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かつては違った新常識 「タマゴは一日2個以上食べてもOK」

2019-01-08 18:30:03


執筆:山本 ともよ(管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー)
医療監修:株式会社とらうべ
栄養価が高く料理のメニューも豊富、比較的価格も安定していて、食卓に欠かせない食材「タマゴ」
ところで、「タマゴは一日1個まで」と言われていたのは一昔前の話。
現在では「一日2個以上食べてもよい」と、その常識は大きく変化しています。
実際、本当に何個食べても健康上問題はないのでしょうか。
今回は今どきの「タマゴ」事情を考えてみます。

タマゴの栄養


「完全栄養食品」と呼ばれるほど十分な栄養が備わっているタマゴ。
一羽のニワトリの生命を作り出すのですから、人が生きていく上で欠かすことができない栄養素も豊富に含まれています。
たんぱく質をはじめ、糖質や脂質、ビタミンA、B1、B2、D、Eなどのビタミン類、カルシウムや鉄分などミネラル類と、5大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラル)のほとんどを含む優秀食材なのです。
一方で、含まれていない栄養素が2つあります。
ひとつめは「ビタミンC」
ニワトリは体内でビタミンCを作り出せますが、人にはできません。
もうひとつは植物性の食品に含まれる「食物繊維」です。
いずれも外から取り入れる必要があり、つまり、タマゴを食べるときには、ビタミンCと食物繊維を一緒に摂るように心がけると、さらに栄養価が高まるのです。

タマゴ一日1個と言われた理由


これまで、タマゴの食べ過ぎに注意喚起が促されたのは、血中コレステロールが上がるという理由からです。
かつて日本人の食事摂取基準(厚生労働省が発表する、日本人がどれくらいの栄養素を摂ったらよいかを定める基準)において、コレステロールは男性750mg、女性600mg未満と定められていました。
タマゴ1個のコレステロール含有量は大きさによって差はあるものの、おおよそ210mgで、2個食べると一日の摂取量の半分をオーバーしてしまうため、一日1個までとされてきました。
しかし、コレステロールは体内で合成され、その合成量を調節しながら一定量に保たれており、食品に含まれるコレステロールを摂取しても、血液中のコレステロールへの影響はわずかであることが判明したのです。
その結果、食事摂取基準からコレステロールの摂取基準値は削除されました。
さらに、卵黄に含まれる脂質のひとつ「レシチン」は、コレステロール値を下げる作用を持つことが明らかになっています。
タマゴそのものにコレステロール値を下げる成分があるなんて、過去の常識からすると驚きですね。

タマゴの一日の適量


健康な人であれば、一日に食べるタマゴの数に決まりはありませんが、身体によいからといっていくら食べてもよい…という理屈にはなりません。
どんな食材も適量を守って摂取することが大切です。
食事バランスを考えると、タマゴの適量は一日1~2個と覚えておきましょう。
食事は毎食、「主食(ご飯、パンなど)」「(主菜)メインのおかず」「副菜(サブのおかず)」をそろえるとバランスが整います。
タマゴは良質なたんぱく質を補うことができますので、食事では「メインのおかず(主菜)」に取り入れたい食材です。
主菜グループには、肉や魚、大豆製品などが含まれますが、毎食1~2品とることが理想です。
食材ごとに栄養素の特徴を持っていますので、朝はタマゴと豆腐、昼は魚、夜は肉…のように、できるだけ多くの食材を取り入れることでバランスのよい献立につながります。
これを実践するには、タマゴは一日1~2個を目安にするとよいでしょう。
ただし、現在コレステロール値が高い方や、今は高くなくても家系的にコレステロールが高い方は一日1個までにとどめ、食べ過ぎには注意してください。

タマゴの選び方いろいろ


ひと口にタマゴと言っても、色や大きさなどはさまざまです。
その違いを知ると選び方も変わってくるかもしれません。

殻の色


 殻の色は大きく分けると白と茶色があります。
 一般的に茶色の方が白よりも値段が高く、栄養価も高いと思われているようですが、実は殻の色によって含まれる栄養素が違うことはありません。
 殻の色はニワトリの種類の違いによるものです。
 例外もありますが、「白色レグホン」など羽の色が白いニワトリは白いタマゴを、「名古屋コーチン」など羽の色が茶色いニワトリは茶色いタマゴを産みます。
 白い羽のニワトリの方が小柄で、与える飼料が少ないうえに多くのタマゴを産み続けることができます。
 そのため、白いタマゴは流通量が多く、値段も安くなります。

黄身の色


 黄身の色も濃淡はいろいろですが、濃いオレンジ色に近いほうが濃厚で栄養価が高い…というイメージを持たれるかもしれせん。
 しかし実際には、黄身の色の濃淡で栄養価が大きく異なることはありません。
 黄身の色は「カロチノイド」という黄色い色素で、ニワトリが食べるエサによって含有量が異なります。
 つまり、エサの種類によって濃淡が違ってくるのです。
 ニワトリの主食はおもにトウモロコシで、トウモロコシだけを食べさせると比較的薄めの黄色になります。
 トウモロコシの代わりに米や麦などの穀物を与えると白色になり、赤い色素の多いパプリカなどを混ぜたエサを食べさせれば、濃いオレンジになります。
 より黄色を濃くするために、マリーゴールドなどカロチノイドを多く含むものを混ぜることもあります。
 エサによって栄養価に違いが出ますが、必ずしも色の濃淡で変わるわけではないのです。
日々の食卓に重宝する身近な食材「タマゴ」。
最近では、飼育方法や飼料にこだわりを持つ養鶏所も増えてきています。
「平飼い」や「有精卵」、「自家配合飼料」など、時にはちょっと特別な「タマゴ」を選んで食べ比べてみてもまた楽しいでしょう。
<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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情報提供元: mocosuku

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