エンタメ
2025-10-27 12:00
俳優・歌手の草なぎ剛が主演するカンテレ・フジテレビ系月10ドラマ『終幕のロンド―もう二度と、会えないあなたに―』(毎週月曜 後10:00)。“鳥飼樹”を演じる草なぎと、樹に生前整理を依頼する“こはる”役の風吹ジュンによる対談インタビューが届いた。
本作は、妻を亡くし、幼い息子を男手一つで育てるシングルファーザーで、遺品整理人の鳥飼樹(草なぎ)が、遺品整理会社の仲間たちと共に、ときに孤独死した人の特殊清掃や遺品整理から、依頼主と直接向き合う生前整理まで、さまざまな事情を抱えた家族に寄り添っていく、心温まるヒューマンドラマ。遺品に隠された真実を知った登場人物たちは、思わず心を揺さぶられる。また、感動的な人間ドラマの裏では、せつない大人の恋も描かれ、先の展開が気になるオリジナルストーリーとなっている。
――映画『僕と妻の1778の物語』(2011年)以来の共演となりますが、今作でのお互いの印象はいかがですか?
草なぎ:相変わらず可愛らしくて素敵で優しい方なので、風吹さんと一緒にいるとすごく安心します。今回の作品は、風吹さん演じるこはるさんが第1話からとても重要な役割を担っているので、その役を全身全霊で演じている姿を間近で見ていると、やっぱりすごいなと思います。風吹さんの偉大さを感じますし、同じ役者として心からリスペクトしています。
風吹:そんなに褒められると、なんだか照れちゃう!私が草なぎさんと初めて共演したのは『降霊~KOUREI~』(2001年)という映画だったんですけど、当時20代後半で多忙を極めていた草なぎさんは、空き時間になぜか床で仮眠されていて(笑)、その姿を見た私は、思わず「ワンちゃんみたい…」とキュンとしてしまったんです。でもいざ本番になると、草なぎさんはまるで魂がスッと入ったように見事なお芝居をされて、「すごい!」と驚いたことを覚えています。以来、大好きな役者さんとして陰ながらずっと成長を見守ってきて、実は今回も、最初にお話をいただいたときはタイミング的にお引き受けするのが難しいかなと思っていたんですけど、主演が草なぎさんと聞いて、「それは何としてもやらなきゃ!」と。久しぶりにご一緒できて、本当にうれしいです。
草なぎ:風吹さんに褒めていただいて光栄です。僕、大丈夫ですか?ちゃんと成長できてますか?(笑)
風吹:大丈夫、とっても素敵ですよ。主人公の鳥飼樹さんは、激しい感情の起伏があるタイプではなく、草なぎさんもどこか淡々と演じているように見えるけど、不思議なことに、見ていて全く飽きないの。物静かな感じすらする話し方なのに、その言葉は受け取る側の人間に、メッセージとしてちゃんと届いている。そこが素晴らしいと思います。
草なぎ:僕も、今回の鳥飼樹はすごくおとなしい人物、過去の復讐シリーズに比べるとだいぶおとなしいテイストだなと思ったんです。でも撮影が進んでいくうちに、実はこの作品はすごく大きなエネルギーを持っている力強い作品なんだなと気づいて。遺品整理と聞くとシリアスなイメージを抱く方が多いかもしれないけれど、演じている僕自身はむしろ、1話ごとに感動を覚えています。毎回、遺品から亡くなった方の人生が見えてくるシーンがあるんですけど、そのシーンがすごく感動するんですよ。これはもう人間ドラマ。すごく重厚で大人のドラマだなと思っています。
風吹:本当にそうね。遺品整理=ただの終末ということではなく、“ロンド”というタイトルのごとく、この作品では、亡くなった方の人生が温かく、丸く描かれていると思います。死生観をこんなに温かくとらえた作品は、今までなかったんじゃないかと思うくらい。それに、学ぶことも多いですよね。死生観はもちろん、人が亡くなったときのまわりの人の受け止め方まで、いろいろな情報を得ることができて、新しい意識が生まれるんじゃないかと思えるドラマです。
――お2人は、娘の真琴(中村ゆり)に余命を伝えない、と決めたこはるの生き方に共感できますか?
風吹:こはるは愛に生きる人なので、会えばケンカばかりしてしまう娘でも、そこには母親としての愛情しかなくて、それが彼女の決意、ひいては“死に様”につながっているんだと思います。私にも娘がいるので、こはるに共感するところはあるし、愛する対象がいるからこそ、最後まで人生をまっとうできるんじゃないかしら。
草なぎ:そうですね。自分がこの世に別れを告げる日が分かっていて、そこから逆算してどう生きるかを考えられるならいいんでしょうけど、人間そうはいかないもの。だからこそ、自分がやりたいことに対して素直に生きたいですよね。余命を宣告されたから焦って何かをするわけじゃなくて、普段どおりに最後まで生きられたらいいなと思います。
そういう意味では、僕、生前整理はちょっとできそうにないかも。必要以上に部屋から物をなくすと、なんだか寂しくなりませんか?
風吹:ミニマリストになれるかっていうこと?私も仕事柄、特に衣装とかはなかなか捨てられないでいます。10年ごとに整理はしてるけれど、それでも増えていくのはしょうがないかな。でも、生前整理って、いい意味でクリエイティブな生活ができそうじゃない?
草なぎ:確かに、身動きはとりやすくなりそうですよね。でも実は僕、一度ミニマリストを目指してみようと試したことがあって。でも結局ダメだったんですけどね。やっぱり部屋に物があふれてると、ストレスになるじゃないですか。きちんと整理したほうが頭も整理されると思いますし。だから、1回全部なくしてみようと思って、家にあるものを次から次へと人にあげたんです。結果、そのときはすごく清々しい気持ちになったんですけど、しばらくしたら同じものがまたほしくなっちゃって。「なんであれを手放したんだ!?」って、結局同じものをまた買い直し。そのとき、僕にはミニマリストは向いてないなって悟りました(笑)
風吹:ちょっと極端すぎたのかもしれないわね(笑)
草なぎ:そうなんですよ。やっぱり何事もさじ加減は大事です。でも、遺品整理人という仕事に関しては、普段の僕と少し重なるなと思う部分があったんですよ。
風吹:どういうこと?
草なぎ:僕、ビンテージや古着が好きで、自分が持っている服のしわとかを見て、「この人は農作業をやってたんだな」「これはマッチをすった後だな」って分析するのが好きなんです。それが、遺品から亡くなった人の気持ちを汲みとる樹と似ているなと思って。
風吹:演じる前から自然と役作りができていたということね。素晴らしい!
――この作品では、たくさんの“別れ”が描かれていますが、大切な人との別れを乗り越えるために必要なものは?
風吹:大切な人が亡くなったときはもちろん悲しいけれど、悲しむよりも、その人と過ごした時間を思い出すことで存在を感じる、そうやって乗り越えるしかないんじゃないかしら。肉体は離れても、その人の魂は自分のそばにいる――という考え方をするようにしています。
草なぎ:悲しみは消えるものではないし、何をしても癒えないかもしれないけれど、僕も風吹さんが言うように、肉体は離れても魂はつながってると思っています。誰もがいつかはこの世に別れを告げるし、それは順番にやってくるもの。もちろん、それだけでは到底割り切れないこともあるけれど、自分がその人を思い出すことで、生きていたことを感じるのが一番なんじゃないかな。極端な話、僕は人類の長い歴史で考えたら、自分の一生なんて点にすぎないと思っていて、でもその点が自分にとっては100%のもので、かけがえのないもの。だからこそ、自分の人生をどう生きていくか、まっとうするかが大切だと思うんです。このドラマも、そういうところを描いていると思います。
風吹:自分が旅立つときに思うのは、やっぱり残していく人たちに何を与えられたか、見送ってくれる方たちには傷つかないでほしいし、幸せであってほしいと願うわけじゃないですか。そこが大事。命が燃え尽きる自分よりも、残された人たちが大事。悲しんだり惜しんだりすると思うけれど、それだけじゃないないんだよ、ということを、こはるを通して伝えたいです。
草なぎ:こはるさんは、まさにそういうことをずっと考えている人ですもんね。
風吹:そう。彼女には愛しかないの。だからこそ、そこに樹をはじめ同じ思いの人が集まってきてくれるんだと思います。彼女は孤独に見えても、決して孤独じゃない。余命3ヶ月なのにこんなに明るくていいのかと、演じている私が不安を覚えるほど元気ですし(笑)
草なぎ:でもそこが逆にリアルなんじゃないですかね。こはるさんが元気に見えるからこそ、グッとくるシーンがいっぱいありますよ。
風吹:真琴と樹と3人のシーンも、いずれ訪れる別れの日を思うと確かに切ないんだけど、残された3ヶ月間を全力で生きることは、こはるにとってすごく幸せで…。そういうことを感じながら演じているし、理想の最期だと思いました。
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本作は、妻を亡くし、幼い息子を男手一つで育てるシングルファーザーで、遺品整理人の鳥飼樹(草なぎ)が、遺品整理会社の仲間たちと共に、ときに孤独死した人の特殊清掃や遺品整理から、依頼主と直接向き合う生前整理まで、さまざまな事情を抱えた家族に寄り添っていく、心温まるヒューマンドラマ。遺品に隠された真実を知った登場人物たちは、思わず心を揺さぶられる。また、感動的な人間ドラマの裏では、せつない大人の恋も描かれ、先の展開が気になるオリジナルストーリーとなっている。
――映画『僕と妻の1778の物語』(2011年)以来の共演となりますが、今作でのお互いの印象はいかがですか?
草なぎ:相変わらず可愛らしくて素敵で優しい方なので、風吹さんと一緒にいるとすごく安心します。今回の作品は、風吹さん演じるこはるさんが第1話からとても重要な役割を担っているので、その役を全身全霊で演じている姿を間近で見ていると、やっぱりすごいなと思います。風吹さんの偉大さを感じますし、同じ役者として心からリスペクトしています。
風吹:そんなに褒められると、なんだか照れちゃう!私が草なぎさんと初めて共演したのは『降霊~KOUREI~』(2001年)という映画だったんですけど、当時20代後半で多忙を極めていた草なぎさんは、空き時間になぜか床で仮眠されていて(笑)、その姿を見た私は、思わず「ワンちゃんみたい…」とキュンとしてしまったんです。でもいざ本番になると、草なぎさんはまるで魂がスッと入ったように見事なお芝居をされて、「すごい!」と驚いたことを覚えています。以来、大好きな役者さんとして陰ながらずっと成長を見守ってきて、実は今回も、最初にお話をいただいたときはタイミング的にお引き受けするのが難しいかなと思っていたんですけど、主演が草なぎさんと聞いて、「それは何としてもやらなきゃ!」と。久しぶりにご一緒できて、本当にうれしいです。
草なぎ:風吹さんに褒めていただいて光栄です。僕、大丈夫ですか?ちゃんと成長できてますか?(笑)
風吹:大丈夫、とっても素敵ですよ。主人公の鳥飼樹さんは、激しい感情の起伏があるタイプではなく、草なぎさんもどこか淡々と演じているように見えるけど、不思議なことに、見ていて全く飽きないの。物静かな感じすらする話し方なのに、その言葉は受け取る側の人間に、メッセージとしてちゃんと届いている。そこが素晴らしいと思います。
草なぎ:僕も、今回の鳥飼樹はすごくおとなしい人物、過去の復讐シリーズに比べるとだいぶおとなしいテイストだなと思ったんです。でも撮影が進んでいくうちに、実はこの作品はすごく大きなエネルギーを持っている力強い作品なんだなと気づいて。遺品整理と聞くとシリアスなイメージを抱く方が多いかもしれないけれど、演じている僕自身はむしろ、1話ごとに感動を覚えています。毎回、遺品から亡くなった方の人生が見えてくるシーンがあるんですけど、そのシーンがすごく感動するんですよ。これはもう人間ドラマ。すごく重厚で大人のドラマだなと思っています。
風吹:本当にそうね。遺品整理=ただの終末ということではなく、“ロンド”というタイトルのごとく、この作品では、亡くなった方の人生が温かく、丸く描かれていると思います。死生観をこんなに温かくとらえた作品は、今までなかったんじゃないかと思うくらい。それに、学ぶことも多いですよね。死生観はもちろん、人が亡くなったときのまわりの人の受け止め方まで、いろいろな情報を得ることができて、新しい意識が生まれるんじゃないかと思えるドラマです。
――お2人は、娘の真琴(中村ゆり)に余命を伝えない、と決めたこはるの生き方に共感できますか?
風吹:こはるは愛に生きる人なので、会えばケンカばかりしてしまう娘でも、そこには母親としての愛情しかなくて、それが彼女の決意、ひいては“死に様”につながっているんだと思います。私にも娘がいるので、こはるに共感するところはあるし、愛する対象がいるからこそ、最後まで人生をまっとうできるんじゃないかしら。
草なぎ:そうですね。自分がこの世に別れを告げる日が分かっていて、そこから逆算してどう生きるかを考えられるならいいんでしょうけど、人間そうはいかないもの。だからこそ、自分がやりたいことに対して素直に生きたいですよね。余命を宣告されたから焦って何かをするわけじゃなくて、普段どおりに最後まで生きられたらいいなと思います。
そういう意味では、僕、生前整理はちょっとできそうにないかも。必要以上に部屋から物をなくすと、なんだか寂しくなりませんか?
風吹:ミニマリストになれるかっていうこと?私も仕事柄、特に衣装とかはなかなか捨てられないでいます。10年ごとに整理はしてるけれど、それでも増えていくのはしょうがないかな。でも、生前整理って、いい意味でクリエイティブな生活ができそうじゃない?
草なぎ:確かに、身動きはとりやすくなりそうですよね。でも実は僕、一度ミニマリストを目指してみようと試したことがあって。でも結局ダメだったんですけどね。やっぱり部屋に物があふれてると、ストレスになるじゃないですか。きちんと整理したほうが頭も整理されると思いますし。だから、1回全部なくしてみようと思って、家にあるものを次から次へと人にあげたんです。結果、そのときはすごく清々しい気持ちになったんですけど、しばらくしたら同じものがまたほしくなっちゃって。「なんであれを手放したんだ!?」って、結局同じものをまた買い直し。そのとき、僕にはミニマリストは向いてないなって悟りました(笑)
風吹:ちょっと極端すぎたのかもしれないわね(笑)
草なぎ:そうなんですよ。やっぱり何事もさじ加減は大事です。でも、遺品整理人という仕事に関しては、普段の僕と少し重なるなと思う部分があったんですよ。
風吹:どういうこと?
草なぎ:僕、ビンテージや古着が好きで、自分が持っている服のしわとかを見て、「この人は農作業をやってたんだな」「これはマッチをすった後だな」って分析するのが好きなんです。それが、遺品から亡くなった人の気持ちを汲みとる樹と似ているなと思って。
風吹:演じる前から自然と役作りができていたということね。素晴らしい!
――この作品では、たくさんの“別れ”が描かれていますが、大切な人との別れを乗り越えるために必要なものは?
風吹:大切な人が亡くなったときはもちろん悲しいけれど、悲しむよりも、その人と過ごした時間を思い出すことで存在を感じる、そうやって乗り越えるしかないんじゃないかしら。肉体は離れても、その人の魂は自分のそばにいる――という考え方をするようにしています。
草なぎ:悲しみは消えるものではないし、何をしても癒えないかもしれないけれど、僕も風吹さんが言うように、肉体は離れても魂はつながってると思っています。誰もがいつかはこの世に別れを告げるし、それは順番にやってくるもの。もちろん、それだけでは到底割り切れないこともあるけれど、自分がその人を思い出すことで、生きていたことを感じるのが一番なんじゃないかな。極端な話、僕は人類の長い歴史で考えたら、自分の一生なんて点にすぎないと思っていて、でもその点が自分にとっては100%のもので、かけがえのないもの。だからこそ、自分の人生をどう生きていくか、まっとうするかが大切だと思うんです。このドラマも、そういうところを描いていると思います。
風吹:自分が旅立つときに思うのは、やっぱり残していく人たちに何を与えられたか、見送ってくれる方たちには傷つかないでほしいし、幸せであってほしいと願うわけじゃないですか。そこが大事。命が燃え尽きる自分よりも、残された人たちが大事。悲しんだり惜しんだりすると思うけれど、それだけじゃないないんだよ、ということを、こはるを通して伝えたいです。
草なぎ:こはるさんは、まさにそういうことをずっと考えている人ですもんね。
風吹:そう。彼女には愛しかないの。だからこそ、そこに樹をはじめ同じ思いの人が集まってきてくれるんだと思います。彼女は孤独に見えても、決して孤独じゃない。余命3ヶ月なのにこんなに明るくていいのかと、演じている私が不安を覚えるほど元気ですし(笑)
草なぎ:でもそこが逆にリアルなんじゃないですかね。こはるさんが元気に見えるからこそ、グッとくるシーンがいっぱいありますよ。
風吹:真琴と樹と3人のシーンも、いずれ訪れる別れの日を思うと確かに切ないんだけど、残された3ヶ月間を全力で生きることは、こはるにとってすごく幸せで…。そういうことを感じながら演じているし、理想の最期だと思いました。
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