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バービー人形が教えてくれる!? 日本のハンデを持つ人に対する“普通”の意識

2019-03-05 12:00:33

2019年、発売から60週年を迎えた世界のファンションドール『バービー』。アメリカでは、女の子なら必ず1体は持つと言われるほどポピュラーな人形で、現在も世界150以上の国と地域で販売されている。着せ替えて遊ぶ子どもはもちろんだが、コレクターも多い。

そのバービー人形に、今年秋に新シリーズが加わると、メーカーであるマテル社から発表された、どんな仲間が加わるのかというと

【車椅子に乗ったバービー】【義足を付けたバービー】

このバービーは、障がいのある人形を望む顧客の声を受けて生まれたそうだ。デザインや制作には、義手を付けた12歳の少女に協力してもらい、義足の取り外し方などがよりリアルにできるようアドバイスをもらって完成させたという。

Instagramの投稿には5万5,000以上の“いいね”が押され、「素晴らしい!」「身近に感じられてイイ」「次の誕生日プレゼントが決まった」などといった称賛のコメントがたくさん寄せられている。

時代の女性を映してきた

バービー人形は、1959年アメリカでデビューする。青い瞳・金髪ヘアー・八頭身という、世の女性が憧れるビジュアルの着せ替え人形で、設定は17歳のモデル。第一号は水着姿だった。その後、時代に合わせ、女性の顔つきや体型、もちろん流行りのファッションを取り入れつつ、モデルチェンジを遂げていく。

1960年代にはアポロ11号月面着陸に合わせて宇宙飛行士バービーが登場。その他、パイロットや消防士など、当時の女性が成るには難しい職業の衣装など変わり種も含め、そのバリエーションは200種類以上にもなった。ただ、これは単なる遊びではなく、未来の女性の社会進出を見据えていたように思う。そして更に時代背景をバービーに反映させるようになって行く。

1980年には、黒人の「ブラック・バービー」、浅黒い「ヒスパニック・バービー」が登場。人種差別問題に一石を投じ、さらに世界各国様々な人種のバービーが民俗衣装を着たシリーズ「ドールズ・オブ・ザ・ワールド」を展開させた。これには世界で賛否様々な意見が飛び交った。

そして、スポーツ選手、政治家、最近はアメリカ大統領バービーまで登場。身長の小さなバービー、少し太ったバービーなど、世の女性の親近感を得るようなタイプも増やしていった。作り出す新作に物議を醸すケースも多々あるが、バービーは様々な女性の味方であることに違いはないと思う。

そんな中で、今年の新シリーズがいわゆる【障がい者】である。先程、Instagramには好意的なコメントがたくさん寄せられたと紹介したが、果たして日本人の感覚としてはどうなのだろう?

日本と欧米の違い

日本は欧米と比べて障がい者に対する考え方が根本的に少し違うそうだ。例えば、英語で障がい者と直訳で書くなら「disabled people」となるが、そんな言い方はしない。

「people with disabilities」と言って、“障がいを持つ人・障がいと共に生きる人”という言い方が一般的。ニュアンス的には、“障がいより人”に焦点を当て、人間として平等に同じ権利があることを強調している感じになる。伝わりにくいかもしれないが、文化的に、障がいがある人とどうすると平生で一緒に過ごせるかを考えるのが普通、という空気ができているという。いい意味で特別扱いしないそうだ。

それに比べて日本は、まだまだハンデがある人への接し方が下手なのだとか。“普通”に接すればいいと言われても、例えば日常会話で「もう打つ手がないよ」と腕がない人の前で言ったら“しまった”と思ってしまう。ハンデがある人は逆に気を使い「日常会話だから気にしなくていい」と言う。普通になりにくい壁があるわけだ。

でも、そういった壁は一緒にいる時間が長いほど薄れていくもの。大事なのは信頼関係を深めていくことだが、日本人は気遣い屋が多いので案外難しいとか。

障がい者を知る流れ

ジュニアエラ (juniorAERA) 2018-03-22 発売号
Fujisan.co.jpより

そんな日本も障がい者に対する意識が“普通”へ近づきそうな兆しが出ている。例えば、「2018年R-1グランプリ」で優勝した盲目の漫談芸人・濱田裕太郎さんは、“盲目あるある”をネタにして笑わせ、世間と障がい者との目線の高さを合わせた。

更に影響力が高いのは2020年開催の東京パラリンピックだ。

今、テレビCMやいろいろな番組でパラスポーツ選手を沢山取り上げている。ハンデがある人の大変な部分も紹介されるが、日常は「これが普通なんで」くらいの感じを出していて、しかも周囲の人もときどきサポートするくらい(ちょっと親切にするレベル)だったりする。そんなに特別扱いをしていないので、障がい者との接し方の参考になるのだ。つまりこれが欧米スタイルなのかもしれない。

また、パラスポーツ選手の“超人”っぷりは、逆に健常者でもできない凄さが伝わるから驚く。

 

海外では、義手や義足のスポーツ選手などがモデルとして堂々と雑誌の表紙を飾っている。その姿は“ハンデありますけど何か?”とさえ言いたげで凛とし凄みさえ感じる。もちろんファンも多い。

もちろん日本でもそんな流れが出てきているのは非常に喜ばしいことだ。

(http://www.ninamika.com/whatsnew/go-journal02.html)

バービーに学ぶ

話題をバービーに戻す。

くどい前置きをしたが、今、日本で小さな女の子が車椅子に乗った人形で遊んでいるところを大人が見たとして、微笑ましく思う人は少ないだろう。「こんな人形を売るなんて非常識」と憤る人は多いのではないかと思う。その考えは間違いではないかもしれないが、でも時代はその思考を捨て去ろうとしている。

逆に「そうか、コレが今や世界で普通なんだ」と気付く人も多いに違いない。

日本で健常者と障がい者との距離が更に縮まれば良いな、と思う。

情報提供元: マガジンサミット

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