーがないから、デトックスやダイエットにもいいから…と、喉が渇いていないのに無理してがぶ飲みするような水分補給は注意してください。

「むくみ」としての「水太り」


それでは、「水太り」の正体は何でしょうか?
「むくみ」とは、本来血液やリンパによって運ばれて排出されるはずの、余分な水分や老廃物が細胞間に溜まっている状態です。
静脈やリンパ管の流れが悪くなって「むくみ」は起こります。
この「むくみ」が顔や手足、下肢や全身に現れているとき、「水太り」に相当する「太り」が生じます。
「むくみ」の多くは生活習慣に起因しているといわれます。次のようなことが「むくみ」を招きます。

同じ姿勢や運動不足による血行不良


冷え


ホルモンバランスの乱れ


お酒の飲みすぎ


塩分の摂りすぎ


水分不足(後述)


病気


「むくみ(水太り)」を放置すると「太る」


前述のとおり「むくみ」の原因は、余分に溜まっている水分や老廃物です。
これを放置すると、老廃物は脂肪細胞に吸収されて固まってしまいます。
さらにそれが肥大化すると「セルライト」という固い脂肪の塊と化して身体に残ってしまいます。
水太りが肥満につながってしまったケースです。
こうなると、代謝が悪い、体重が減りにくい、脂肪も燃焼しにくい…といった悪循環に陥ってしまう場合もあります。

水太りの解消法


血流やリンパの流れを良好にして、余分な水分や老廃物の排出を促しましょう。
「むくみ」がとれれば、水太りも解消されていきます。次のような点に留意しましょう。

運動による血流の改善


ふくらはぎの筋肉や骨盤周りを体操(エクササイズ)で鍛える:インナーマッスルを鍛えることで代謝力を上げる


マッサージをしてリンパの滞留を解消する


白湯を飲む、入浴するなど、身体を温めて冷えを解消する


食事の改善:塩分を調整するカリウムの摂取、血行を促進するビタミンEの摂取


水分不足にも注意が必要


意外に思われるかもしれませんが、ダイエットなどで水分補給が不足しているときも「むくみ」は起こります。
水分が足りないと身体は「緊急事態」と判断して、限られた水分を体内に溜め込もうと働くのです。
この作用が、尿や便、汗の排出を減らしたり、「むくみ」を生じさせたりします。
そうして「水分を溜め込む体質」が作られていきます。
このような理由から「水太り」に至ることもあります。
ふだん何気なく飲んでいる水ですが、「むくみ」を感じたときは自分の体調と水分量をチェックして、「肥満」に進行しないよう上手に解消してください。
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

関連記事

情報提供元: mocosuku

  • Twitter投稿
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

人気記事

この記事へのFacebookのコメント