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なぜウエストポーチ?『クジャクのダンス、誰が見た?』スタイリストが語る主人公へのこだわり。気になる中身も

エンタメ
2025-03-14 19:00

映画やドラマにおいて、登場人物の衣装はそのキャラクターを象徴する大切な要素だ。役柄の個性や境遇をさりげなく表現し、視聴者に違和感なく物語の世界に没入させるためには、細部まで計算されたスタイリングが求められる。


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TBS系金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』もまた、衣装が作品のリアリティを支えている。浅見理都の同名漫画を原作とする本作は、ミステリアスな展開と緻密な心理描写が視聴者の関心を集めている。そんな本作で、主人公・山下心麦(広瀬すず)の衣装を手がけたのが、スタイリストの丸山晃氏。父親が殺害されるという衝撃的な事件に翻弄されながらも真相に迫る女子大学生の姿を、どのようにファッションで表現したのか。そのこだわりや舞台裏を聞いた。


世界観を壊さないように。主人公の衣装は「シンプルさ」がカギ

ミステリアスな展開が続く本作において、衣装が過度に主張しすぎることは避けたかったと丸山氏は語る。


「ストーリーにノイズを入れないように、シンプルな服装にしました。原作の心麦もオーソドックスな服を着ているので、その世界観を壊さずに映像の中でなじむスタイルを意識しました」。


具体的には、グレーのニットやプリーツスカート、スニーカーといった落ち着いた色合いのコーディネートを基調とし、装飾を抑えたスタイリングになっている。「ベーシックなアイテムを組み合わせつつ、シルエットや素材感で少し個性を出すようにしました。例えば、スカートはほんの少し光沢のある素材を選び、地味になりすぎないようにしています」。


また、ドラマの進行に伴い、心麦の衣装にも微妙な変化が。例えば、赤のMA-1ジャケット姿も印象的だが…。「基本的にはダークトーンが多いですが、火事で私物を失った設定もあるので極端な変化は避け、最小限のアイテムでやりくりするリアリティを大切にしました」と丸山氏。衣装はキャラクターの生活背景を表現する重要な要素であり、心麦のシンプルな服装は、彼女の境遇や性格ともリンクしている。


ウエストポーチとリュックサックに込めた演出

一見シンプルに見えるファッションスタイルだが、その中には“心麦らしさ”を際立たせる工夫が施されている。その1つが、ウエストポーチとリュックサックの存在 だ。


「手ぶらな人は余裕があるように見えますよね。逆に、荷物が多い人は何かに追われて忙しそうな印象を与える。心麦は大学生でありながら弁護士事務所でもバイトをしているという役どころなので動きやすさを考慮し、“忙しさを持たせる”ためにリュックとウエストポーチを採用しました」。


このアイデアは、実際に丸山氏の周囲の観察から生まれたものだった。


「アシスタントの女の子が、いつも大きなリュックを背負っているんです。ちょうど心麦と似たような年頃で。その姿を見て、“これだ”と思いました。彼女が忙しそうに動いている様子が、まさに心麦のイメージに重なったんです」。さらに、リュックの背負い方にも工夫を凝らした。「ただ背負うだけじゃなく、あえて斜めに掛けたり、片方の肩に掛けたりすることで、大学生っぽいラフさや慌ただしさを出しています」。


ウエストポーチにはスマートフォンやメモ帳を入れることを想定し、広瀬すずとのフィッティング時にもリュックとの組み合わせを意識。こうしたディテールによって、心麦というキャラクターの生活感をリアルに表現したという。ここで裏話も。「今のところはすずちゃんの非常食が入っているみたいですよ(笑)」。


さらに、心麦のスタイリングには “少女っぽさを残す” という要素も意識されている。


原作では心麦は21歳だが、広瀬すずは現在26歳。この微妙な年齢差をどう調整するかも、スタイリングの大きなポイントだった。「心麦というキャラクターに素朴な“少女っぽさ”を残すことで、より彼女らしさを引き出せると考えました。衣装によって少し年齢を下げて見せる工夫をしています」。そこで採用されたのが、ハーフパンツにも見えるサロペット だった。「ダッフルコートもそうですが、こうしたアイテムを使うことで、どこか学生らしさが残る雰囲気を出しました」。


衣装ひとつでキャラクターの印象は大きく変わる。心麦のスタイルには、日常のリアリティと彼女の内面を映し出す工夫が随所に施されている。


広瀬すずとの出会い――衣装選びのこだわり

丸山氏が広瀬すずと最初に仕事をしたのは、ある雑誌の撮影だった。


「情報誌でレギュラーを担当していたときに、すずちゃんがゲストで来てくれたのが最初です。表紙と中ページの撮影でしたね」。それ以来、広瀬のスタイリングを手がける機会が増え、今回のドラマでも衣装を担当することになった。


特に、ダッフルコートの選択は印象的だったようだ。もともとはプレーンなタイプを想定していたが、現場での試着を経て、よりデザイン性のあるコートが選ばれたという。

「すずちゃんは衣装についてアイデアを出してくれることもありますが、今回はわりとお任せしてもらえました。ただ、コートに関してはフィッティングの段階で『このコートいいですね』と言って、監督とも意見が一致したこともあり、最終的に今の形に落ち着きました。トグルのデザインが入っているので、少し可愛らしさがプラスされたのも良かったですね」。


また、番組宣伝の際に広瀬が着ていた「“クジャクっぽい”衣装」 もSNSなどでも話題になった。「あれは本当にミラクルでした。たまたまリースで見つけたアイテムが、まさにクジャクの羽を思わせるような柄だったんです。すずちゃんも『すごいクジャクじゃん!』って笑っていましたね」。


“好き”を信じることが強みに

本作は「信じること」がテーマのひとつになっているが、丸山氏自身もまた、スタイリストとして「信じること」を大切にしているという。


「何に対しても“好き”を信じることが大事だと思います。好きなものを追求することで、それがやがて自分の強みになると感じています」。


丸山氏のスタイリングには、彼自身が影響を受けてきた音楽やカルチャーが色濃く反映されている。「例えば、僕はイギリスのサブカルチャーが好きで、音楽やファッションのテイストも自然とそちらに寄っていく。意識して作り込んでいるわけではなく、ただ好きなものを突き詰めていった結果、それが自分のスタイルになったんです」。


自身の「好き」を信じ、それを貫くことが、スタイリストとしての独自性を生む——。その信念が、彼の手がけるスタイリングの1つひとつに宿っている。


わずかなサイズ調整と着こなしで人物の印象は変わる

最後に、心麦の衣装で最もこだわったポイントについて聞くと、丸山氏は「サイズ感」と「小物の使い方」を挙げた。


「シンプルな服こそ、サイズ感が重要なんです。例えば、ニットやジーンズのフィット感を細かく調整するだけで印象が変わる。あと、リュックサックには必ず折りたたみ傘を挿していたのも、日常のリアルな雰囲気を出すための工夫ですね」。


心麦の衣装は、決して華美ではない。しかし、そのシンプルさの中には、彼女の性格や境遇、作品のトーンに寄り添った計算がある。「リュックをルーズに背負って走る姿も、ちょっとぶっきらぼうな感じが出ていて良かったですよね。本作をもう一度見るときは、ぜひ衣装にも注目してみてください」(丸山氏)。


衣装はキャラクターを形づくる“もう1つの言葉”だ。物語を読み解くとき、登場人物の服装の選択にもまた、見逃せないメッセージが隠されているのかもしれない。


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