ウォーキングフォーム気にしてる? 「みぞおち歩き」がオススメ
2018-07-20 18:30:13
執筆:藤尾 薫子(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ
生活習慣病や認知症の予防をはじめ、ストレス解消のニーズも高まって、昨今は適度な運動の習慣づけが奨励されています。
特にウォーキング人口は増加傾向とのこと、運動不足の人にとって取り組みやすいメニューなのかもしれませんね。
しかし、専門家によると、間違った歩き方はかえって身体に余計な負担をかけるといいます。
そこで今回は、身体によいとされるウォーキング法「みぞおち歩き」を取り上げます。
ウォーキングの効用
有酸素運動の代表格、ウォーキングは適度な運動には最適です。
ジョギングやランニングよりも緩やかな運動なので、健康にもよいと言われます。
ところで「歩く」という運動にはどのような効用があるのでしょうか。
ウォーキングの医学的効果などを研究、普及活動にも従事する西田潤子医師は次の4点を挙げています。
医学的効果:肥満や高血圧・高血糖などの生活習慣病、骨粗しょう症や痛風などの病気の治療に効果を発揮する
体力増進効果:筋力を高める、バランス機能を整え転倒やけがを防止する
心理的効果:リラックスや気分転換によい
社会的効果:ウォーキングイベントなどで仲間ができる、社会参加ができる
健康日本21(第二次)における「身体活動・運動」の目標値
国民の健康増進を図るため、健康づくり運動の指針となっている「健康日本21(第2次)」でも、「身体運動・活動」の指標として「日常生活における歩数の増加」(ウォーキング)の目標値を次のように掲げています。
24~64歳:男性9,000歩、女性8,500歩
65歳以上:男性7,000歩、女性6,000歩
健康維持のため、毎日上記歩数を「中程度」の運動強度(うっすらと汗をかくくらい)で行うことが奨励されています。
ウォーキングの成果は示されても、姿勢は教わらない!
データで示される事柄は理解できるものの、改めて正しい歩き方を学ぶ機会は意外とないものです。
その点について、バルセロナオリンピックに競歩で出場した園原健弘さんは警鐘を鳴らしています。
「1万歩歩きましょう、心拍数はこれくらい」といったエネルギー消費にばかりスポットが当たり、歩き方のゆがみや癖を直さないまま続けて膝や股関節を痛めてしまう人も多いというのです。
園原さんは現在、アスリートだった経験を活かして「健康づくり」を指導しています。
そんな園原さんが提唱する健康的に歩くコツが、「みぞおち歩き」なのです。
「みぞおち歩き」の特徴
みぞおちは、お腹の上部中央の、左右の肋骨の間あたりを指します。
ここに胴体と脚をつなぐインナーマッスルの大腰筋(だいようきん)があります。
この大腰筋が硬くなったり弱ったりすると姿勢に悪影響を与え、腰のコリや関節の炎症にもつながっていきます。
反対に、大腰筋をフルに使った歩き方ができると快適に動けるようになるというのが、園原氏が力説するところです。
「歩くという動作は、足で推進力を生み出すというよりは、体の中心部の大きな筋肉(注:大腰筋のこと)を先に動かし、これらを主として働かせる筋肉として、脚部は地面に力を伝えてもらうだけという歩き方ができるとよいと思います」
「みぞおち歩き」は、この「みぞおちから足を振り出す」意識で歩くことを指しています。
足で歩くというよりはお腹の上の方で歩くというイメージで、園原氏曰く、「片足で一度立ち上がった感じになって、足がしっかり伸びた状態でもう一方の足を振り出すことになります」とのこと。
さらに詳しく言うと、太ももの内側の内転筋(ないてんきん)とお尻の筋肉を使い、上腹部から足を振り出したら、太ももをぶつけるくらいの気もちで、両足をできるだけ近いところを通して前に進んでいくことがポイントだそうです。
また、かかとから着地する、すぐにまた立ち上がるような感じで前に進む…といった点もコツだといいます。
ウォーキング効果を高める歩き方を!
前述の西田医師も、ウォーキング効果を高めるには、きれいなウォーキングフォームが大切であると提言していて、ポイントとして次の3つを挙げています。
身体の中心軸をまっすぐ伸ばす
膝をすっと伸ばして足を出す(かかとから自然に着地する)
膝とつま先とが正面を向くように着地する
園原氏の「みぞおち歩き」も西田医師が指摘するポイントも、体幹を軸にした歩き方であることが共通していますね。
ウォーキングをしている方もこれから始めようと考えている方も、ご自身の歩き方を見直してみてはいかがでしょうか。
【参考】
・西田潤子監修『ゼロから始める「医師が教えるウォーキング」』(KADOKAWA 2014年)
・厚生労働省『健康日本21(第二次)』(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21.html)
・園原健弘『あらゆる不調が解決する 最高の歩き方』(きずな出版 2017年)
<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
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情報提供元: mocosuku